先月末から公開中の『貞子3D2』。

ふだんはホラーとかほとんど観ないのですが,個人的に『リング』シリーズから好きで,楽しみにしていた作品です。

映画『貞子3D2』公式サイト
http://www.sadako3d.jp/

今年は,前作『貞子3D』でのとび出す貞子はもちろん,とくに気になっていたのがこれ。そう,スマ4D。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-貞子

なんと,映画とスマホアプリが連動するというもの。ちょっとネタバレになりますが,前作『貞子3D』での,スマホを中心としたいわゆるイマドキのディスプレイっていうのが作品の中での位置付けが大きかったので,どんな企画なのか,観る前から楽しみでした。しかも,作ったのがカヤックさんということで期待大!

これ↓アプリのお試し動画。アプリをダウンロードするとスマ4Dがちょっとだけ体験できます。



アプリのダウンロードはこちら↓
http://www.sadako3d.jp/suma4d/

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-スマ4D2 馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-スマ4D
(これはお試しで観られる画面です)

ということで,今回は先週観てきた『貞子3D2』の感想と,そこから感じたことを書いてみます。

■映画のスクリーンとスマートフォンと
ではでは。今作の話を。一部ネタバレかもしれないので,そのあたりをふまえてご覧ください:-)

入口。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-映画館

入場の際,アプリに関する説明資料が配布されます。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-資料

そして,いよいよ映画開始。まずはその準備ということで,プロローグ企画が。具体的に話してしまうと全部バレちゃうのですが,映画に合わせてスマホが動きます。

そして,指示通りに進めていくとこんな画面に。煽りますね :-)

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-画面

実際に鑑賞している間,映画のスクリーンの中でストーリーが進行しつつ,ポイントポイントでスマホアプリが起動し,そこでいろいろな出来事が起こります。基本的にはアラート的なものがあって,スクリーンとスマホへの意識を切り分けていましたが,そうは言っても,映画の話に集中していくと,そのあたりのバランスがうまく取れるわけでもなく。
たぶんそのアンバランスが,また,観ている人の心理状態に「怖さ」を与えているんじゃないかと。「怖さ」だけじゃなく,「驚き」だったり,ときに「安心」だったり。

で,その点もあったせいか,個人的な感想として,前作よりホラー度が高かった気がします。
(前作は貞子プロモーションの度が過ぎていた気もしていて,ホラーというよりホラーコメディ的に観てしまったところもあり :-p)

いやー,今回のスマ4D,とにかく新体験でした。

■テクノロジーの進化と映画のRe-design
さてさて,内容についてはぜひ作品をご覧いただきたいのですが,今回,観終わった感想は月並みな表現ですが「とにかく新感覚」です。

まず,映画と言えば,携帯電話やスマホの電源はOFFというのがあたりまえ,当然,今回の作品を観る前に流れる提携の映像ではOFFを促していました。それが,スタートした瞬間にスマホをONにすることを求められ。

そういった,いわゆるあたりまえになったことをあえて覆したこと。これが1つの大きな変化だなと。(映画館では携帯電話はOFFというような)常識になっていることが変わるっていうのはすごいことだと思っています。

もちろん,そういったルールの話は前置きで,一番大きな変化だと思ったのが,スクリーン(観るところ・意識するところ)が分割されたということ。

これまでも映画は,たとえばIMAXの技術で表現力が大幅に向上したり,またとくに2011年の『アバター』以降は3Dを使ったVFXなんかも流行り始めていて,時代時代でストーリーを膨らませられる変化というのが起きていると思います。そこにはいつも「技術(テクノロジー)」が大きな影響を与えているのです。ただ,これまでの変化に関しては,基本的に前面のスクリーンと映画館内のスピーカーという環境下における表現の最大化・多様化だったように思います。
(最近では4dxなんかも要チェックですね。ディズニーランドの『ミッキーのフィルハーマジック』みたいな)

しかし,今回の『貞子3D2』。その環境下に,スマートフォンというデバイスが加わったことによって,観る側が意識するポイントが,前面のスクリーン+スマホのディスプレイ,そして,音源も館内のスピーカーだけではなくて,スマホを通じた音まで広がり,より複雑な世界観を作り出せていると感じたのです。

そして,今回はホラー作品ということで,その広がりが,観ている側の想像力を広げ,創り手が考えている世界観とは違う,観ている人一人ひとりの感じ方,世界観を生み出せていたんじゃないかなーと思います。

ちょっと話が逸れますが,僕は今回観る前から一人の世界で観たほうがより楽しめるんじゃないかと,正面の席ではなく,横の,あまり他の人が取らないところに座って鑑賞しました(なるべく人から離れられるように)。

もしかして,こういう風に一人で楽しんだほうが良いという作品が増えてくれば,映画館そのものの設計が変わるかもしれないですし,逆に,同じ館内で観ている人がつながって,たくさんの人とスマホを連動させて楽しむ作品が出てくる可能性もあるんじゃないかと。

ちょっと冗長になりましたが,今回のスマ4D,個人的には映画の世界でのエポック・メイキングな作品だと思い,今回のエントリを書きました。

技術はあくまで手段という気持ちも少しはありますが,やっぱり技術が進化してそれが普及することで,「創る」幅というのは大きく広がっていくんだなと思います。結果として,今までにあった世界観や価値観が広がったり,あるいはまったくの新しい世界観が生まれると感じました。

大げさな表現かもしれませんが,今回の『貞子3D2』,映画のRe-designを体験できた作品でした。

ps
ちなみに,ストーリーについてはあまり詳しく書かないですが,今回は『リング』の世界に近い,心理的なホラー描写が強くなっていた気がしていて,個人的には好きなタイプのホラー作品です(前作『貞子3D』はビジュアルでのホラーな気がしたので)。


貞子3D 2 ──再誕 (角川ホラー文庫)/角川書店