宿泊研修報告 | 東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会

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宿泊研修無事終了

10月25日~26日にかけて宿泊研修が、都内代々木のオリンピック青少年センターで行われた。
参加者は運営スタッフも含め50名になんなんとした。
運営スタッフのおかげで、どのプログラムも熱気にあふれたものであった。

25日の夜には特別ゲストとして、前代表の和田行男さんと、宮崎和加子さんのトークショーが行われた。
その中で二人が口をそろえて訴えかけていたのが、認知症のことより介護報酬の改定についてだった。
今のまま黙っていると改悪になってしまうのだ。その諸悪の根源について、和田さんが、彼のブログに載せているので以下に引用する。そこの中で筆者という雑誌に書いたという人は、自分の意見を通すためには傍若無人にふるまうことで有名な人だ。(以下赤字が引用文)(MN)

『介護保険情報』という雑誌が出ているが、最近発行された211年10月号に
掲載されていたある記事を読ませてもらって愕然とした。

 記事を書いた筆者がどういう方かは知らない。
 名前だけで判断して申し訳ないが、間違えていなければ介護保険制度に
ついて非常に大きな影響力をもつ方と同一人物かと思うので、なおさら看
過できず、僭越ながら意見を述べさせてもらうことにした。
 筆者はグループホーム1ユニット9名当たりの月額介護報酬額2354957円を
基に、人件費75%・事務経費20%・収益5%とはじき出し、職員5名なら月
額353,244円、職員6名なら月額294,370円は給与として支払えるはずで、
そうなっていないのは介護職員に配分していないからだと書いている。
 僕はグループホームの収支を語る上で、著者が人件費を75%として算定
していることは、国の22年経営概況調査結果介護報酬に占める給与費比率
69%からみて妥当な線だと思っているが、職員体制を5名及び6名として
「これだけ給与が払えるはずだ」としている点は問題視している。

 共同生活住居(ユニット)ごとにグループホームの介護職員の配置を満
たしていくには1ユニット当たり次のようになる。

 まずは試算する上での条件設定
(1)連続する勤務16時間を超える勤務を発生させるので、1か月単位の
労働時間制をとるのが望ましいと考え、年間休日数は113日とし、
31日の月は10日休日が発生するとした。
(2)平均勤続年数を3年程度とし、年次有給休暇数の平均付与数年12
日とし、1か月平均1日取得するとした。
(3)(1)+(2)で1か月の休日数を11日(=就業日数20日)とした。
(4)1日の勤務者は、日中帯3:1基準の24時間(8時間×3人)を越える
ために、日勤帯に2人(8時間勤務者2人)夜勤者1人(連続する16時
間勤務)の4勤務(これで日中帯の合計27時間)とした。
(5)試算するに当たって、1か月10日の公休だと年間120日となり、
(1)に記載した113日を7日オーバーするが、それらは「研修の機会」
や「慶弔休暇」や「病欠」などを考慮してシミュレーションする。

