芳珉 | 京都1975

芳珉

芳珉
桂エリアの東側、国道9号線から少し外れた、薄暗い、静かな住宅街の一画に、煌々と灯りをともす赤提灯。「芳珉」(ほうみん)は、味のある店主と奥さんが切り盛りをする小さなラーメン店。こんなに奥まった、人目の付きにくい立地にも関わらず、深夜4時まで営業ということもあり、飲酒後の一杯、遅い晩飯としても活用でき、常連さんが多く、どの時間帯も客足が絶えない人気店である。メインとなるのは豚骨ラーメン。真っ白な豚骨スープは一口すすると「天天有」よりもさらにあっさりとしたお味で、良く言えば「上品な口当たり」、人によっては「水くさい」といった感想も出るかもしれない。そこは店主も承知のうえで、ラーメンを食べる前に、必ず「ほい!入れる?」と、店主自らニンニク唐辛子をさじにすくってこちらに差し出してくれる。なんとも滑稽な儀式ではあるが、どの客にも漏れなくニンニク唐辛子は差し出され、私の経験上、ほとんどこれを拒む客はいない(たまに拒む通なオヤジもいたりする)。基本的に「芳珉」のラーメンは、このニンニク唐辛子ありきのスープで、私も例外なく必ず入れてもらう。ただし、最近は舌が肥えてきたのか、なしの状態でも風味が楽しめるようになってきて、半分くらいは素のスープで食って、残り半分でぐちゃぐちゃにかき混ぜて食う。兎にも角にも、ニンニクの風味も相まって、ご飯をガッツリと食える、不動のご飯系ラーメンとしてその存在は揺るぎない。店主は鋭い眼光の強面で、一見すると頑固オヤジっぽいオーラにビビってしまうが、実はとっても愛嬌のあるおっちゃん。私の場合、最近は来店する度に、どうやってこの強面の店主を笑かそうかと考えていたりする(趣旨は不明)。この前は来店と同時に開口一番、ピースサインで「ラーメントゥー(2つ)!」と注文してみると「英語で注文されたん初めてやわ……」とかなりウケていた。結構単純な笑いに弱いな……またなんか考えておこう。あと突然「この前お父さん来たはったで!」と、全く身に覚えがないことを言われたりもした。そもそも我が一家左京区在住やし……おっちゃん、ありえへんで!

芳珉 (ほうみん)
★★★★★ 4.5