<危険な罠の香り> 後編 | 妄想★village跡地

妄想★village跡地

スキビ二次元創作物の残骸がある場所です。閉鎖いたしました。
リンクフリーではありません。無断リンクはお断りしております。

尊敬する、明太様の300名突破リクにお願いしてww

素敵なお話、書いてもらっちゃいました★

ありがとうございます~


大好きです!!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



数日前、敦賀さんに告白されて初めて愛されると言うことを知った。それは心も躯も。
優しくしてくれてもう最後は自分でも恥ずかしい位、自分が自分でなくなったみたいだった。

でも愛を知った筈なのに、演技で男を誘う仕草を要求されるとどうしたらわからなくなってしまった。
だって、敦賀さんは誘わなくても、と言うか強引な程の勢いで私を愛してくれるから。

リテイクを繰り返したあげく、後日撮り直しという悔しい結果に涙が止まらなかった。だから事務所でミューズに会ったときに相談したのだ。

『どうやったら男性を誘えますか!』
『あらあら、キョーコちゃん。よっぽど切羽詰まってるのね。仕方ないわね・・・・あくまで補助アイテムとして、プレゼントを用意してあげる。それで考えてみなさい』

その場で一緒にいた社長さんが『参考資料だ』と数冊本とDVDを渡してくれた。帰って読み始めたら・・・・あまりの恥ずかしさに悲鳴を上げてしまう程の本だった。そんな状態で敦賀さんに顔を合わせられず、お休みなさいのメールをして眠った。

敦賀さんは翌日、相談にのってあげるから家においで、とメールをくれた。
いつもとは違う自分って何だろう・・・・あの本の様な?
そう思いながら夕食を作っていると、ミューズのプレゼントを敦賀さんが持って帰ってきてくれた。

嬉しくて開けてみると・・・・香水? ふわっと匂ったのはバラの香り。ああ、クイーンローザの香りっ!
これなら何でもできるわぁ~~
という感じになって、敦賀さんを誘って見たら・・・・一晩中啼く羽目になったわけで・・・・

自分の学習能力のなさに悲しくなりながら、CM撮影に臨んだ。

「いつもとは違う京子で男を誘い落とせ!」
「はいっ!」

私の中に未だくすぶる熱とどこからか漂う香りが、あなたと過ごした荒ぶる時間を思い起こさせる。
また、いえもっと、私にあなたをちょうだい・・・・
私ももっとあなたを乱れさせたい・・・・

私の中から女の顔をした私が沸き上がる。
でも、私の想いはそれだけじゃない。
くるりと回りながら純粋にあなたを好きな気持ちがベースにあるから、どんなあなたも好きなの。

カメラに微笑むと監督から一発OKが出た。

「一昨日と違ってえらくよくなったじゃないか! 時間かかるかと思って余裕みたから、もうちょっと違ったバージョンも撮れそうだな」
「え?」
「じゃあ、今度は天使の様な純粋な感じでいってみようか!」
「えええっ?」
「ん? もうできないのか?」
「や、やりますっ! できないなんて言ってないじゃないですか!」
「じゃあ、早く着替えて来てくれ! セットちょっといじるぞー!」

はっ、やられたっ!
つい、挑発に乗ってしまったぁ!
そして、様々なバージョンをとった結果を見た敦賀さんがどう思うか、考えただけで背筋が凍ってしまった。

*****

後日完成CMチェックで何とかこのCMを敦賀さんが見ない様に祈ったが、現実はそんなに甘くない事を化粧品会社の広報さんがにこやかに知らしめてくれた。

「上層部にかなり受けも良いですし、本腰を入れてCMジャックをする勢いで流す予定です。ありがとうございます、京子さん」
「ありがとうございます。最上君もこんなに積極的に使ってくれるんだから感謝しないとな」
「椹さん・・・・そ、そうですね」

そこへ監督が爆弾を落としてくれた。

「本当はな、最初のバージョンでもぎりぎりOKだったんだけど、何となくピンと来なくてな。厳しく言って良かったぜ」
「なっ! そ、それじゃあ・・・・」
「俺のCMはアートだからな!」
「黒崎監督・・・・」

そう、今回の監督は黒崎監督だから妥協できなかった。
キュララの時より腕が落ちたと言われるのは癪に触ったから。

「まあ、一発で二日目の演技ができれば文句なしなんだけどな」
「それは・・・・無理ですぅ」
「「「は?」」」

あの場に飾られていた薔薇の匂いに熱い夜を思い出しました、なんていえる訳ないじゃない!
つむじから爪先まで真っ赤に湯だった私を見て、監督だけがにやりと笑った事を私は知らなかった。

*****

「おう、蓮。元気か?」
「元気な様に見えますか?」
「お肌つやつや、になった夜は良かっただろう? だけどあんまりがっつくなよ」
「ええ、誰かがいらぬ事を吹き込んでくれなければもっと良かったんですがね」
「その割にえんえんと楽しんでたのはどこのどいつだ」
「それは・・・・ちょっと待ってください。なんでそんな事を知ってるんですか!」
「ああ? 気のせいだ、気のせい」

キョーコが社長に報告する訳ない。まさか・・・・

「あの香水って!」
「まあ、蓋にちょっと・・・・な。いいじゃねえか、減るもんじゃあるまいし」
「よくありませんよ! 盗聴って犯罪なんですよ!」
「首尾よく行ってるかの確認の為だ。大体お前は俺を警察に付きだそうっていうのか? あん?」
「そうは言いません。でも、代わりのものを要求します」

俺は交換条件をしぶしぶ飲んだ社長を置いてキョーコの待つ部屋へ帰った。

「お帰りなさい、敦賀さん」
「ただいま、キョーコ。はい、おみやげ」
「何ですか? あ、また新しい香水!」
「これは俺からのプレゼントだよ」
「ありがとうございます!」

キューティーハニースマイルに目眩がする。でもちゃんとこれだけは伝えよう。

「俺はそのままのキョーコが一番好きだよ」
「は? あの・・・・ありがとうございますぅ・・・・」

下を向いてもじもじと頬を赤らめる姿が愛しい。

「明後日の朝まで一緒だから、どれだけ君を愛してるか君に伝えてあげる」
「明後日? 明日のお仕事は?」
「社長が働きすぎだからってお休みをくれたんだ」
「そうですよ、敦賀さんは分刻みのスケジュールなんですから! ちょうど躯にいいものを作ったので食べて下さいね」
「うん、じゃあ頂きます」

甘い唇にただいまのキスを落とすとキョーコの甘い香りが鼻を擽る。
今日のアペリティフもメインディッシュもキョーコだから。
君はどんな香水よりも甘くていい匂いなんだよ。

*****

香水の香りよりも君の香りが一番の媚香。
という締めでした・・・・

チカ様、なんだか申し訳ありません。
やっぱりチカ様の域には達しませんでした!

でも楽しいリクエストをありがとうございました。
やっと300名突破リク終了です。
最後になって申し訳なしです。