普段、当たり前のように使っているものは、気づかないだけで、なくてはならないものだったり、相当な恩恵を与えてくれたりしている。

 

 それはまるで、手のひらから零れ落ちていく水のように、すべてを失ってから、その「ありがたみ」を享受していたことに気づく。


 現代社会において、電気もガスも水道も電話も、みんな必要不可欠なインフラだが、そうした中に当然ながら「鉄道」も含まれている。


 一度廃線になった鉄道が復活はしない。

 ただし、線路があれば再び走るかもしれないという淡い可能性だけが残る。


 3月15日のダイヤ改正で、いくつかの寝台列車が消えた。

 その中には、東京と大阪を結ぶ「急行銀河」も含まれていた。


 廃止直前の「急行銀河」の乗車率は軒並み低く、JR当局が廃止を打ち出しても、これはもう仕方がないことだと言えた。

 それほどまでに、寝台列車は凋落し、夜行バスや飛行機に次々にとってかわられたのである。



急行銀河の最終日


 急行銀河の廃止は、鉄道史にとってひとつの事件ではあっただろう。それでも東海道本線が消滅しない限り、銀河が復活する可能性があり、昨今の原油高で夜行バスは苦しくなっており、料金体系の見直しなどを実施すれば、客が戻ってくる公算もある。


 その一方で、三木鉄道といったローカル私鉄や第三セクターは順次廃止されていく。

 新しく登場する鉄道がある一方で、消える鉄道は数え切れない。


 ボクたちが失った交通手段を、便利だったのになと後悔するのは、廃止された今なのかもしれない。

 鉄道が好きだという人間は、「もう二度と“さよなら”を言いたくない」と口にする。


 しかし、社会情勢が変われば、鉄道もそれに合わせて変化する。仕方がないのだと言い聞かせるしかない。


 そう自分を納得させたところで、一抹の寂しさが解消されるわけではない。


 人生は後悔の連続だ。

 

 そんな消えてしまった鉄道を取り上げたテレビ番組「懐かしい鉄道風景」(関西テレビ☆京都チャンネル)は7月30日にオンエア。HPなどに写真を提供するとともに、番組内の監修も担当しています。

 ご覧になれる方は、ぜひ!

 http://www.kyoto-channel.com/program/bq2jes0000003eo9.html