下の動画は、youtubeに投稿されているドイツのトイレ事情を伝えるものです。


見ていただいた通り、
使用後に水を流すと便座が回転。
伸び出たアームが便座を押さえ、拭き掃除をします。

ハイテクかどうかは議論のわかれるところですが、
日本でも便座を自動で掃除してくれるトイレというものはありまして、例えばこういうものがあります。


マルチタイプトイレ

多目的な用途を持つ公衆トイレで、府中市でよく見かけるタイプのトイレです。
上のような独立型のほか、

上記のような、一般トイレとの一体型も存在します。


3つのボタンとトイレの鍵

壁には三つのボタンがあり、
「1」のボタンを押すと目の前の扉がゆっくりと回転を始め、



トイレがその姿を現します。

半円という狭いスペースしか持たなかったトイレの内側は、
利用者がボタンを押すことによって、



円という、車椅子もが利用するに十分なスペースを確保します。

このトイレの利点は多目的トイレに必要な、
大きな床面積を必要としない点があげられます。

公衆トイレにしろ、商業施設にしろです。
多くの多目的トイレのそのスペースは三畳一間より大きく、その気になれば人が住めそうなほどの土地の大きさが必要です。

車椅子の駐車スペースを考慮したうえでの設計となりますから、その確保は当然となるわけです。

ところが、
このトイレは回転式扉にすることで、入り口とその奥にあるトイレとの距離を短くします。
トイレの扉の前――トイレの外にいた利用者は、トイレの扉が回転することで自然とトイレの中、内側にいることにになります。
つまり入り口のスペース自体が車椅子の駐車スペースとなるわけです。

多くの多目的トイレのドアがスライド式を採用しているため、ドアをスライドさせるために必要な横幅も確保しなければなりませんが、このトイレタイプのトイレにはその横幅も必要ありません。

トイレの使用時・未使用時に関わらず、不必要な空間を大きく削ることに成功しているのがこのトイレなのです。


鍵は一見原始的に見えるが・・・

このトイレ、上の写真のように鍵をかけないと15分後に自動で扉が開きます。
使用中、いったん扉が閉まれば、
扉の開閉に必要な三つのボタンもトイレの内側に位置するため、
外からは開けることはできなくなりますが、
商業施設や公共施設によく見られるボタン式開閉装置を備えた


内側の「閉」ボタンを押したら、自動で鍵がかかるタイプ

上の写真の多目的トイレのように、
自動で鍵がかかるタイプの多目的トイレではないので、
利用中にご開帳とならないように注意が必要ですね。

さて、このトイレですが、



デフォルトでは便座がありません。
一見すると設計ミスにも見える和式トイレ風ですが、



「2」番目の便座ボタンを押すことで洋式トイレへとその真価を発揮します。



ガシャン! と蓋らしきものの下から、ニョッコリと顔を出す何かが・・・



ガーーー!! と音を立てて伸びてくる。



ガコン! なんだかとってもメカニカル!

この便座、用を終えると収納されるのですが、


便器の淵の上を伝う水の様子がわかりますか?

便座収納のさい、
水で便座を洗っているようです。
ゴぉーー!っと、便座を乾かす風の音が聞こえてきます。

上の便座の写真を見ると、
右側が汚れて見えますが、便座の材質の劣化に伴い染み付いた汚れのようです。
上記のように便座は自動で掃除されているので安心して良いようです。


トイレ左手には手すりのほか、
トイレットペーパー、手洗い、緊急用のボタン、ゴミ箱があります。


トイレ右手には物置台。


手洗いの水は、下から奥に向かって吹き付けるタイプ。


マルチタイプトイレの説明

狭いスペースで最大限の多目的用途を活かそうと、とてもよく考えられたアイデアトイレですが、
それゆえにオムツ台、ベッドシート、オストメイトなどの設置スペースが元より取れません。
またこういった考えられたデザイントイレでは、新たな装備を追加できるような拡張性・柔軟さに欠けています。

本当の意味での多目的トイレとしては一歩およばずといったところですが、それでもそのアイデアとコンセプトは賞賛されて然るべきでしょう。

【設置場所一例】
小柳公園 南側トイレ
府中公園 南西側トイレ
防災公園トイレ