日本相撲協会巡業部が16日、
冬巡業最終日の沖縄・浦添場所で、怠慢力士に対し強権を発動した。
大関陣より遅れて土俵入りした黒海を花道で約40分にわたり“公開説教”したばかりか、
朝稽古で土俵に現れない力士を場内アナウンスで呼び出す異例の措置。
力士の意識改革に向け、日本協会がようやく本腰を入れ始めた。
堪忍袋の緒がプツリと切れた瞬間だった。
幕下以下の力士が引き揚げ、
幕内力士が土俵上で申し合いに汗を流していた午前10時30分、
琴欧洲、魁皇ら大関陣より遅れて平幕の黒海が花道に姿を見せた。
この態度に怒りを爆発させたのが同じ立浪一門の春日山親方だ。
春日山親方は黒海を呼び寄せると、その姿勢や心構え、態度について説教。
途中、黒海が「自分だけが遅れて来ているわけじゃない」と反論すると、
さらに同じ土俵下の不知火親方も加わり
「遅れてきたら、すみませんと頭を下げるもの。
外国ではそれでいいかもしれないが、日本ではダメだ」としかりつけた。
2人の親方が声を荒らげる約40分間の公開説教に、
稽古中の力士も思わず動きを止めて目を向けていた。
伏線はあった。
この公開説教の10分前には、館内のスピーカーから
「阿覧と豪風は土俵へおこしください」という異例の場内アナウンスが流れた。
今巡業中、稽古不足を巡業部から再三にわたり指摘されてきた2人に
業を煮やした巡業部が、ついに強権を発動。
慌てて土俵下に駆け付けた2人は、
大島巡業部部長ら親方衆に一礼して稽古を始めたが、
巡業部のイライラは頂点に達していた。
大島巡業部部長は
「あまりにもだらけている。
黒海は大関よりも遅れてきていたのに何で怒られているか分かっていなかった」と怒り心頭。
22日の師匠会で追手風親方へ厳重注意するのはもちろん、
全親方にもあらためて指導の徹底を要請する意向を示した。
協会の強硬姿勢が、力士の稽古態度改善へとつながればいいのだが…。