をとを織るをと | 妄想★village跡地

妄想★village跡地

スキビ二次元創作物の残骸がある場所です。閉鎖いたしました。
リンクフリーではありません。無断リンクはお断りしております。

めろきゅん研究所の企画、第8弾に遅ればせながら参加させてもらいましたww

お預かりした文字は、


【を】


めろきゅん度、でろ甘度、当社比1.5倍で行ってみましょ~


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


こつんこつん…。

甘怠い体を重ねて、夢の間に滑り込みそうな意識を引き留めるのは、鎖骨を弾く細い指の感触。

蓮の体の上にまろい体を重ねて、左胸の上にぴったりと耳をくっつけて、蓮の内側に響く音を楽しんでいる。

胸を擽る髪を指に絡めて、飽きることなく蓮の体を楽器に見立てて遊んでいるキョーコの意識をコチラに向けようと、軽く引っ張ってみたり手を潜らせて、素肌を擽ったりするけれど…。


こつ、こつん…。


キョーコが骨を弾く指は、止まらない。

リズムを付けて骨が鳴る度、くすくすと笑い声がむき出しの肌を擽る。

それがくすぐったくて、蓮もくすくすと笑いを零した。

キョーコのくすくすと、れんのくすくすが重なり合う。


「……もっと、笑って…」


幾重にも重なった笑い声を堪能していたキョーコが、少しだけ顔を上げてそうリクエストしてきた。


「……楽しい?」


特に話すでもなく、一人で遊ぶキョーコに問うと


「とっても。音が響いて…、重なって…。深い音になるの。この音が、大好き…」


囁くような声でいい、また耳をぴったりと蓮の胸にくっつける。

骨を弾くのはやめて、蓮の声を楽しむことにしたようだ。


「……笑うだけでいいの?」


「お話し、してくれますか?」


蓮の体の中で、音が反響して聞こえるのが面白いらしい。

その反響する音を聞きたいらしくて、様々な音を響かせようとしている。


「どんなのがいいかな?」


「なんでも…。蓮さんのかなで、音が折り重なるの…。それを…、もっと聞きたい…」


ぺったりとくっ付いていた耳が、肌の上で擦れた。

絡まり合っていた足も、パタパタと揺れて隙間から冷えた空気が忍び込んできた。

ひんやりとした空気に撫でられて、名残に火照っていた肌が落ち着いて行く。


「折り重なる…?」


「うん…。響いて…、重なって…。すっごく深い音になるの。その音が、聞きたい…」


元々声の低い蓮。それが体の中で音が反響しあい、益々深い音になるのだ。

蓮自身には、あまり違いが分からないのだけれど…。

猫の様に蓮の上で寛いでいるキョーコは、そのわずかな違いに夢中だ。


「じゃぁ…、リクエストにお応えして…」


「はい」


「大好き。愛してるよ」


深く折り重なる音が、更に『色』がつく様に…。

蓮の体の中にある感情を、音に乗せて体の内に響かせる。


「世界で一番大事にするよ。だから、今も未来も…。全部俺に下さい」


何度も何度も口にしてきた、言葉。

それを改めて言えば、


「もっと…、言ってください」


さらに強請られる。


「愛してる、愛してるよ…」


愛しい気持ちを糸に、丁寧に丁寧に機を織る様に言葉を囁く。

幾重にも折り重なる言葉のタペストリーを、受け取ったキョーコは…。


「……もう、いいです」


強請られるまま囁いたのに、唐突にそんなことを言い出した。

再び上げられた視線は、甘く潤んでいる。


「まだまだ序の口なのに?」


「もう、おなかいっぱいです…」


「まだまだ前菜だよ?」


「もう、いっぱいなんですって…!!!!」


かぷっと、耳が押しつけられていた左胸を、甘噛みされた。

うっすらと、浮き出た歯型。


「俺の愛を、もっと受け取ってよ」


蓮もなんだか楽しくなって、小さな頭を押し付けて再び愛を紡ぐ。


「どんな未来を描こうか? 喧嘩をしても、翌朝には絶対仲直りしよう。旅行も沢山いこう。俺に料理を教えてくれないかな? 子供が出来たら、休みの朝は俺が作るんだ」


未来絵図を、織る。

それがつむぐ音は、甘く深い。

隙間をなくし、蓮の胸の上で境界線があいまいな状態で、それを聞くキョーコの顔は次第に泣きそうなものになって行った。


「………蓮さん、子煩悩になりそうですよね…」


「そうかな? 子供は嫌いじゃないけど…。それよりも先に、嫁バカになるのが先じゃない?」


「……なんですか…? それ…?」


「奥さんの事が好き過ぎて、馬鹿になるって事」


「もう!! 黙って!!」


再び甘噛みされる、左胸。

よりくっきりと浮かび上がった歯型に、蓮は深い笑みを漏らした。


「まだまだ。先に強請ったのは、キョーコだろう? ようやっとメインにたどり着いたところだから。最後まで受け取ってから、離席してください」


「もうお腹一杯なのに…」


うりゅっと、潤んだ顔。

その表情は、嫌ではなく嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだと、伝えてきている。

再びぱたぱたと足を動かして、流れ込む空気が二人は別の人間なのだと、知らしめる。


「まだまだですよ。お客様」


ぴったりとくっ付いて、曖昧だった境界線が明確になるのが寂しくて…。

上に乗せていた体を力ずくでひっくり返し、体の下に敷き込む。


「ど、ドギーバックに詰めてください」


下から投げられる視線。

それをまっすぐ受け取って、額をくっつけ虹彩を間近に見つめる。

澄んだ瞳に写り込む、自分の影。

このまま、焼き付いてくれればいのに…。

なんて、ひどい事を思いながら…。


「俺の言葉は、『残飯』ではないので…。詰められません。大人しく、お召し上がりください」


「ざ、残飯なんて…。思ってません!! だた、大事に取っておいて、明日また食べたいなぁって、思っただけです」


「そう? ならいいんだけど…。残念ながら、当店にはドギーバックの用意がありませんので、全てお召し

上がりください」


少し顔を上げ、鼻先を噛む。

蓮が織り紡ぐ、愛の音はまだ途切れることはない。

真っ直ぐにキョーコに向かい、キョーコの体を包む。

低く、滑らかに…。

糸はきらきらしいものばかりではない。

澱のような、濁ったものも混ざっている。


けれど、それも…。


「愛してるよ」


その思い故。

思いが深いからこそ、様々な色の糸が生まれキョーコの元へ延びてゆく。


「あいしてる」


はたはたと、紡がれる愛の音。

その音は、生きている限り消えそうにない。


「わ、私もです」


キョーコからも、同じものが返ってくるから…。

より深いものになり、より美しいものになり…。


キョーコの体を包むのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…あんまり糖度が高くない気もしますが…。

些末な話しながら、捧げさせていただきたいと思います!!


web拍手 by FC2

↑お気に召しましたら、ぽちっとww