そのものと出合ってみて初めて、

「これよっ!これっ! 私が求めていたものはっ!」って、

気づいたこと、ありませんか?


こんなものが欲しいと明確に意識していなかった時、

自分がどんなものを求めているのか、

自分自身もわかっていなかった時、

あるものと出合って、それが急にはっきり形になった、という経験。

世界がぱっと明るくなったような衝撃。

ドキドキがなかなかおさまらない高揚感。


今年の初め、そんな出合いがありました。


FLAT HOUSE LIFE 米軍ハウス、文化住宅、古民家……古くて新しい「平屋暮らし」のすすめ/アラタ・クールハンド
¥1,995
Amazon.co.jp

昨年末に出版された、『FLAT HOUSE LIFE』という本。


戦前に建てられた古民家。

戦後、駐在していた米兵ために造られた米軍ハウス。

戦後庶民の憧れだった文化住宅。

そういった「古い平屋(FLAT HOUSE)での暮らしを

提案する一冊です。


著者は、イラストレーター・デザイナーの

アラタ・クールハンド さん。


ご自身もFLAT HOUSEで暮らすアラタさんが厳選したという、

17軒のFLAT HOUSEの細部と、

そこに住む人たちの暮らしぶりが紹介されています。

コラムとして、照明やタイル、シンク等のパーツに焦点をあてた

「パーツ・ミュージアム」などもあり。

8年にも及ぶ取材の成果なのだとか。


FLAT HOUSEに詳しく、ひとかたならぬ愛情をもっていると

推察される、アラタさんならではの視点で解説された

FLAT HOUSEでの暮らしは、魅力に満ちていて。

写真も多く、古いもの好き、パーツ好きな私は、

写真集を見るように、眺めているだけでも、楽しい。

おしゃれな雰囲気のアラタさんのイラストも随所に。



そのアラタさんの個展「FLAT HOUSE LIFE展 」が

行われていると知って、昨日足を運んでみました。



東京さんぽ日和
東京さんぽ日和


渋谷・パルコ パート1 地下1階

LOGOS GALLELY

5月11日(火)~5月24日(月)

午前10時~午後9時(最終日はまで)

追記 23日(日)にアラタさんのトークライブ&サイン会が

    あるようです。詳しくは↑HPでご確認ください。


会場内には、『FLAT HOUSE LIFE』に掲載された

FLAT HOUSEの写真や、アラタさんのイラスト原画が。

FLAT HOUSEの中を模した空間が作られていて、

FLAT HOUSEにふさわしい家具や音楽が紹介されています。

原画や家具などは販売も。

Tシャツやトートバッグなど、オリジナル・グッズも

展示・販売されていました。



私が楽しみにしていたのは…



東京さんぽ日和


新しく創刊された雑誌FLAT HOUSE style



アラタさんが自費出版で作ったのだとか。

この会場で先行販売されています。


私には充分こだわりの詰まった本にみえた

『FLAT HOUSE LIFE』ですが、

アラタさんご自身はもっと

微に入り細に穿った解説本」にしたかった様子。

たくさんの物件を掲載したために、

取材記事の半分以上が死んでしまったのだそう。

(詳しくはアラタさんのブログをどうぞ →   )


それならば、

「自分の思うとおりのものを作ってしまえばいい!」

と雑誌を作ることにしたのだとか。

基本一号一軒!掲載という贅沢さ。

FLAT HOUSEで聴くのにオススメの音楽や、

インテリアを紹介するページもあって。

創刊号は、アラタ・クールハンド邸

なんと36ページにわたって、一軒の家を特集!

「これよっ!これっ! 私が求めていたものはっ!」

と再び思った私なのでした…



『FLAT HOUSE LIFE』を繰り返し読んでいるうちに、

すっかりアラタさんのイラストのファンになってしまった私。

オリジナル・グッズをいくつか購入いたしました。



まずは、ポストカード2枚。


『『FLAT HOUSE LIFE』』の中に掲載されている

「良いFLAT HOUSE探しの心得」
東京さんぽ日和



新創刊の『FLAT HOUSE style』掲載の

アラタ・クールハンド邸見取り図
東京さんぽ日和


ステッカーと缶バッジ
東京さんぽ日和


カップ&ソーサー
東京さんぽ日和

イラストはこんなふう。
東京さんぽ日和
東京さんぽ日和
東京さんぽ日和


本が売れないと言われる時代、

昨秋に出版された『FLAT HOUSE LIFE』は、

すでに5回!増刷されたのだそう。


文筆家の甲斐みのりさんの著書をご紹介した日記(→

でも書きましたが、

私は、著者というフィルターを通すことに意味のある本、

丁寧に愛情を持って作られた本が好きですし、

そういったお仕事をされる方を尊敬します。

そして、そのように作られた本は、

多くの読者から支持されるのだな、と。


アラタさんご自身も雑誌『FLAT HOUSE style』の中で、

このように述べられています。


(雑誌自体に魅力も求心力もなくなったのは)

作り手のパッションの問題もある。

発信する側は本当に発信したいことを発信しているのか、

ということだ。

レストランのシェフにしろ大工の棟梁にしろ、

いやいやそれをやっているような人はいないだろう。

皆少なからずプライドと喜びを持ってやっているはずだ。

本を作ることだってそうあるべき。

むしろその影響力や波及範囲の広さを考えれば

もっとそうでなくてはいけないのでないだろうか。


本を出版してからまたよく書店に行くようになったのだが、

人の多さには毎度驚く。(中略)

みんな本を読むのをやめたわけじゃない。

まだまだ本が好きなのだ。

本を見放したのはむしろ作り手の方だ。



本や雑誌を作る業界の末端にいる者として、

忘れてはいけないことばだと思いました。




『FLAT HOUSE LIFE』が多くの読者に支持された、ということは、

アラタさんの提案しているような暮らしが支持されている、

ということ。

でも、その一方、「借り手がいないから」という理由で、

古い建物の取り壊しは止まないのが現状なのだとか。


便利な暮らし = 豊かな暮らし ではないですよね。


古いものの中にある美しさが好きなら、

積極的にそれを守る暮らし、生かす暮らしをしたいなと、

思いました。

アラタさんのように。



よろしければお願いします  → 人気ブログランキングへ