■■■■■■ 万巻誤用塾・メルマガNo.15-②
「男女特集」承前…つづき…
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 正解 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
■1■人名読みと男女識別。
A.赤染衛門[あかぞめえもん]
:平安中期の女流歌人・百人一首にも見える・女
B.瀬戸内寂聴[せとうちジャクチョウ]
:作家・瀬戸内晴美から出家。2006年文化勲章
C.額田王[ぬかだのおおきみ]
:白鳳時代の女流歌人・万葉集に秀歌がある・女
D.小野妹子[おののいもこ]
:遣隋使[607年]・小学生でも男性と知っているでしょう
E.一青窈[ひとと・ヨウ]
:女性歌手・作詞家・女優。慶応環境情報学部出の才媛
F.馬謖[バショク]
:中国三国時代の武将・「泣いてバショクを切る」の成語あり・男
G.列寧[ウラジーミル・イ・レーニン]
:ソビエト建国の父・「列寧」は中国表記
H.英一蝶[はなぶさイッチョウ]
:江戸中期の画家・芭蕉や其角とも交友。男
I.千々石ミゲル[ちぢわみげる]
:天正遣欧使節の正使・本名:清左衛門、男
J.武則天[ブソクテン]
:中国ただ一人の女帝・周の則天武后[ソクテンブコウ]。
■2■男か女か。
A.宦官[カンガン]
:去勢された後宮の管理役人/清朝末期まで存在した。もと男
B.不見転[みずテン]
:金次第で誰とでも寝る女。かつて芸者に多かったとか
C.女形[おやま]
:歌舞伎は男性社会。対するは宝塚歌劇の「男装の麗人」
D.甚六[ジンロク]
:「総領の甚六」とは長男のこと。「宿六」は亭主のこと
E.種牡馬[シュ・ボバ]
:血統の良い馬を生むための競走馬のタネ付けする馬。♂
F.鉄火肌[テッカはだ]
:活きの良い女。[鉄火場]とは、ばくち場。女
G.閨秀[ケイシュウ]
:芸術的才能にすぐれた女性。閨は女性の寝室
H.瓜実顔[うりざねがお]
:現代的うりざね美人は安室奈美恵ちゃんか・女
I.太夫[古くは[ダイブ][つかさ]と読んだが、後年は[タユウ](格上の遊女)
J.破落戸[ごろつき]
:ごろつきが息巻くのは「ごろまき」・たぶん男
■3■「男子の表現」。
A.紅顔[コウガン]
:厚顔でも睾丸でもない美少年。「朝に紅顔ありて夕べに白骨と化す」
B.蜂準長目[ホウジュン・チョウモク]
:蜂の鼻と切れ長の目[秦の始皇帝/英傑の相]
C.長身白皙[チョウシン・ハクセキ]
:背が高く肌が白い[トヨエツ]あたりが近い?
D.容貌魁偉[ヨウボウ・カイイ]
:いかつい顔つき。[容貌怪異]は語呂合わせで誤用
E.蒲柳の質[ホリュウのシツ]
:身体が頑健でないこと。蒲柳とはカワヤナギのこと
F.梟雄[キョウユウ]
:残忍で勇ましい男。美濃の国盗男・斎藤道三がこう言われた。
G.眉目秀麗[ビモク・シュウレイ]
:要するにハンサム。果たしてオツムの中身は?
