国際交流始末記 | 一体、何が原因なんだろう?

国際交流始末記

 シンガポールから戻って1ヶ月と間を開けず、今度は北海道へ行きました。 その直前、私には大きな「心配事」がありました。 『排尿痛』 です。 別に膿が出るなどのやばい症状はありませんでしたが、場所が場所だけにそのままにしておけません。 たまたまJA研究所でトレーニングを受けていた時期だったので、K.A.先生に相談しました。 詳しい事は知りませんが、性病にかかると「会陰」の奥の方に「腫れ」「しこり」などがあるそうです。 たまに性病にかかった人がトレーニングに来ると、K.A.先生は必ずと言っていいほどうつ伏せさせ、足でこの会陰の部分を強く押して刺激を与えます。 異常がある人は皆、叫び声を上げていますから相当痛いようです。 いくら痛くても、放って置いたら痛いでは済まない大事にもなりかねません。 私は例によってうつ伏せになり、会陰をグッと強く押されました。 痛みがあると言えばありますが、叫び声をあげるほどではありませんでした。
 「どうせシンガポールで、悪さしてきたんだろう?」
 「え、でもちゃんとゴムつけてましたよ。」
 「ゴムをつけても、口からだって感染するんだぞ。」
 「あッ・・・」
 「言わんこっちゃない、ゴムつければ安全だって訳じゃないんだぞ! おい、消毒薬持って来てくれ。」
 そう言ってトレーナーに小瓶を持って来させ、私に手渡しながら、
 「いいか、北海道に言っている間、ちゃんと消毒しとけよ。 じゃないと、どうなっても知らないからな。 風呂で身体を洗った後、消毒薬で洗ったら『暫く放置して乾かして』、その後洗い流せ。 毎日ちゃんとやれば心配いらないから。」
 そう言われたので毎日風呂で消毒をしましたが、旅館の共同浴場では、仲間や他の宿泊客がいると、とてもやりづらい行為です。 1度早めに入り、「風呂が好きだから」と夜遅誰もいない頃を見計らって再び入浴したりしましたが、そうなると、消毒しただけでさっさと出てくる訳にもいきません。 仕方がないので2度3度と湯船につかるものですから、のぼせてしまい眠れなくなったりしました。 それでも消毒の甲斐あってか、排尿痛は治まり、ホッとしました。
 所がです。 出張最終日前日から、何となくですがヒリヒリし始めました。 最初は気のせいかなと思っていたのですが、次第にその感覚が強くなってくるのです。 最終日にはおしっこをするためにつまむと、軽い痛みを感じます。 よく見ると少し赤黒くなっています。 もしかして「第2期症状」に進行してしまったのかも知れません。 そう考えると不安が募ります。 道具を目一杯積み込んだディーゼルワゴンのスピードをこんなにもどかしく思った事はありません。 北海道から東京までの道程が実際の何倍にも長く感じました。 サービスエリアでトイレに向かうとき、パンツとこすれるだけでもヒリヒリとするほど症状は悪化しています。 よく見ると赤黒さも増して来ていますから、一刻もはやくJA研究所に行きたいのに、暢気にお土産を探し、お菓子を頬張っている親方の息子に腹が立ちました。
 東京に到着すると一目散にK.A.先生に会いに行き、症状を伝えました。
 「はぁ?、お前、一体何したんだ??? ちょっと待てよ、おい、どうやって消毒したか、ちゃんと説明して見ろ。」
 「え、言われた通り、毎日風呂で身体を洗った後、消毒薬で洗って『暫く放置して乾かして』、その後で洗い流したんですよ。」
 「馬鹿、俺は『乾かせ』なんて言ってないぞ! どれ位乾かしていたんだ?」
 「え、10分くらいですよ。 だって先生、洗った後で『暫く放置して乾かして』、それから洗い流せって・・・」
 「いいか、強い菌でも殺す消毒薬を、粘膜や薄い皮膚に塗って放置してみろ、焼けちまうだろう。 赤黒くなったのは日焼けと同じで「火傷」の一種だ。 そのうち皮がはがれて来て元に戻るから心配するな。 暫くヒリヒリと痛いだろうけれど自業自得だ。 我慢しろ。 ちょっとお灸を据えてやろうと思って脅かしただけなのに、最近は随分とましにはなってきたけれど、馬鹿は相変わらずだな。」
 「え、お灸って、別に病気だった訳じゃないんですか?」
 「あんなのは雑菌感染だよ。 小便するときに仕事で汚れた手で触れば雑菌が付く可能性はいくらでもあるだろう! 第一考えてみろ! もし性病に感染していたら、外から消毒しただけで済む訳ないだろう! 今まで何人も、感染した人達に俺が何をしたか見てただろう!? あんまり調子に乗ると痛い目を見るだろうから脅かしただけだ!」
 取り敢えず、感染していない事が分かり、ホッとしました。

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