俺の負けです【後編】 | 妄想★village跡地

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ひかりさんの描かれた【こちらのイラスト】 を元に、魔人さんの書かれた【俺の負けです・前編】

の、続きになりますww

献上品に付き、ノーマルに公開でww



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キョーコが用意していた夕食は、オムライスとスープにサラダ。

至ってシンプルな『夕食』メニューだ。

昔ながらの薄焼き卵を乗せたオムライス。

一度ぐずぐずに崩れた『メイドの仮面』は、もうしっかりと修復が終わってしまったらしい。

それを蓮の前にサーブしたキョーコは、ケチャップを手に傍らに立つと。


「愛をこめて、ごしゅ…蓮様の為にお絵かきしますね」


何処か間違ったメイド技を披露してくれる。

にゅるんっと、絞り出された赤い線は大きなハートと『LOVE』の軌跡を描く。

最近ブームになっているカフェで、よくあるサービスを模したものだとは分かっていても…。


(ほんとに…もう…)


恋する男心は簡単に舞い上がる。


「さぁ、蓮様。食事の用意が整いました」


そう言って、キッチンに下がろうとしたキョーコの腕を取り、引き留める。


「食べさせて」


「え?」


「可愛いメイドさん。食べさせてください」


この状況を徹底的に楽しむと、腹をくくった蓮はキョーコにそう強請る。

胡坐をかいた膝の上を、ぽんぽんっと叩いて腕を掴んでいるキョーコの体を弱い力で引っ張る。


「ここに座って、食べさせて? メイドの仕事だろ?」


「えぇ!?」


折角修復した『仮面』は、早くもひびが入り始めている。

けれど蓮は頓着することなく、キョーコの体を更に引っ張る。


「きゃ…」


よろめいた華奢な体は、簡単に蓮の体に倒れ込む。

ちょっと不埒に崩れた足を、太腿の上に手を置くことで閉じさせる。

その際、太腿をこっそりと撫でたのは『恋する男心』故。

胡坐の窪みにキョーコの腰を落ち着かせ、ぱかっと口を開ける。


「あ~ん…」


「……」


背中に感じる蓮の体温と。

お尻の下に感じる足の固さ。

太腿の上にある腕の重み。


それらに惑わされ、キョーコの視線がうろうろと忙しなく動く。

『仮面』のひびも、どんどん深く成ってゆく。


「あ~ん…」


キョーコの戸惑いを感じながらも、蓮は強請り続ける。

そんな蓮に諦めたのか、覚悟を決めたのか。

スプーンを取り上げたキョーコは、ハートのケチャップをざっくりと崩して口元に運んでくれる。

余りにも潔く割られた、ハートに連の心はほんのちょっと凹んだけれど。


「蓮様、どうぞ…」


そろそろと差し出された、スプーン。

そろりと押し込まれたチキンライスを噛み締める。


「美味しい…。もっと食べさせて」


噛み締めるたびに広がる味は、ずっと前に二人で食べた『まういオムライス』とは比べ物にならない。

口をぱかんっと開くと、差し込まれるスプーン。

何度も繰り返すうち、人参の欠片がキョーコの服の上に零れ落ちた。


「おっと…」


丁度キョーコの胸元の当たりに転がったそれを、


「勿体ない…」


ほぼ反射で…。本当にそれだけを思って、頭を下げ唇で人参を吸い上げる。

胸元に顔を埋めたた、両頬に感じる弾力。


「ん?」


二つあって、柔らかくて。

女性の胸についている、それ…。


(やばっ!! 痴漢と同じじゃないか!!)


