真弓監督、打線シャッフル実らず
53試合目の大シャッフルも実らなかった。押し出し四球によるサヨナラ負けの幕切れが、苦境が続くチームを象徴した。「相手の投手が良かったので」と西武のエース涌井攻略に向けた指揮官の決断。自らこだわってきた5番新井を今季初めて3番で起用した。だが新打順でも勝利をつかむことはできなかった。
序盤は結果につながった。プレーボール直後の初回2死から新井が、涌井の外角スライダーをジャストミート。右翼席に飛び込む先制の7号ソロを放った。5月25日ロッテ戦以来12試合ぶりの一発に「自然と反応できた」と話した。
新井は、開幕から5番だったが、4番金本の後ろを打つ重圧から試合前まで打率2割1分6厘と低迷。この日、昨季と同じ3番に配置された。1―2の3回1死一、二塁では追い込まれてから一ゴロ。走者を二、三塁に進めるつなぎの役割で金本の2点適時打をアシスト。3回までの序盤で涌井を相手に3得点。新井は3番起用による精神面の変化については「1試合だけではわからない」と多くを語ろうとはしなかった。もっとも、和田打撃コーチは「新井が3番に入って、居心地というか、印象も良くなっている」と変更のリフレッシュ効果を口にした。
真弓監督は前日9日、打順変更について「それはない。変えずにやろうと思っています」と言ったが、勝利のためなら、当初から強調してきた主軸不動の構想も大刷新。この日の敗戦後も「いろいろ変えたり変えなかったりするよ。(今後の打順は)今日、見た感じでは今日の感じかなと思うけど、いろいろ考える」と含みを持たせた。
3日楽天戦で鳥谷を3番から1番に変更した。その鳥谷は1週間後のこの日「8番遊撃」。新井の打順を動かしたことで、開幕から同じ打順は金本だけになった。不動の4番以外に、もはや聖域はない。指揮官は、勝つためだけになりふり構わずに動いていく。