「中学担任、いじめ防止怠る」=一宮市に安全配慮義務違反-名古屋地裁支部

中学校でのいじめをめぐる訴訟で学校側の安全配慮義務違反を認めた判決を受け、記者会見する原告側代理人の勝田浩司弁護士(左)ら=25日午前、愛知県一宮市
 市立中学校で同級生からいじめを受けたのに、学校が適切に対応せずに精神的苦痛を受けたなどとして、愛知県一宮市に住んでいた女性(23)が同市に約610万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、名古屋地裁一宮支部であった。倉田慎也裁判長は「担任教諭に再発防止を図る義務があったのに、必要な指導をしなかった」として、市側の安全配慮義務違反を認めた。請求自体は棄却した。
 判決で倉田裁判長は、1年時の担任について「同級生による問題発言などを把握していた上、女性の母からも申告があり、いじめの標的になっていたと知り得た」と指摘。「加害生徒らの弁解を安易に受け入れ、いじめが存在しないことを前提にした指導に終始した」と批判した。
 女性の損害額としては慰謝料など約140万円を認定したが、女性は別の訴訟で同級生側から和解金を得ており、既に相当額が補填(ほてん)されたと判断した。
 判決によると、女性は1年生だった2002年秋に「むかつく」などと悪口を言われたり、掲示された遠足の写真の顔を黒く塗りつぶされたりした。その後も複数の同級生から「うざい」「きもい」と言葉でのいじめが続き、2年生からはリストカットするようになり、心療内科も受診した。(2013/09/25-12:37)


「実質勝訴」と評価=一宮市いじめ訴訟で代理人
時事通信 9月25日(水)13時28分配信
 愛知県一宮市の市立中学校でのいじめをめぐる損害賠償訴訟の判決について、25日に記者会見した原告側代理人の勝田浩司弁護士は「いじめの事実や学校の責任など主張がほぼ認められ、実質勝訴だ」と評価した。原告の女性(23)も「被害妄想だと言われてきたが、認められてうれしい」とのコメントを寄せた。
 勝田弁護士は「いじめが存在しないという前提で対処した学校側の態度に女性は傷ついてきた」と指摘。「裁判所が『うそつきではない』と言ってくれた意義は大きい」と話した。