全国で火力発電所の故障がたて続いているんだそうな。

―――以下、参考記事―――
「火力発電8基故障…原発補う連続運転で」
【読売新聞 8月18日(木)20時33分配信】
 全国の火力発電所で、故障による停止が相次いでいる。18日は四国電力で、坂出火力発電所1号機(香川県坂出市)のボイラー設備に異常が見つかり、停止した。

 7月は3か所、8月は18日までに5か所の火力発電所が停止している。火力発電所の「停止ラッシュ」は、原子力発電所の相次ぐ停止を補うため、電力各社が火力発電の運転時間を延ばしていることが主因だ。火力発電の相次ぐトラブルは電力供給の新たな不安材料となっている。

 18日現在、故障で停止中の火力発電所は全国で5か所、合計出力は約240万キロ・ワットで、原発約2・4基分に相当する。

 運転と停止を比較的柔軟に行える火力発電は、原発が昼夜一定の運転を行うのに対し、電力需要のピーク時に原発の不足分を補う役割が強い。昼間のピーク時に稼働し、夜間や週末は休ませる運転方法だ。

 しかし、現在は全国54基の原発のうち39基が定期検査などで停止しており、電力各社は火力発電所の稼働時間を延ばしている。このため「長時間の高出力が続けば、故障の確率も高まる」(電力関係者)状況になっている。

 とくに関西電力では、火力発電所が1日以上停止したトラブルが4月~7月末までに13件発生。昨年度(29件)を大幅に上回るペースで、電力需給の綱渡りに拍車をかけている。
―――引用ここまで―――

 「全国で5か所、合計出力は約240万キロ・ワットで、原発約2・4基分に相当する」とか書かれると、ずいぶん大きな供給力の落ち込みと誤解されそうだが、これは全国規模の数字で、全国の火力最大出力の1.3%に過ぎない。(もし一つの電力会社の管内で240万kwの供給力ダウンが起きたら大変だが。)
 長期間にわたって止めていたような火力発電所を動かしているケースもあるので、事故発生リスクが、ある程度高くなるのはしょうがないこと。(納入2年でぶっ壊れた堺港火力発電所2号機なんかはメーカーの責任など追及するべきと思うが。)

 さてここで問題なのは、上記記事の内容を真に受けて、原発が次々に停止に向かっている現状で、火力発電所を24時間フル稼働しなければならないと勘違いしてる人が増えていることだ。

「原発を止めているから、元もと連続使用向けでない火力を酷使して火力発電所が壊れる。」
   ↓
「だから原発を止めてはいけない。」
 という論法の、状況よく分かってない人たち。
 原発止めてるから、火力を24時間ずっと動かし続けてるとでも思ってるんでしょうかね?

 地域によって差もあるが、原発が全停止しても、火力を100%24時間フル稼働などという必要は出てこない。水力を100%稼働させて、火力は数割出力を上げる程度で、十分原発が動いていた時と同じくらいの電力はまかなえるはず。
(ここを参考のこと http://ameblo.jp/tomodoi/entry-10989445457.html )

 火力は、電力需要が半分くらいに落ち込んでいる夜間は、出力を落とせる賢い発電方法なんで、24時間連続運転なんて、やってるはずない。水力が、かなりの程度夜間電力をまかなっている状況下で、火力は当然出力を半分以下には落とせる。休眠火力の復旧が進めば、一つの火力発電所の休止日数も増やせるわけです。それで、九電とかは、8月になってようやく休眠火力の復旧を始めたんですけどね(もっと早めにやってれば、もっと余裕の運用ができたのに)。

 とにかく、火力は原発のように、夜間に無駄な電気を作りまくって捨ててるバカな発電方法とは違うのですよ。
 夏場に一ヶ月くらい24時間無休で動かし続けてるような状態をイメージしてる人は、改めてもらわないと。

 ま、火力を小出しに復旧させてるから、ギリギリの運用を迫られるところもあるかとは思いますけどね。

 需要の側の問題で言うと、工場を平日休んで土日に操業するタイプのピークシフトは、原発主力の運用向けで、かえって火力主力の時期には、火力発電所に対して負担が大きいというのは、電力会社としてはわかってたはず。
 当面火力主力に切り替えるなら、電力会社は、工場などに土日操業なんてことはさせなかったはず。あくまで、原発が夏前には順次再稼働すると踏んでたから、原発主力シフトの節電方法を呼びかけてて、それが裏目にでてる面もあるでしょうね。

 大口事業者含め、消費者の方も、きっちり土日休む方向に切り替えれば、もっと火力に優しくなるでしょうね。原発がなくなったからといって、特別の大騒ぎするから、問題が起こるんですよ。