 そうすると…

■1日4勤務×31日=月に123勤務発生
■全123勤務÷職員1人20日勤務=6.15人が必要

 1年単位の変形労働時間制にすると

■1日4勤務×365日=1360勤務
■年間休日108日+年次有給休暇12日=120日休日
■1360勤務÷職員1人245勤務=5.55人が必要

 つまり、介護保険法や労働基準法を満たしていくためには介護職員は6人
以上必要となり、1年単位の変形労働時間制でも5.55人は必要となる。
 確かに2ユニットを1人夜勤すれば介護職員がユニット当たり5人でまかな
えるが、1人夜勤は災害や事故、職員の不意の事故や病気などアクシデント
に対して脆い組織(職員体制)であり、ましてや労働基準法上の問題(休
憩時間のあり方)もあると考えられ、利用する国民や従事する職員の側に
立って考えると、それを誘導するかのような話にはくみできない。
 また、それ以外に管理者や計画作成担当者の配置が義務づけられており、
さらに経営者(達)や株式会社なら出資者の取り分も必要で、職員数5や6
で割り返すのは理にかなっていない。ましてや先週書いたように、介護保
険法上の管理者と労働基準法上の管理監督者の課題もある。
 仮に介護職員6.15に、管理者0.5、計画作成担当者0.5、それに経営者達
の取り分1.0を足すと、8.15となる(1年単位なら7.55)。
 筆者が言うように人件費75%・原資1766218円を8.15で割ると、1人当た
り216700円ほどで年額にして260万円である。7.55で割っても233900円ほ
どで年額にして280万円にしかならない。しかもこれは夜間勤務をして割
増賃金を得てである。もうひとついえば経営者の取り分を同額と考えて
である(あなたは年収260万280万円の経営者に夢をもてますか? 経営者
になりますか?)。
 これを2ユニットにしたとしても、共同生活住居ごとに人員配置が決ま
っているグループホームでは、夜勤を1人にする以外、ほとんどスケー
ルによるメリットは生じない。
 ちなみに22年介護事業経営概況調査結果によると、グループホーム
(定員平均14.7名 常勤換算職員数12.6人)の常勤換算職員1人当たり
給与は234831円となっており、介護報酬に占める給与費率は69%となっ
ている。
 筆者は著名で影響力のある方のようなので、根拠をもって書いた記事
であり、きっと職員5人で労働基準法・介護保険法を遵守するグループホー
ムの運営ノウハウをもっているのだろうが、多くの経営者ならびに現場関
係者は「?」を感じ「怒り」さえ覚えているのではないだろうか。
 また筆者は「食費と書いて原材料費+調理費」としているが、グループ
ホームでは食材料費の徴収しか認められていないことも正確に書いていた
だきたい。
 逆に、介護報酬に占める給与費の割合が69%であるにもかかわらず収益
率が高いということであれば、介護報酬以外の「その他の収入=家賃、食
材料費など」が支出を上回って収支差益を生んでいる構造が見え隠れする。
 つまり、実費相当の徴収になっている食材料費を実費以上徴収して差益
を生ませるなどであるが、これは介護報酬論議とは別枠で事業者のモラル
を問うことが必要であり、行政指導等で適正化を図るべきである。
 同時に、22年経営概況調査に表れている介護老人福祉施設の常勤換算職
員1人当たり給与は310470円であるが、グループホーム職員や小規模多機能
型居宅介護職員(同224158円)も同水準の給与となるよう介護報酬を見直
すのが筋である。
 その理由は、介護老人福祉施設の職員1人当たりの利用者の数は2.0人、
グループホームは1.3人であり、国民(利用者)にとってサービス受給量が
多いところで働く職員の給与が低いのは、どう考えてもおかしなことであり、
介護老人福祉施設職員の給与が決して高いわけではなく、この国の平均的労
働者の給与水準だからである。
 ちなみに、現行の介護報酬のままグループホームで介護老人福祉施設職員
なみの給与を支払うと、介護報酬に占める給与費率は90%を超える。
 逆に介護老人福祉施設で介護報酬に占める給与費率(57.5%)を変えない
でグループホームと同じ人員配置にすると202000円ほどに下がり、介護報酬
に占める給与費率をグループホームと同じ69%にすると243000円となり、同
じような給与水準になる。
 介護保険制度のスタートとともに日本中に広がったグループホームの灯り
を絶やすことがないよう、介護報酬で平均的労働者の給与が支払えて健全な
経営ができるようにしてもらいたいのと同時に、行政指導官の能力を引き上
げて経営の適正化を図り、国民はもちろんのこと、健全な経営を行う事業者
をも守ってもらいたい。
 同時に事業者・事業者団体は、行政にだけではなく、同じ事業者に対して
もモノ申さねばならない時期を迎えている。
 これからグループホームの介護報酬改定論議がされるようだが、こうした
ことを踏まえて議論していただくことを切に願っている。
長文どうも