多くの打者は狙い球を絞って打席に入るが、投手にとって長嶋茂雄選手の狙い球を予測するのは至難の業だったそうだ。もしかしたら狙い球を絞ることなど必要がなかったのかもしれない。天才といわれる人は、凡人が予想もしないプレーで周囲を驚かす。

一方、とんでもないバカも予測不能の行動で周囲を驚かす。元厚生次官や家族の連続殺傷で捕まった小泉毅容疑者である。

ターゲットとなった人物の経歴から、年金制度に不満をもつ犯人による「テロ活動」と早くから目された。閣僚らもそうした発言をしていた。常識的な考えの延長からは、まあ妥当な推理だろう。

ところが殺意を聞いて、みんなビックリ! ペットの犬を保健所に処分されたことへの恨みだった。しかし、保健所は厚生労働省の所管ではない。厚労省の次官経験者を狙うのは筋違いだ。

今朝の読売新聞によると、当の小泉容疑者は警察の取り調べの中でそのことを知らされ、驚いていたというから間抜けだ。「背後に仲間がいるのではないか」と勘ぐる人達もいる。突拍子もない犯行動機に対しては、常識人としてはそう考えたくもなる。

逮捕前に年金テロ説が支配されていたころ、麻生首相だけは否定的なコメントを発していた。国の危機を眼の前にして、明確なメッセージを出せない首相の指導力を疑う声もメディアでは聞かれた。でも今となれば珍しく正しい見方だったわけだ。麻生首相と犯人。知能のレベルはどっこいどっこいなのだろう。

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