至高の話芸
今回、私が長年、探していたディスクというか、演目が発売された。
ジャンルは落語である。
咄家は、二代目桂小南。故人である。
小南については、2008年9月8日のブログに詳述しているので、興味のある方は参照願いたい。
6/23付けで発売されたCDは、東海ラジオの50周年を記念して、かつて主催していた落語会の音源をCD化したものである。
当然、本邦初である。
二つの噺が収録されている。
その内の「帯久」が是非、聞きたかった。
録音は1985年。当時の師匠の年齢は65歳。
私はかつて、霞ヶ関のイイノホールの、ニッカン飛び切り落語会で、小南の「帯久」を聞いている。
この日のトリは、金原亭馬生で、人情噺「大阪屋花鳥」であった。
しかし、噺の出来は、中入り前の小南が圧倒的だった。
この噺は元々、関西ネタである。当時、東京の噺家が演じて、ディスクにも残したのは、円生と小南だけだったと思う。
勿論、当時はCDはなく、レコードであった。
この噺は人情噺「柳田角之進」と同工異曲と言ってもいいと思う。
要するに筋立ては似かよっている。
しかし、「帯久」はサゲがあるので、正式には人情噺とは言えないかもしれないが、内容的には完全に人情噺である。
当時、小南は上野の本牧亭で、隔月で独演会を催していた。
芸人としての絶頂期、最盛期だったと思う。
この会を録音して、シリーズでCBSソニーが発売していた。
今では、幻の音源と言っても過言ではないと思う。
現在、入手できる小南のディスクでの噺は、当時発売されていた噺の数の1/5程度だと思う。
これは貴重な資料であり、落語という大衆文化の遺産である。
この咄家の力量は、先代金馬の薫陶を受けて、微動だにしない本物だった。
芸術祭大賞、紫綬褒章も受けている。
後世に必ず伝える必要がある。
改めて、合掌。