先日会ったチェコ隊の一人が滑落したのが問題のポイントです。
キャンプ1を出発して…
もともと作られていたルートが、雪崩とこのアイスフォールの崩落によって完全に潰れてしまっていました…
ここに行くまでは、難しい状況を聞いてはいたのですが、それでもなんとかなるだろう、と高を括っていました。
しかし現場は想像以上に酷い状態…
シェルパたち3人が、こっちはどうだ、ここは通れないか、と散々話し合っていたのですが有効な解決策を見つけることはできませんでした。
仕方なくぼくたちはそのままベースキャンプまで下りてこれからのことを相談することに。
ベースキャンプではいつもと変わらぬくだらない話題で談笑していたのですが、不意にシェルパのダデンリが真顔になって、
「今回のマナスルはここであきらめたいと思います」
と告げてきました。
あ、やっぱりな
それがぼくのその時の気持ちです。
みんなの生命のリスクを冒してまで先に進むことはできなかっただろうし、当然の選択だったと思います。
シシャパンマがだめだったこともあって悪い流れを引きずっている感覚もありました。
心にぽかんと穴の開いたような気持ちになりましたが、頭ではしっかりと理解して納得していたつもりです。
なのに、なんで今思い出してもこんなに胸が痛むのか…
「天候のせいだから仕方ないよね」
「自然には勝てないから」
帰国後ぼくは多くの人にそう言ってなぐさめ励ましてもらいました。
でも、ぼくにはそうは思えません。
計画も準備も甘かったし、もっと詰められる所もあったはずです。
そしてなにより、天候も自然条件も含めて、登れなかったということがぼくの実力だったと思うんです。
不甲斐ないし情けない…
今でもそんな思いを引きずっています。
正直、この文章を書くのも心が痛むつらい作業でした。
でも、立ち直るためには自分の気持ちを正直に受け止めないと、そしてまた一歩ずつ次の登頂に向かって歩き出さないと、そんなふうに思っています。
必ず次の挑戦へと向かっていくんで見ていてください!!