やらせメールの責任をとって、7月には辞意をもらした九電の眞部社長。ところが松尾会長から、辞める必要はないと言われ、辞任のタイミングを、ズルズルと後に押しやっていました。実は、やらせメールで社長が辞任してしまうと、玄海原発プルサーマル導入時期に、やはり同じようなやらせをやってた当時の社長だった松尾会長も、同様に辞任せざるを得ないことから、会長が異様にかばっているとのこと。
 さらに、九電以外の電力会社でやらせをやっていたことが次々に明るみになった夏頃、社内に「うちの社長だけ引責辞任しなくてもいいじゃないか」という空気が蔓延してきたらしい。ま、これ、古いけど、「赤信号みんなで渡ればこわくない」という理屈だよね。感覚の麻痺ってコワイ。

 そしてついに2,3日前の記者会見で、辞任しない意思を表明した眞部社長。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/265434

 辞めない理由は、「混乱を避ける」ためなのだそうだ。混乱する原因を作った責任者が責任をとらなくて、どうやって混乱を収拾するんだ?こんな状況で、張本人が続投したら、また手法を変えて同じようなことをやったり、過去にやったことを粉飾したりする可能性がある。報酬カットですまされる話ではない。


  「東京電力福島第1原発事故のように、犠牲者や避難区域を発生させたわけでなく、辞任するほどの問題ではない」という理屈もあるようだ。これって、ただの未遂なだけで、玄海原発のような危険プラントを強引に稼働させていけば、遅かれ早かれ福島のようなことになる。そして、未遂だけど、それを詐術を使ってゴリ押ししようとしてるのが発覚したわけですよ。これで、何の責任をとらなくてもいいと言える感覚が、明らかに麻痺してる。

 当面の間、火力発電に力を入れるべく、石油・天然ガス系の企業などの外部から社長を人選するくらいしないと。原発依存から思考を切り替えることができない電力会社内部の人間が社長をやっていたら、電力会社は今後、不足に陥らなくてもいいところで電力不足とかを生じさせかねない。


 ここは、監督官庁たる経産省から、びしっと言ってほしいところだが。。。
 枝野経産相は「社長人事は民間企業が行うことなので直接にコメントすべきでない」というふざけたコメント。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/265457
 九電が普通の民間企業なわけないやろ!経産省保護下の非常に特殊独占企業。
 こんなことしでかす会社は、事業者認可を取り消されたくなかったら、ちゃんとけじめつけろとか、責任をとらせる責任があるし権限もある。
 もう、自分の都合にあわせて民間会社としての自由さを主張したり、事実上国営的な権限の強さを主張したりするような会社は、完全国営にするか、完全自由競争に晒す会社にするか、どちらかしかない。


 しかし、やらせメールを依頼した元凶の佐賀県知事古川康を、九電は必死にかばって、自分たちの責任ですと言ってたわけだが。社長の肩にかかってくる責任がそんなに軽いなら、やっぱり一番の責任は古川知事の方にとってもらわないといけないよね。まさか誰も責任とらないなんて無責任なことはやめて下さいね。

 「死の街発言」で簡単に経産相の首が飛ぶのに、やらせメールで誰のクビも飛ばないとか、理解に苦しみます。