黒虎ダイナマイト打線だ21日にもM灯
1948、49年にビジターで使用した「黒いユニホーム」を身にまとい、ダイナマイト打線と称された当時を思い出させるような打撃を披露。取られた分だけ、取り返し、17安打12点。4番新井貴浩内野手(33)が3回の3ランを含む3安打3打点。同点の9回には中前打で出塁し、ブラゼルの勝ち越し犠飛、藤川俊の1号を呼び込んだ。今季34度目の逆転勝ちで2位巨人に1ゲーム差。早ければ21日にも優勝マジックが点灯する。
半世紀以上の時を超え、「伝説の打線」がよみがえった。どこからでも火が付き、手がつけられなくなる「ダイナマイト打線」が長野でさく裂し、「鯨軍団」に牙をむいた。
1回に2点を先制されても、まったく動じない。直後の2回に同点とすると、3回にはダイナマイト打線の4番を打った「ミスター・タイガース」こと、藤村富美男と同じ「4番三塁」新井が、今季初となる2試合連続アーチをかっ飛ばした。カウント1-1からの3球目。清水の内角138キロシュートを完ぺきにとらえ、強い逆風を切り裂くように左中間席最深部へ突き刺す14号3ラン。「自分の形で、いいスイングができた。しっかりと振り抜けました」と納得の一打を振り返る。上位打線が連打でつくったチャンスを無駄にしない。
ここ5試合すべてで打点を挙げ、3本塁打10打点の荒稼ぎだ。連続試合安打も9に伸ばし、打率も3割目前に迫った。「先輩たちがいたから、今の自分たちがプレーできる。このユニホームを見て懐かしく感じ、喜んでくれる方がたくさんいる。今は自分のスイングができているので、明日もしっかりとプレーしたい」と、感謝の意を込める。
1度火が付くと、もう止まらない。5回には鳥谷が7月20日の広島戦(甲子園)以来、18試合ぶりとなる1発。9回には途中出場の新人藤川俊にもプロ初本塁打が飛び出すなど、17安打12得点の猛攻を見せた。終盤の3イニングで6得点と、苦しむ先発、救援陣をカバーして余りある打線の爆発だ。
長野で公式戦を戦うのは、61年8月6日の国鉄戦以来49年ぶり。その試合は6本塁打で14得点と圧勝した。それよりもさらに10年以上前に名をはせた「ダイナマイト打線」。今季34度目の逆転勝利を収めた真弓監督は「最後まで着るか」と、往年のユニホームを気に入った様子だった。先人たちが築き上げた伝統と誇りは今も、後輩たちに脈々と受け継がれている。