ずいぶん前の新聞をめくってたら、以下のような記事を発見。

「玄海再稼働でも節電を」『長崎新聞』2011年6月18日

 長崎商工会議所のエネルギー講演会が17日、長崎市内であり、九州電力の荘野尚志長崎支店長は、定期検査で停止中の玄海原発(佐賀県、停止2基)と川内原発(鹿児島県、同1基)のうち「仮に玄海原発が再稼働しても、節電のお願いは続けることになる」との見解を示した。

 九電は発電量底上げのため火力発電所を代替運用している。原発再稼働に節電効果が加われば、不要になった火力発電用燃料の石油を被災地など電力不足が深刻な東日本に振り向けられるという。ただ、節電の数値目標は設けず「日常生活や企業活動に影響のない範囲」で協力を呼びかけるという。

 火力発電所の燃料は8月上旬分まで確保しているが、今夏の最大電力需要1669万kwに対し、ピーク時の供給力は1728万kw。供給余力は59万kwで通常を大きく下回る3.5%にとどまる。気温が1度上昇すると九州全体で50万kw相当の需要が起き、発電所のトラブルリスクもあるため「事業者としてはひやひやものの夏になる」とも語った。

 講演会には会議所の会員企業などから約80人が出席。荘野支店長は入社以来一貫して原子力部門を担当。原子力建設部長を務めた経験もあり、両原発の安全対策についても詳細に説明した。(河野隆之)


 玄海原発が再稼働しても節電が必要とか、どこまで節電しろというんだろう。原発がないと、電気が無くなるという節電恫喝も、ここまで極端だとあきれかえる。原発無いなら節電、原発有っても節電なら、原発無くて節電した方が良いに決まってるよね。

 しかし、なんで玄海原発が再稼働しても節電が必要かという理由は、東日本に石油をまわすからだとか。


 5月26日には、石油連盟天坊昭彦会長(出光興産会長)が、全国的に火力発電用の石油は既に足りていると、記者会見で発表している。供給量が逼迫する可能性があった東日本では既に石油が足りていると表明。さらに、なぜか九州電力が、九州の石油が足りないから火力発電所を動かせないといっていることに対しても、そんなことは有り得ないと批判している。荘野支店長の講演は、もちろん天坊会長の会見の後のことだ。

 東日本、とくに東北で電力供給が逼迫しているのは、地震によって破壊された火力発電所の復旧作業が困難なことによっており、決して石油が不足しているわけではない。そういうことが、石油の供給業界側からはっきり示されているにもかかわらず、荘野支店長は、「火力発電用燃料の石油を被災地など電力不足が深刻な東日本に振り向けられる」とか言ってたわけですね。

 天坊昭彦会長の会見内容は、全国主要紙にも載せられ、財界の人なら誰でも知っていた話。講演会を聞きにきた商工会議所の会員80人は、ろくに新聞も読んでないだろうと、なめてかかってたんでしょうかね。長崎の財界人、ホント九電の荘野支店長になめられきってますよ。


 しかし、荘野支店長も、まさか玄海原発が再稼働しないというシナリオが現実に進むとは、6月時点では思ってもみなかったのでしょうね。玄海原発が動かなくても、目標値なしの節電で、この夏は過ぎようとしています。玄海原発が再稼働しないと東日本に迷惑をかけたり、九州で停電が起こるかのような節電恫喝は、根拠不明な滑稽な脅し文句だったということが、証明されつつあります。