ソーシャルゲームとバブル経済 | 常に向上心を。

ソーシャルゲームとバブル経済

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先週「ウォール・ストリート」を観てきました。
内容的ににはいまいちだったんですが、全く異なる業界模様と
その動く金額、ダイナミズムには色々心躍るものがありました。

また、この映画のひとつのキーワードと言えるのが「バブル」。

日本で「バブル」といえば80年代後半から90年代初頭におこった
日本の不動産価値の高騰による経済拡大と破綻が思い起こされますが、
そもそも「バブル」って何?とか、今の業界に照らし合わせた時に
バブル生成、崩壊メカニズムは考察しておくべきだと思い、以前買った
本を再び読んでみました。

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)/小幡 績

¥798
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というのも、今IT業界、とりわけソーシャルアプリ(主にソーシャル
ゲーム)界隈に関してはバブルバブルと言われ、グローバルで見ても
トレンド的には同時多発しつつも、日本のそれにおけるARPU(要は
ユーザーの課金平均額)は異常な数値に見えます。

また、そもそもなぜソーシャルゲームがこれだけのARPUをたたき出して
いるか、体系的にまとめている素晴らしい本が最近出版されたので
こちらも同時に。

仮想世界錬金術―モバイルソーシャルアプリに見る現代ディジタルコンテンツ革命/山上 俊彦

¥980
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どちらも素晴らしい本です。業界の方には同時に処方することを
激しくおすすめします。
バブルの考察においては基本、金融資本、投資世界の観点からの考察なので、
その論理をそのままユーザー軸の実サービスにひもづけるのは難しいのですが、
特にSAPの観点からは色々と説明がつきます。ただ、今重要なのはAPRUが
バブルなのか、という点。

「今のモバゲー、GREEにおけるソーシャルアプリのARPUはバブルなのか?」

「バブルとすればいつ崩壊するのか?崩壊のトリガーは何なのか?」


みたいなことを色々考えたのですが、結論からいうと


・ソーシャルゲームのARPUは本質的にはバブルではない

・ソーシャルゲームは「ゲームニクス理論」などのゲーム的な理論と、
 「ソーシャル」というITによる新しく大きな付加価値をうまくミックス
 した秀逸なビジネスモデルである

・ただし、ソーシャルゲームが提供している価値を、より手軽に実現する
 新たなサービスが出てくれば、現状のARPUの衰退は免れない

・ただし、本スキームをそのままグローバルには適用できない
 (日本の文化、インフラ、経済状況にかなり依存する)

という感じでしょうか。

詳細は省きますが、「モバイル」「ソーシャル」という大きなトレンドの
中で、どのようなユーザーにどのような価値を提供するのか、というサービス
設計の段階において、今、上記考察はものすごく重要な気がします。

この辺は色々議論して深めていきたい。



映画のレビューを書こうと思ったけど、気がつけば業界ネタになってしまった。

しかし「バブル」の概念、本当に面白い。