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伊方原発とめまっしょい☆若者連合のブログ

私たちは、伊方原発の再稼働に反対することを一致点とする若者のネットワークです。私たちのよびかける行動には、若者に限らずどなたでも参加できます。

   自然災害の将来予測は専門家でも難しく、科学的知見を持たない裁判所は判断できない―。原発周辺住民の命や生活に関わる切実な訴えに正面から向き合わない決定だ。司法の責任を果たしたとはいえず、失望を禁じ得ない。

 

  四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じた昨年1月の広島高裁の仮処分決定に対し、四電が不服を申し立てた異議審で、広島高裁は運転を容認する決定を出した。

 

  先の決定では、伊方原発に影響を与える地震に関する調査を不十分とし、火山の想定も「過小」などとして運転を認めていなかった。いずれも仮処分を申し立てた住民側や、四電側の主張を十分精査した上での判断だったろう。

 

  一方、今回の決定は司法として主体的な判断を避けている。自然災害の発生の時期や規模は具体的に予測できず、専門家の見解もどちらが正しいとはいえないと指摘し、裁判所が「具体的危険があると事実上推認するなどということは相当でない」としている。その上で、危険の立証責任を住民側に負わせるという納得し難い内容だ。

 

  原発の安全性の検証には、科学的な知見が求められる。しかし、専門家だけが論じるのではなく、一般市民にも分かりやすく説明されるべきだ。裁判所に専門家相当の知見がなかったとしても、内容を精査して独自に判断できるはずだ。

 

  主な争点についても、四電や国の追認が目立った。原発敷地の2キロ以内に活断層があるかどうかについては、四電が過去に実施した海上音波探査で活断層がないとした結果に不合理な点はないとした。

 

  政府の長期評価では中央構造線も活断層である可能性を考慮する必要性に言及しているが、決定は四電の調査結果をそのまま認めた。探査に関しても住民側はより詳細に分かる手法を求めていたが、退けられた。懸念に応えておらず、安全側に立った判断とは言い難い。

 

  火山については、阿蘇山が運転期間中に大規模な噴火を起こすかどうか専門家の間でも意見が分かれており、噴火の可能性が高いとはいえないとした。説得力を欠く論理展開であり、熟考した形跡がうかがえない。

 

  決定を受け、四電は運転再開に向けた準備を進める。ただ、新規制基準で設置が義務付けられたテロ対策施設の完成は10月の見込みで、当面は運転停止が続くことになる。

 

  昨日は、水戸地裁で茨城県の日本原子力発電東海第2原発の運転を認めない判決が言い渡された。東京電力福島第1原発事故から10年。原発を巡る司法判断はなお、揺れている。

 

  これまでの運転差し止め判断は、事故を踏まえて自然災害にもっと謙虚に向き合うよう求めている。四電は運転に前のめりになるのではなく、警鐘を重く受け止め、住民らの不安に真摯(しんし)に対応しなければならない。