H.好好爺[コウコウヤ]
:いかにも人の良さそうな老人・[ヨイヨイの爺さん]ではない
I.眼光炯々[ガンコウ・ケイケイ]
:鋭い目つきの油断ならない男
J.鯔背[いなせ]
:江戸っ子の粋なさま。女性にも使うことがある
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◇―――――――――◇ 編集後記◇――――――――――◇
一青窈[ひとと・ヨウ]
(1976年9月20日生まれ)台湾出身の父と、石川県出身の母の間に東京都で生まれた。中国語の漢字名は顏窈[イエン・ヤオ]。「顏」は父親の姓で、「一青」は母親の姓。
慶應義塾大学環境情報学部卒。一族は鉱山財閥・基隆顏家。
「窈窕たる」と使えば「美しく、しとやかなさま。「窈窕たる淑女」「窈窕たる風姿」などと使う(漢検一級レベル)。
武則天[ブソクテン]
原百代さんの大作『武則天』は面白かったが、中国に精通している高島俊男氏は「照」という名前の記述について酷評している。
蒲柳の質[ホリュウのシツ]
蒲柳とはカワヤナギのことで、反対語は「松柏」。松や柏は常緑であることから操を守って変わらないたとえにも使う。
鉄火肌[テッカはだ]
[鉄火場]とは、ばくち場で、かつてはやった『極妻(ごくづま)』なんぞのイメージ。
なめたらいかんぜよ。
紅顔[コウガン]
「顔」一字で「かんばせ」とも読む(「容」も同じ)。
※「朝に紅顔ありて夕べに白骨と化す」は
蓮如七十一歳時の書簡『白骨の御文章』中に
「それ、人間の浮生[ふしょう]なる相[すがた]をつらつら観ずるに、
凡[おおよ]そはかなきものは、この世の始中終[しちゅうじゅう]、
幻の如くなる一期なり。
されば未だ万歳[まんざい]の人身[じんしん]を受けたりという事を聞かず。
一生過ぎ易し。今に至りて、誰か百年の形体を保つべきや。我や先、人や先、
今日とも知らず、明日とも知らず、おくれ先だつ人は、本の雫[もとのしずく]
・末の露[すえのつゆ]よりも繁しといえり。
されば、朝[あした]には紅顔[こうがん]ありて、夕[ゆうべ]には白骨[はっこつ]
となれる身なり。既に無常の風来りぬれば、すなわち二[ふたつ]の眼たちまちに閉じ、
一の息ながく絶えぬれば、紅顔むなしく変じて桃李の装を失いぬるときは、
六親・眷属[ろくしん・けんぞく]集りて歎き悲しめども、更にその甲斐あるべからず。
さてしもあるべき事ならねばとて、野外に送りて夜半の煙と為し果てぬれば、
ただ白骨のみぞ残れり。あわれというも中々おろかなり。
されば、人間のはかなき事は老少不定のさかいなれば、誰の人も、はやく後生[ごしょう]
の一大事を心にかけて、阿弥陀仏[あみだぶつ]を深くたのみまいらせて、念仏申すべきものなり。
(御文章/五帖目十六通)
蓮如(1415-1499)は親鸞聖人の教えを全国津々浦々にまで弘めた「浄土真宗中興の祖」
太夫
古くは[ダイブ][つかさ]と読む高官の位だったが、後年は「格上の遊女」の意で[タユウ]と呼んだ。したがって男女両方。
●また作問から外れた言葉には
鴟目虎吻[シモクコフン]
:鳶の目に虎の口先[残忍な相とされる]
長頸烏喙[チョウケイウカイ]
:長い首と烏のくちばし[欲の深い相とされる]
女衒[ゼゲン]
:女を遊女屋などに売ることを業とする人。「衒」は売るの意。判人[はんにん]とも。
女誑[おんなたらし]
:「女を誑(たぶら)かす」ふらちなオトコ。「女蕩し」とも。
皇太子傅[コウタイシ・フ]
:律令制に定められた皇太子(東宮)付きの教育官(皇太子の教育係・補佐役)。東宮傅「トウグウ・フ」とも
益荒男、丈夫[ますらお]
:雄々しく強い男。立派な男。⇔たおやめ
などもありましたが次回のお楽しみ…。
解説ページは
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【発行者】神谷 雄高(かみや ゆうこう)
日本語教育研究所(第16期)客員研究員
日本漢字能力検定準一級(H12)認定
〔表記ルール〕
・読み方は音読みはカタカナ、訓読みはひらがなで、基本的には丸谷才一『文章讀本』巻末の表記法に準じます。(ただし漢字からの送りは新仮名づかい)
・出典は出来るかぎり明記しますが、「慣用」使用などの場合は岩波『広辞苑4版』旺文社『古語辞典8版』角川『新辞源〈改〉』に準じます。
…
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