キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人 | とあるワナビーのライトノベル作家になるための追憶

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キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人 (講談社BOX)/森川 智喜
¥1,404
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最高評価S~最低評価F

【文章力】B
【構成力】B

【キャラクター】B

【設定】S

【総合】A

【あらすじ】

一攫千金を目論む化けネコ・プルートが考えついたのはコテージに見せかけた“人間カンヅメ”工場。彼女の計画はしかし、思わぬ形で破綻する。工場に呼び寄せた高校生の中に、人間に化けた黒ネコ・ウィリーが混ざっていたのだ!ネコ社会の法律により、ネコを殺すことは許されない。4人の人間から1匹のネコをあぶりだせ―尻尾を出したら殺される。

【感想】

この作品は人間に惚れた主人公の化けネコが、仲間を裏切って人間たちを守り、かたや一攫千金を目論む敵の化けネコがなんとか主人公をだしぬき人間たちを殺そうとするストーリーだ。物語は主にこのふたつの視点で描かれる。とにかくこの設定が面白い。語り出しからして一気に物語に引き込まれる。冒頭の部分を引用すると、『おれたちネコが時々集会を開いていることは人間も知っているようだが、さすがに彼らも、そこで何を話しているのかについては知らないようだ。といっても、おれたちだって別に話すことを特に決めているわけじゃない。今日はこんな話をしようと思って顔を出してみたら全然違う話で盛り上がっていた、なんてことはざらにある。例えば、ある夏の夜がそうだった。』
このように続きが気になるストーリー展開が非常に上手かった。読み始めると止まらなくなる。主人公と敵たちの知恵比べで、お互いがお互いを出し抜こうと様々な策略を練って対決する様は面白かった。何にでも化けれる化けネコという存在と、ネコはネコを傷つけたり殺したりできないという設定が秀逸。途中まで非常に楽しんで読んでいたのだが、後半が尻すぼみになってしまった。さあ、ここから盛り上がるぞと言う部分で、駆け足で収束へと向かってしまったのだ。ラストに大オチが待ってはいるのだが、あまりに駆け足すぎて、そのオチがあまり盛り上がらなかった。ちょっと惜しい部分はあるのだが、それでも小説としての面白さは抜群だった。
文庫版も発売されている。


キャットフード (講談社文庫)/森川 智喜
¥572
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