渋谷のアップリンクで『バックドロップクルディスタン』という映画を見て、監督の野本大氏と対談した。
野本君は日本映画学校でドキュメンタリーの制作を学び、 卒業制作にはクルド難民企画を提出するもあえなく落選。撮影を続行するため同校を中退し、3年の月日をかけて今作を完成させたという。

映画では在日クルド人のカザンキラン一家のお父さんが裁判に負け、強制送還の危険性が高まったため、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に難民認定と第三国出国を求めてデモをする。

酷暑の中、必死にアピールする家族たち。時には明るいカザンキラン一家の姿を、野本君は彼らと身近に接しながらその一部始終を撮影した。そして度重なるUNHCRとの摩擦を経て、ついに彼らは「マンデート難民」の認定を勝ち取った。平穏な日常に戻るカザンキラン一家だったが、その4ヵ月後、お父さんと息子だけが強制送還されてしまう。

一家離散を目の当たりにして、野本君は彼らが「クルド難民」であるということ、そして自分が日本という国に住む日本人であるという現実を突きつけられてしまう。何もしてあげられない自分へのジレンマ・・・。
僕はいちばん身近にいた傍観者だった というテロップが印象的

1年の月日が経ち、野本君は彼らのことが忘れられずにトルコへ旅立った・・・。