両国国技館で行われたダライ・ラマ14世の講演会に行ってきた。

この日の講演内容は『チベット問題の現在と今後』ではなく、人間の心の内面をわかりやすく説明することが中心で、テーマは『心の本質は光』だった。ダライ・ラマ14世は政治的なことを発言しないことを条件に来日を許可されているのだ。

それにしても、心の本質は光・・・ ・・・ ・・・なんか心にグッと来た。

講演は3部構成だった。
1部、ダライラマといえども超常現象は一切起こせません、ということの断りを丁寧に徹底的にされた。

2部、心の本質は光に包まれた最高に祝福されたものであり、それこそめちゃめちゃ尊いものであるということを、丁寧に全く反論の余地のない理論と最も短い表現で語られた。
それにより各自、自分の心は尊いということ、回りにいるたくさんの人一人ひとりの心も自分と同じように光に包まれ最高に祝福された存在であるという気持ちになり、場内の雰囲気はバラ色に包まれた。
 また、ある何かを嫌いと思い込み、その気持ちを育んでいくと割と簡単に対象が悪としか見えなくなる。それを破壊的精神といい、嫌な気持ちの正体はそのほとんど(90%ぐらい)は自分の思い込みで作り上げていることを、丁寧に誰でもわかる言葉で語ってくださった。
 これにより自分がネガティブに思っている対象から目を背けたり反発することなく、落ち着いて対処することの手がかりをいただいた。

 もう、最高!ダライ・ラマ14世ようこそ日本へおいでくださいました。
 わたくし、心よりリスペクトしております!!!
ダライラマ


 人類最大の賢者は難し話を一通り終えるとニコニコしながら質問コーナーに移った

 光栄にも質問の機会を得た人はほんの数人だった。2番目に質問したのは北京オリンピック柔道金メダリストの石井慧選手(100キロ超級)だった。
彼には悩みがあった。
プロ格闘家へ転向し人類最強の称号を手に入れるか、次のロンドンオリンピックに出て2大会連続金メダルを目指すのか?


石井の悩みの争点

1、もし俺が総合格闘技に転向したらロシアのエメリア・エンコ・ヒョードルを破って人類60分の一の男になれるかも知れない。そのためにはパンチを繰り出せるようになりたい。経験も必要だから21歳の今から転向して若いうちに頂上に立ちたい!!

2、でもプロになったら次のロンドンオリンピックに出場できない。だけどより高いステージで頑張るんだからいいではないかと思うが、自分を育ててくれた柔道界は頼むからもう一度金メダルをとってくれ!言う。いやだと言おうものならお前は柔道界に恩返しもできないのか!と言われる。

僕は実は格闘技マニア。もう何年も格闘技のシーンを見続けている。
それで思うけど石井は間違いなく世界の4強に入る実力を持っている。
周りの推薦じゃなく本人がノリノリなんだから一番重要な闘争本能も持っているし、パンチを打てるようになれば本当に人類60億分の一を狙える逸材だ。
これってすごいことですよ。
日本人で、総合格闘技というもっともシンプルな競技で一番になれるかも知れない人が現れたのだから。

石井選手はチベット仏教の最高主導者に対してこう聞いた。

「今、自分の中で全く分からない世界に来ている。いろいろな人からアドバイスをもらっているが、最後は自分で決めた方がいいのか、長いものに巻かれるというやり方も時に必要なのか・・・」

ダライ・ラマの後ろには日本語の通訳が二人付いていて、石井選手の言葉以外の状況についても説明した。

これに対しダライ・ラマは
「たくさんの方のアイデアを取り入れることもためになると思うが、仏教的な観点から答えれば状況をよく調べ、考えてみることだ。それによって自分自身で判断を下すことが最終的になさねばならない道だと私は思う」
と答えた。
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振り向いた石井選手は満面の笑みで3000人の聴衆に挨拶した。