鹿児島県徳之島の3町長が20日、政府による米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設の正式打診を断ったことで、移設問題は事実上、宙に浮く可能性が強まった。報道が先行し、政府への不信を募らせた徳之島からは、3町長の決断を評価する声が上がった。一方、沖縄では、徳之島の判断に理解を示しつつも、動かない基地に対するやるせなさや約束の県外移設を実行できない政府への怒りが交錯した。

 ◇徳之島

 反対の島民集会(18日)で母親代表として意見を述べた徳之島町の野中涼子さん(33)は、集会直後の打診に「本当に腹が立つ。3町長は正しい。テーブルにつくと説得させられる。私たちは政府の動きに動揺することなく、絶対反対の信念を貫くしかない」と憤りを隠さなかった。

 米軍統治下の奄美群島を知る同町の吉田義宏さん(78)は「会う必要はない。命がけで反対する。基地は戦争のためのもの。島にはいらない」と語気を強めた。天城町職労の里山浩一(ひろかず)委員長(38)も「鹿児島に呼びつけるのは失礼だし、沖縄の県民大会(25日)前に形だけの打診をしたいのではないか」と話した。

 一方、受け入れ容認派からは住民投票による決着を望む声が出た。前田英忠・元天城町議長は、3町長の判断を理解しつつも「最後は住民投票で決めるべきだ」。経済効果への期待から容認の立場を取る徳之島町の市民団体「基地移設の条件を考える会」の谷岡一会長も「町長で決めていいのか。テーブルにつき、交渉内容を公開して島民の意思に従うべきだ」と強調した。

 ◇沖縄

 普天間飛行場に近い宜野湾市真志喜(ましき)の主婦(49)は「安保は全国で負担すべきなのに、基地を受け入れる自治体がないのは疑問」と首をかしげつつも「私は基地の怖さ、ひどさを知っている。騒音や事件におびえる生活は誰でも嫌。拒否は当然とも思う」と複雑な胸の内を語った。

 移設候補地の名護市辺野古で座り込みを続けるヘリ基地反対協の安次富(あしとみ)浩共同代表(63)は「迷惑施設である基地の引き受け手がいないのは当然だ。徳之島の拒否で国内移設は無理だとはっきりした。普天間が継続使用になれば、県民の怒りを抑えるのは不可能。政府は5月末にこだわらず、米政府に米国内への移設を求めていくべきだ」と話した。【神田和明、井本義親、斎藤良太】

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