夏と言えば | 妄想★village跡地

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めろきゅん企画、第5弾に乗っかってみましたww

『夏と言えば』な、お話デス


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「夏と言えば、これですよね!!」


そういって、キョーコが持参してきたのは。


「パンダ…?」


随分と大胆にデフォルメされたパンダと思しき、機械?


「ふふっ。可愛いでしょう? 久遠さん、かき氷食べたことないって言ってたから…。持ってきたの」


そう言えば、この前そんな話もした気がする。

お互いに重なった、夏休み。

それをどう過ごすか、そんな話をしていた時だと思う。


海でのヴァカンスや、大輪の花火を眺めての舟遊び。

西瓜に屋台に、流しそうめん。

やってみたいこと、やりたいこと。

それらを並べながら、ベッドの上でゴロゴロして。

恋人らしい、週末を過ごしながら。


「かき氷もいいですよね」


そう、キョーコが言ったのだけれど。


「そう言えば…。食べたことないな…」


久遠が記憶をさらっても、その氷菓の味を思い出すことができない。

そう思い、その事実をそのまま口にすると、


「えぇ!? 一回も?」


久遠の腕の中に居たキョーコが、がばっと身を起こす。


「うん、一回も…ないいかな?」


改めて思い返しても、やっぱりない。


「勿体ない…。人生、損してます…」


心の底から残念そうにキョーコは言うとベッドに横たわってる、久遠のおでこにそっとキスをくれた。


「そんなにおいしいの?」


そこまで言われると、とても食べたくなる。


「暑い日に食べると、最高なの? 今度、作りますから。楽しみにしててくださいね?」



そんな会話をしたのが、一週間くらい前。

そんな会話を忘れていた久遠は、でんっとリビングのテーブルに居座るそれに驚いて。

うきうきと笑みを浮かべるキョーコの姿に、何も言えなくなってしまう。


「待っててくださいね。今、出来上がるから…」


そう言いながら、パンダの頭部から飛び出たハンドルを回す。

すると、パンダの目が左右に揺れるのが…


(シュール…)


目玉が何度も行き来して。

じょりじょりという、氷の削れる音がして。


「さぁ、出来ました!! シロップは何がいいですか?」


それらが止まった時、パンダの影から氷がてんこ盛りになった皿が現れた。


「シロップ?」


「そうです。何味がいいですか? ブルーハワイに、イチゴ。みぞれと、レモン。4つ用意したんですけど…」


「じゃぁ、ブルーハワイを…」


久遠がそういうと、真っ白だった氷山にブルーが乗る。

見た目にも涼しそうで、確かに夏に食べるのはいいかもしれない。


「キョーコは何味にするの?」


「私は決まってるんです」


そう言いながら、もう一つ用意された氷山にピンクをトッピングしてゆく。


「イチゴ味。これって、決めてるんです」


うきうきと言いながら、器を手に取ると久遠をベランダに誘う。


「どうせなら、暑い所で食べませんか? その方が、ずっと美味しいから」


夕暮れ時とはいえ、昼間の熱が残ったベランダはとても暑い。

蒸される様な、そんな感覚が全身を包み込み、どっと汗が噴き出してくる。

そこに肩を寄せ合って座って。


「ふふっ。こんな中で食べるのが、最高なんですよ」


そう言って、ピンクの雪山を崩し口に運ぶキョーコ。

一口、二口運んで。


「ん~~、最高です!!」


ほわんっと、溶けたキョーコの顔。

それを追いかけるように、久遠もブルーの山を崩して口に運ぶ。


「・・・・確かに…最高だ…」


ひんやりとした食感と、喉を伝う冷たさが何とも心地いい。

どぎついシロップの色から、さぞ甘いだろうと思っていたけれど。


(あんまり甘くないんだな…)


この味がそうなのか、冷たいからそう感じるのか…。


(キョーコのは、どうなんだろう…。イチゴ味だから、甘いのか?)


そんなことを考えながら、しゃりしゃりとしたそれを、味わっていると。


「あ!! そうだ!! 久遠さん、あっかんべーしてください」


唐突な、キョーコのリクエスト。

意味が分からず、妙にうきうきとしているキョーコの顔をまじまじと見つめてしまう。


「ほら、見せてください。べーって」


何故か、携帯まで構えて久遠に強請る。

その、あまりに可愛らしい顔に負けて。


「こう…?」


舌を見せると、すかさず切られた携帯カメラのシャッター。


「思った通り!! ほらほら、真っ青!!」


撮った写真を、久遠に見せてくれる。

そこに写りこんだ久遠の舌は、真っ青。


「何これ…。なんで…」


「かき氷食べると、舌が染まっちゃうんです。ほら、私も…」


べっと、差し出されたキョーコの舌。

確かにそこは、人工的なピンク色に染まっていた。


「ね? みぞれとかだとこうはならないんですけど…。これ見ると、夏だな~って、思うんです。あ!! この久遠さん、可愛いから…待ち受けにしちゃおうかな…」


「それが、キョーコのかき氷の思い出なの?」


「思い出なのかな? かき氷食べて、染まった舌を見ると『夏だな~』って。思うんです」


「ふぅぅん…。そうなんだ。俺も、そういう思い出欲しいな…」


「え?」


「思い出を、頂戴」


携帯を操っていたキョーコの顎を捉えて、無理やり自分の方を向かせる。

そして、びっくりしたようなキョーコの唇を塞ぐ。


「んん!?」


抗議する様に、ひらいた唇に捻じ込んで。

染まった舌を味わう。


(あ、やっぱりイチゴは・・・・甘い…)


ピンクの舌を味わって、そんな感想を抱いて。

唇を解く。


「ん。これで、かき氷を食べたらキョーコとのキスを思い出すし。ココみたいな天気の所にいたら、かき氷を食べたことを思い出して、キョーコとのキスも思い出せる。一石二鳥だよね?」


ほんのちょっとだけ、離れた唇。

囁く声の吐息が、キョーコの唇を擽る。


「ばか・・・!!」


そう詰る声も、イチゴの様に甘い。


「あとで、写真撮らせてね? 俺も待ち受けにしたいから」


「ん…。ダメ・・・です」


キスの合間に、紡がれる言葉。


「何で? 俺も、キョーコの可愛い写真欲しいよ…」


その言葉は、何処までもどこまでも甘い。


「・・・・もっと可愛い顔の写真、待ち受けにして…?」


「どんな顔でも可愛いのに…」


夏の暑さも顔負けの、暑い会話に。

抗議をするように、忘れられたかき氷がしゃりんっと崩れ落ちた…。



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勢い余って、書いてしまった…。

めろきゅんって、なんだろう…orz



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