神の守り人〈上〉来訪編/上橋菜穂子 | ひねもすのたり

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神の守り人〈上〉来訪編 (軽装版偕成社ポッシュ)/上橋 菜穂子
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守り人シリーズ5作目、でいいのかな?
「虚空の旅人」の時点よりも、時間が過去に巻き戻っていて「あれ?」と思ったのですが。
発行順ではこれが5番目なので、いいんですよね?

今回は続き物で、上下2巻あるうちの上巻です。

今回は、新ヨゴ王国の隣国、ロタ王国が舞台となります。
前作「虚空の旅人」は、サンガル王国の新王即位ノ儀にチャグムが招待されていて、ロタ王国のヨーサム王も出席していましたが。
この「神の守り人」では、サンガル王国でもうすぐ新王即位ノ儀があるだろう、とヨーサム王が予想していたので、当然まだ出席はおろか招待もされておらず、どうやら少し前の話のようです。

ロタ国王のヨーサムは、タルシュ帝国の脅威に対抗するため、サンガル王国との絆をもっと深めたいと思っていたことがこの巻で解ります。
だから「虚空の旅人」で、チャグムがサンガル王国のためにロタ王国の協力を求めたときに、ヨーサム王はすんなりOKしたわけですか。
なるほど。
チャグムのお願いは、ヨーサム王にとって、願ったり適ったりというか、渡りに舟の状態だったわけね。

物語はロタ王国のシンタダン牢城で起こった、謎の大虐殺から始まります。
牢城の中の処刑場を中心として、兵士その他が、みんな獣の牙のようなものに噛み切られて死んでいたという。
石造りの城壁まで、バターのように噛み削られているので、獣の牙ではなく、もっと想像を絶する圧倒的な何かであるのは明白な状態。
そしてそこに居て生き残った幼い兄妹がいて、兄の名はチキサで、妹の名はアスラ、ってw
もうアスラという名前だけで、誰が犯人が解ってしまうわけですがwww
タイトルが「神の守り人」だしw
でもまあ別に犯人探しの話ではないので、覚えやすくていいのかもね。

今回はバルサとタンダの二人旅~。
タンダにやっと春が来た!
「夢の守り人」でタンダが大怪我をしたので、タンダの怪我が治るまでバルサは一緒にいたようです。
まさに怪我の功名じゃん!
良かったな、タンダo(^▽^)o
そして、そろそろバルサが旅に出たい気分になったのをタンダは察して、一緒に薬草などを売る草市に行こうと誘ったようです。
と、いうわけで、二人でのんびり草市に旅行して、温泉宿でキノコ鍋などを食べてまったりする予定だったのですが…。
ひょんな事から、シンタダン牢城の生き残りである問題の幼い兄妹、チキサとアスラに知り合ってしまいwwww
チキサとアスラの兄妹は、王の配下のカシャル<猟犬>という影の軍団みたいな呪術師たちに追われていました。
で、結局バルサは、アスラを守って、二人で逃げることに。
タンダはチキサと一緒に捕らえられ、縛られて柱に繋がれてしまいましたwww
幸薄いんだよなぁ…。
相変わらずのタンダでした。

物語はバルサとタンダ、神の守り人アスラ、を中心に進むのかと思ったら、なんかヨーサム王とその弟のイーハンもわりと出てきました。
ロタ王国の会議の場面などもあったりして、ロタ王国の内情を説明しています。
南地方は豊かで商人たちはお金を貯めこんでいて、北地方は貧しく羊などを飼っていて、南北で対立しているっていう。

ロタ王国の建国の話も出てきて、どうもそれがアスラが宿している神に深く関係している、というか、そのものみたいですね?
アスラの中に宿っている大量虐殺をする神(?)は、どうやらタルハマヤ<畏ろしき神>。
昔、ロタ王国がロタルバルという国だった頃、そのタルハマヤ<畏ろしき神>を宿した娘が現れ、圧倒的な武力というか大量殺人の力で、人々を恐怖で支配していたようです。
神を宿した娘は、サーダ・タルハマヤ<神と一つになりし者>と呼ばれ、百年間、年をとらずに生きてロタルバルに君臨したと。
サーダ・タルハマヤを暗殺して恐怖の時代に終止符を打ったのが、ロタ人のキーランで、これがロタ王国の初代国王である、と、まあそんな感じです。

ロタ王国では異界をノユークと言うらしいですが、これは新ヨゴ皇国でナユグと呼ばれている異界、サンガル王国でナユーグルと呼ばれている異界と同じものだと、カシャル<猟犬>の呪術師スファルが、タンダに説明していましたが。
って事は、タルハマヤって、神様っていうわけじゃなくて、ただのナユグの生物じゃん?
「精霊の守り人」に出てきたラルンガみたいな、凶暴な種類?
ラルンガも凶暴っていうか、ただエサを食べに来てただけだから、野生の生物の本能だけど。
タルハマヤもソレっぽいんだよなぁ。
ニュンガ・ロ・イムっていう、人間に寄生するタイプが既出だしね。

主人公はバルサで、バルサが連れて逃げているアスラがどうなるのかが物語りの大筋だと思うのですが。
ロタ王国の昔語りとか、ロタ王国の現状の国政問題とか、ロタ王国周辺の国際情勢とか、わりと大きい話がチラホラ出てくるので、着地点が見えませんwww
獣の奏者も、民事事件から始まって、国際問題にまで発展したからなぁ…。
今回は大量殺人っていう刑事事件から始まったわけだけど、また国の問題になるのかね。
歴史の中に隠された捏造とか?
ソレっぽいことを登場人物たちが言っています。
サーダ・タルハマヤは悪い人だったとか、良い人だったとか、人によって意見が違うようです。

もしアスラがサーダ・タルハマヤなら、暗殺しなきゃいけない危険な存在であるわけですが。
バルサが守ることに決めたってことは、アスラの体から神を分離してあげるんですかね?
神を分離っていうか、ナユグの生物の駆除?
ニュンガ・ロ・イムは卵が孵ったら自然に出て行ったけど、サーダ・タルハマヤは百年生きたっていうから、自然に消えるまで待ってられないよね。
駆除できなければ、アスラを処刑?
まさか!?

上巻のラストで、衣装屋のマーサさんが、アスラに不吉な事を言うしww
いや、「もう一度ここへ帰っていらっしゃい」って、職人や商人になる気があるなら手助けするよ、っていう、未来の希望みたいなセリフですけどね。
そういうの死亡フラグじゃんかwwww
「この戦争が終わったら、俺、結婚するんだ」みたいなwww
やめれwwwwww不安になるwww
でも上橋先生だから、こういうの死亡フラグだって知ってて、読者をハラハラさせるためにわざとやってるような気もするし。
今までバルサが護衛した人は、みんな無事だったもんね?