最近ご無沙汰気味の「犯罪」について、雑感。

恵庭OL殺人事件、木嶋佳苗の殺人事件、逗子ストーカー殺人事件。どれも過去、私が取り上げたことのある事件だ。たまたま昨日同時に、この三つの事件についての情報に触れた。


湊かなえの「白ゆき姫殺人事件」が文庫化され、大々的に売り出されていると思えば、井上真央主演で映画化されたらしい。読みたくてたまらないがさすがに今読む時間はないので、あらすじを調べたら、これはどう考えても元ネタが「恵庭OL殺人事件」。殺害方法や疑われ方、背後の人間関係などソックリ。前の職場で犯人不明の犯罪があったという設定までそっくり同じ。殺人犯として名前が挙がっているのが主人公で、井上真央がこの役をやるらしい。
ネタバレを最後まで読んでいないので、この小説における真犯人は知らないが、一部で冤罪と言われているあの事件、「事実は小説より奇なり」を地で行く、極めて興味深い事実が満載だったという証拠に、湊かなえがそのまま設定をパクってる。

あれだけ疑わしい状況が並んだとしても、証拠がなければ、有罪にはできない。その調達した証拠に怪しい部分があったとしても、検事と裁判官の胸先三寸で運命が決まる。
怪しい状況>>>怪しい証拠、というのがこの事件の核心だった。
だが世の中には他にいくらでも、怪しい状況<<<あやふやな証拠、という結末に至った事件がゴロゴロある。その運命を分けるものは何なのだろう?



白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)/集英社

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恵庭OL殺人事件: こうして「犯人」は作られた/日本評論社

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ところで木嶋佳苗のブログ、もう読みましたか?期待を遙かに超える面白さだった。まずは文章力がすごい。何と言っても、メールだけで男に100万、振り込ませた女だ。どんな凄いメールテクが・・・と思えば、なるほど確かに知性が感じられるこの文章を読めば、コロッと逝ってしまうと頷ける!


http://blog.livedoor.jp/kijimakanae/
木嶋佳苗の拘置所日記


「獄中日記」ではないのは、彼女がまだ未決勾留の身だから。今は「私を支援してくれる素敵な殿方」のお陰でブログをアップできてるが、死刑が確定したらどうするんだろう?まだ先の話だが。

このブログで、木嶋佳苗の本性というか、凄みを感じたのは、ある日の日記のタイトルが「心がほっこりするイイ話」なのに、内容ときたら、某ライターの北島みのりを思いっきりディスってるだけなのだ!!どこが「心がほっこり」「イイ話」なのか?どうやら「私はあんな女のことはこれっぽっちも歯牙にかけてないよ」とバカにしている状態が、彼女にとって「ほっこりするイイ話」ってことらしい。
一方でジャーナリストの青木理に熱烈なラブコールを送っていて、公開恋文状態。それも、彼の書いたものや思想というよりは、彼の容姿や人間性に猛烈に惹かれている模様。木嶋佳苗のブログを読むと、青木理がジゴロ山路徹と重なって仕方がないのだが・・・改めて容姿を見てしまったよ。

しかし、徹底的に女性を軽蔑していて、徹底的に男性(但し好みの男性のみ)をリスペクトしてるんですねぇ。そしてそれを隠さない。女性としてここまで、負けず嫌いでプライドの高い人はそうそう、周りにいるもんじゃない。
とりあえず今、日本で最も「これからも更新楽しみにしています!」とは言えないブログであることは間違いない。

そしてうっかり、青木理の本を購入。いつ読むんだ。

誘蛾灯 鳥取連続不審死事件/講談社

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木嶋佳苗が「嫉妬に狂った」という著書。




昨晩、テレビで「逗子ストーカー殺人事件」の被害者のお兄さんの証言を元に、事件までの出来事を再現していたのを少し見る事が出来た。あれは、警察が、逮捕状に書かれた「住所と本名」を犯人に告げてしまったことから、早々と居所を突き止められてしまったのだが、犯人の執念深さを見ると、仮に住所と本名を告げなかったとしても、早晩、同じ結末になることは避けられなかったように感じた。魅入られたら最期だ。ああいう蛇男を見抜くにはどうしたらいいのだろう。

去年、警察法についてちょいと勉強する機会があったのだが、そこで凄いこと(自分にとっては)に気がついた。警察行政の最大の特徴というのは、「裁量権」の幅が広いということなのだが、裁量権の適切な行使の為には、警察官一人一人に、高度な倫理観や判断力が必要なのだ。よく、警察に相談に行った時に「これは事件にはならないね」と言われてしまうといった話を聞くが、あれは、「逮捕できるかどうか」「起訴できるかどうか」という意味であって、決して、「捜査できない」ということではない。たとえ、逮捕要件はなくとも、犯罪の端緒ありと思料したならば、警察は自由に「捜査」できるのだから。
そして、犯罪といえば法曹三者である「検察官」「裁判官」そして「弁護士」という、これら司法試験を経た者だけが、犯罪者を引きずり出して裁いて牢屋に入れたり弁償させたり・・・といったことが出来るのであり、警察は、あくまでも起訴準備の為の地道な捜査しか出来ないことになっている。しかし、法曹三者には絶対に出来ないけど一番重要なことがある。それは、「犯罪を防ぐ」活動である。
法曹三者はあくまでも「起こってしまった犯罪の後始末」しかできない。でも、犯罪を予防できればそれに越したことはない。それが法的にも公的にも大手を振って出来るのは、警察だけである。
警察って、市民にとっては最も権力的で、最も期待される存在なんだと、気がついた。なのに、余りに不祥事が多すぎて、ダメダメすぎるのはどうしてなんだろうか。


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清水潔さんのこの本は本当に泣ける。一介のジャーナリストが、ここまで事実を追い詰めることができるのだ。