春は名のみの花冷えの朝でも
冬の厳しい痛みのような
寒さ冷たさは既にいない
暑さ寒さも彼岸までというのは
墓に差しだす花の種類を
増やすためにも地球が傾き
陽光たっぷり集めるからだ
それでも夜が寒いのは
花が長持ちする冷蔵庫代わりだ
それでは冬はどこに行くのか
枯れた色を纏い続けて
長々地上を支配していたが
枯れた色はすべては萌え出し
いつの間にか花盛りになる
その花見れば昨日までの冬など
とっくの昔の話になって
いつの間にか春爛漫だ
沸冬力は冬を沸騰させることで
春を迎えるための力
蒸気機関のあの力強さを
おもえばなるほどどんなに長い
冬もきっと終わりが来ると
信じることができるだろう
冬の間にフツフツ湧いた
不平も不満も不安も不振も
全部釜口に突っ込んで
一気に燃やせば気分も晴れて
咲く花々にも笑顔がこぼれる