ひさびさにSocialタグの記事を書いてみます。

まずは,今年のソーシャルネットコミュニケーションに関して,こちらの記事で書いたので良かったらご覧ください。

次の10年に向けて――2014年のソーシャルネットコミュニケーション
http://gihyo.jp/lifestyle/column/newyear/2014/sociallife

今年はmixi登場10年,そしてここ1~2年のmixi以外のソーシャルネットの普及などから,「混在」という状況のコミュニケーションがスタートする年なんじゃないかなと思っています。あとは,記事に書ききれなかったけど,動画のコミュニケーションにおいて「Vine」や「ツイキャス」といったあたりにも注目したいところです。

■自立は依存先を増やすこと
さてさて。

今回のテーマを書こうと思ったきっかけは,昨年末に読んだこの記事から。

自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと
http://www.tokyo-jinken.or.jp/jyoho/56/jyoho56_interview.htm

このインタビュー記事は脳性まひの障害を持つ熊谷晋一郎さんへのインタビューを書き起こしたもの。
ここに書かれている,
一般的に「自立」の反対語は「依存」だと勘違いされていますが、人間は物であったり人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけないんですよ。

というコメント,そして,自立は依存先を増やすことというのは,腑に落ちる表現で,自分自身当てはまることもあり,また,今後何かを考えたり作るときには意識したいと思いました。

そこから,ちょっと飛躍するのですが,この記事がソーシャルネット上の,自分の身の回りのグラフでシェアされる際,ちょっと見かけたのが,「依存先を増やす=依存を(気楽に)しても良い」という表現。

この点については腑に落ちるどころかモヤモヤしていて,改めて“ソーシャルネット上”と限定した上で,自立と依存っていうのを自分なりに考えてみました。

そもそも,ソーシャルネットっていうのは何パターンがありますが,つながり方で分けると,大きく,

・承認型(mixi,Facebook)
・フォロー型(Twitter)

の2タイプがあります。

このうち,昨今のトレンドは,FacebookとTwitterが多く,(僕の周辺に限ると)mixiのアクティブユーザがだいぶ減りました。mixi登場後しばらくは承認することが1つの制約にもなり,つながる両者にとって主体的な意識があったように思います。

その後,Twitter登場後は「フォローする=つながっている」という意識が強くなったように思っていて。僕は,このフォローする=つながっているとは思っていなくて,あくまで,自分の興味対象となるユーザをソーシャルネット上で一方的に可視化しただけ(つながってない)だと考えています。

ただ,Twitterでフォローし,たとえばメンションを飛ばしたりRTをすることで,Twitter上でのコミュニケーションは発生しているわけで,新しい意味でのつながりは生まれているとも考えられて。

ちょっと前置きが長くなりましたが,この,新しい意味でのつながりというのが,先ほど僕がモヤモヤした「依存先を増やす=依存を(気楽に)しても良い」という感覚です。

誤解を恐れずに言えば,自分で物事を考えられて行動できる人が気楽に依存しすぎるというのは,どこかに慣れ合いが生まれたり,(自発的に動けないという意味での)弱いコミュニティが形成されていくように思っているのが,今回のモヤモヤなのかなと,漠然と思っています。

で,さらにもうちょっと考えて,ソーシャルネット上では自立(他者から独立する,極論で言い換えると他者が存在しないと成立しない言葉)ではなくて,自律(自分の判断で考えて動くこと,つまり他者がいるかどうかは関係ない言葉)ということがけっこう重要なのかもと思いました。

否定的な面で言えば,ソーシャルネットがつまらない・くだらないと思うのであれば,自分からソーシャルネットを使わないという判断(自律)ができるわけですし,肯定的な面では,そのソーシャルネットが楽しく,心地良いのであれば積極的に使うという判断(自律)ができるからです。

で,もう1回話を戻して。

依存先が増えるということは,実は,(気持ちの面でも身体の面でも安心感や信頼感が増幅され,結果として)自律という概念での,判断・行動をする際の選択肢が増えることなんじゃないかなーとも。僕の主観と体験上での仮説ですが。

このあたりを教育ではなく共有していくと,より過ごしやすく快適なソーシャルネットコミュニケーションが成立するのかもと思っています。

久々のSocialタグの記事であまりまとまりがなくなっちゃいましたが,このあたりについて,mixi誕生10年を迎える今年,色々な方とお話してみたいと思っています。

つながりの作法―同じでもなく 違うでもなく (生活人新書 335)/日本放送出版協会