そう言えば3月に、二件ほどちょっと呆れた報道があった。

まず、3月12日、「友人の卒業式に無理矢理出席しようとした」神戸市内の中3の男子生徒を、「建造物侵入罪」で現行犯逮捕したという。

友人が通う中学校の卒業式に無理やり出席しようと敷地内に侵入したとして、兵庫県警兵庫署は12日、建造物侵入の疑いで神戸市内の中学3年の男子生徒(15)を現行犯逮捕した。「男友達の卒業を祝いたかった」等と容疑を認めているという。
 逮捕容疑は、12日午前10時50分ごろ、神戸市兵庫区吉田町の市立吉田中学校の塀を乗り越え、敷地内に侵入したとしている。


逮捕したのは学校じゃなく兵庫県警兵庫署で、それで現逮とはどういうこと?と思ったら、朝の九時過ぎから彼は、「卒業式に出席させてほしい」と学校に来ていて押し問答を続けていたという。
それで学校は困って、警察に助けてもらったんですな。
この少年がどうして卒業式に出てはいけなかったのか、そのあたりの事情がこれだけでは分からないんですが、警察の助けを借りなければならないほど、この少年は暴れまくったとでも言うのでしょうか?だとすれば、教師に対する暴行、傷害、若しくは器物損壊の容疑で逮捕も出来たでしょうが、あくまでも容疑は「建造物侵入罪」。


もういっちょ。

3月23日。東京都葛飾区で、「小学校に通う長女が怪我をしたのは担任の責任だ」と言いがかりをつけ、学校側に謝罪文を書かせようとした容疑で、父親を強要未遂容疑で逮捕。

 2月20日昼ごろ、副校長に「校長、副校長、学年主任、張本人(担任)のフルネームと実印を押して原本をよこしてくれ」「どんだけこっちが我慢しているんだ」などと言い、謝罪文を書くよう強要したとしている。
 葛飾署によると、容疑者の長女は昨年12月下旬、帰宅途中に転倒して左手小指を骨折。容疑者は翌日から学校に「担任が荷物をいっぱい持たせて帰宅させたのが原因」と主張し、謝罪を要求し続けていたという。



これも何だかなぁ・・・。最近、学校が父兄を訴えるという目も当てられない訴訟が散見されるようになったが、この父親は「知人ら数人で学校に押しかけることもあった」という、「職業不詳」という人だったので、学校も相当びびったのだろうけど。



公立校であっても、義務教育課程であっても、法律上、学校は生徒に対し、「停学処分」「退学処分」をすることができることになっている。
が、退学処分がなされないのは当たり前だが、「停学処分」ですら、年間数十件であり、その殆どが理由を「教師に対する暴力」とするもの。
「他の生徒へのいじめ」を理由とする停学処分は、確か私の記憶では、たった3件だったかと。


学校が警察やら司法の力を借りようとする時って、結局、自分達の身が危なくて手に負えないと思った時だけ。
生徒の身が危なくて手に負えないと思っても、知らんぷりなのが、我が国の学校現場。


「再発防止に努め、生徒たちがいじめが許されないということを真に理解するよう指導していく」

これは、佐賀県鳥栖市の市立中学校で昨年中1の男子生徒が、同級生らから70万円の恐喝を受けた等とする事件が発覚、3月21日に両親が記者会見をしたのを受け、この中学の校長が発したコメント。

いやだから、どうしたらいじめが許されないということを真に理解するようになるのか、その指導方法を教えて下さいよ、先生。
この連中のしたことは、「大勢で男子生徒を殴る蹴る・包丁を投げつける・エアガンで撃つ・殺虫剤を顔面にかける・現金を脅し取る」といった、暴行罪・傷害罪・脅迫罪・恐喝罪といった、立派な犯罪行為じゃないですか。殺人未遂罪で訴えてもいいくらいだ。

こういう時こそ、警察の力を借りるべきなんじゃないですかね?

学校は直接の被害者じゃないから、警察に通報できませんとでも?
いやいや、「生徒たちがいじめが許されないということを真に理解するよう指導」する立場と義務のある管理責任者として、指導むなしく犯罪に至ってしまい、我々の手に負えなくなってしまったので、どうかお力お借りしたいと、被害生徒の家族に通報を勧め、捜査にしっかり協力していただく位のことは当然、できますよね。というかそれも義務だろう。
そこまで学校は責任負わないと言うのなら、「いじめが許されないということを真に理解するよう指導します」なんて、およそ不可能な事を軽々に口にしないことだ。


たかだか、卒業式を祝いたいからと校内に立てこもられたり、謝罪文をしつこく要求されたりする程度で、国家権力、使うんじゃないよ。