弾力の正体に思い至った蓮は、焦ってささやかな胸の谷間から顔を上げる。

ずっとずっと、…出来れば服を挟まない状態で、埋もれたいと思うけれど。

今の関係では、まだそこまで望めない。

蓮の行為に傷ついたであろうキョーコに、謝らなくてはならない。


「ごめん!!」


動揺している心を押し隠して、キョーコの顔を覗き込み謝る。

覗き込んだキョーコの顔は茹で上げられたように真っ赤で、見開かれた瞳に溜った涙は今にも零れ落ちそうだ。


「ごめん!! 無意識で…!!」


『仮面』はとっくに剥がれ落ちていて、そこには傷ついた少女がいるのみ。

謝ると真っ赤に染まった鼻先が、ぐすんっとなって。


「ひぃぃん…」


嗚咽が零れ落ちた。

頬を伝った涙を、自分の唇で救い上げて。

ひんひんと泣く顔を、自分の胸板に埋めさせる。


「ほんとごめん!! 勿体ないなって思ったら…。無意識で…」


胸板に顔を埋めて、自分のシャツを握りしめて、泣きじゃくるキョーコの髪をただただ撫でる。


「最上さんの作ってくれるごはん、美味しいから…。欠片でも残したくないんだ」


小刻みに震える髪に、何度も何度も謝ってキスを落とす。

膝の上にある体をぎゅぅっと抱きしめて、あやす。


「それでも、あんなことしませぇん…」


しゃくりあげる音の間から、零れる言葉は蓮を詰る。

その背中を撫でながら、ただただ謝ることしか出来ない。


「最上さん、もうメイドごっこはお終いね?」


キョーコの泣き声がだいぶ落ち着いた頃、蓮はそう声をかける。


「ん」


ぐずっと、ひときわ大きくなった鼻。

蓮の胸に埋めていた顔を、起こす。


「ごめんなさい…。濡らしちゃいました…」


埋めていた蓮のシャツは、キョーコの涙を吸って色を変えてしまっている。

其処を指で伸ばしながら、キョーコはしおしおと謝った。


「いや、元はと言えば俺が悪いから…。改めて聞くけど、社長になんて言われたの?」


キョーコにこんな服を着させた犯人は、わかっている。

分からないのは、どういう理由でキョーコがこの服を着ることを承諾したのか。


「敦賀さん、浮いた噂とか全然ないじゃないですか」


キョーコが好きな蓮が、キョーコ以外の人と浮名を流すことなんてありえない。

社長もその事を知っているはずだ。


「なので、社長が調べて来いって…」


「調べる?」


「敦賀さんが…、その…。ひ、人に言えないような、その…。あの…」


そこまで言って、キョーコは俯いてしまう。


「俺が人には言えないような、『変態な趣味趣向』があるのか調べて来いって言われたんだね?」


目に見えて、蓮の肩が落ちる。


「はい・・・・」


(社長!! あんまり遊ばないでください!!)


心の中の叫びは、キョーコの耳には届かない。

『メイド服』にうっかりときめいたのも、『ご主人様ごっこ』なんてしたのも、全部キョーコがメイドだったからだ。これが他の人だったら、部屋からつまみ出している。


「私!! 言いませんから!!」


肩を落とした蓮の姿を見て、どう思ったのか。

キョーコは思いつめた顔で、そう言い切った。


「え?」


「敦賀さんが、メイド服が大好きなのはわかりました!! 『ご主人様ごっこ』にノリノリだったなんて…。しつぼ…じゃない。意外でしたけど!! 言いません!! 一生心の中に仕舞って、お墓まで持って行きます!! 社長に聞かれても、絶対に言いません!!」


物凄く思いつめた顔で、キョーコが蓮を見上げてくる。

その的外れな宣言に、蓮の肩は益々落ちる。


「違うよ…。メイド服が好きなわけじゃなくて…」


「私にまで言い訳しなくても、大丈夫です!! 不肖、最上キョーコ!! 口は堅い方です!! わ、私なんかでよければ…『メイドごっこ』お付き合いしますので!! 変なスキャンダルだけは、起こさないでくださいね!!」


「あ~…ウン…。ありがとう…」


そのキョーコの提案に、間違って植え込まれた『メイド好き』の認識を解くべきか、それとも満喫するべきか。

揺れた蓮も、所詮『恋する男』という事なのだろう。


「くれぐれも、『敦賀蓮』のイメージだけは壊さないでくださいね!! そんな事になったら芸能界の大損失ですから!!」


「ウン…」


ぐらぐらと揺れる、理性と本能。


(社長!!)


今度会ったら、文句を言ってやろうと心に誓って。


「最上さん、じゃぁまた食べさせてくれる?」


ぱか、口を開くと。


「うっ…。ご主人様モードですか?」


「うん。よろしく、可愛いメイドさん」


「しょうがないご主人様ですね」


とりあえずは、膝の上の温もりを堪能しようと。

前向き思考に切り替えて、現状を心の底から楽しむことにしたのだった。


(まぁ、その内…ね…)


誤解を解くのは、キョーコと遊んでからでも遅くない…ハズ。

恋する男心は、欲望に負けたのである。


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ちょっとコメディチックにww

仕上げてみましたww


ひかりさん、魔人さんに捧げますww


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