降臨-11- | 妄想★village跡地

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「リク魔人」の妄想宝物庫 』のseiさんよりお預かりした、お題です。

長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません…。

魔人さんの書かれた一話の続きを、書いて行きたいと思います~


『蓮キョ』以外の要素が多分に含まれます。
苦手な方は、ご注意ください

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玄関をくぐれば、報道陣が待っていた。

先走った『熱愛報道』が流れて、だるま屋は『店』として成り立たなくなっていた。

入口に殺到する、取材陣の所為で。

女将は気にすることはないと、言ってくれたけれどそうもいかない。

どうしようかと悩んでいたら、社長が救いだしてくれた。


「はぁ…」


だるま屋から連れてこられたのは、LMEが社宅として借りているマンションだった。

最低限生活に必要なものが揃えられた部屋は、少し広めのワンルームだ。

報道陣たちに気付かれず、ひっそりとここに来たため持ち出せたものはごく僅かだった。


「さむ…」


狭い室内なのに、物が少ないせいで寒々しく感じる。

テレビを付ければ、自分の名前が飛び交っていて。

外に出れば、誰かに見張られている気がする。

撮影現場でも、共演者の好奇の視線にさらされて…。

キョーコは少しずつ疲れていた。


その中でも、もっともストレスとなっているのが…。


「まただわ…」


ベッドの上に放り投げておいた、携帯電話。

ぶるぶると震えて、自己主張を始めたので拾い上げると…。

キョーコの名前と並んで、テレビを賑わせている男の名前が表示されていた。

留守電に切り替えていても、何度もしつこく鳴らされるそれ。

時と場所を選ばず成るそれに、辟易してしまっているキョーコはげんなりしつつも通話ボタンを押した。


「もしもし…?」


『あ、京子ちゃん? 今大丈夫?』


駄目だと言っても、用件を話す癖に一応断りを入れるあたりが…。


(なんだかなぁ…)


げんなりしてしまう。

一度は引かれたけれど、今はなるべく関わり合いになりたくないと言うのが本心だ。


「少しだけなら…」


『また食事に行かないかな?』


繰り返される電話の内容は、ほぼこれだ。

流石のキョーコも、ため息をついてしまった。

こんな時期に、何を考えているのだろう。

火に油を注ぐような真似をして、何が楽しいのだろう。


「今は大人しくしているように、事務所側から言われてるんです。まだまだ新人なので…。こういう売り出し方をするのは良くなって、言われてるんです。距離を置きましょう? その方がお互いの為だと思うんです」


こんな会話も何度つづけただろう。

けれどめげることを知らない彼は、何度もこうしてアプローチをかけてくる。


『本当に恋人になって、発表すれば問題ないだろう? そうすれば、世間も納得するしマスコミも、納まるよ』


遠まわしに断っても、響かない男に焦れたキョーコは。


「申し訳ないんですが…。貴方とお付き合いする気はありません。仲良くなれたらなとも思いましたが、こんなスキャンダルになってしまって…。お付き合いすることは、出来ません。ごめんなさい」


言葉を選びつつも、ストレートに断りの言葉を伝えた。

電話越しにも、絶句したのが分かった。

キョーコが断る可能性なんて、考えてもいなかったのだろう。


(本当に…、何処が良かったのかしら…)


焦るあまり、人選を誤ったとしか思えない。

自分の見る目の無さにも、げんなりする。

いい人だと思ったのに…。

いや、いい人ではあったのだ。

ただ…。


(ぜんぶが、つるがさんとちがうんだもの…)


蓮の気配を断ち切れないキョーコ。

まったく重なることのない彼と付き合うなんて、土台無理な話だったのだ。

電話越しに何か言っているのを流しながら、キョーコは親友たちに言われた言葉を反芻する。


(本当に、無理な話だったのね…)


彼にも相当失礼な事をしたのだろう。

申し訳なく思うが、もう無理なのだ。

彼に触れらてて、走った悪寒を思い出してまた体が冷える。


「本当に、ごめんなさい」


何かまだ言っていたが、最後に謝って会話を強制的に畳んだ。


「これで…、諦めてくれるといいんだけど…」


自分に自信のあるタイプの彼は、こんな事では引いてはくれないだろう。

自分でまいた種とはいえ…


「嫌だわ…」


沈黙した携帯を再びベッドに放り投げて、床に寝っころがる。

なるべくなら携帯を触っていたくない。

敢て見ないようにしている、着信履歴。

積りに積もった留守録達。


「聞いたら…、心が折れちゃうもの…」


誤解したままのキョーコは、蓮の傍に居るために新たな恋をしなければならないと、信じている。

というか、信じたいのだろう。


「迷惑って、言われないためには…。そうしなきゃ…」


何よりも怖いのは、彼に嫌われること。

迷惑がられること。

そうならないために、


「頑張らなきゃ…」


辛いけれど。

本心は嫌だけれど。

悲しい決意を改めて固めた時、鳴らないはずのチャイムが


鳴った。


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そろそろ蓮キョのターンです。


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