「難攻不落な天然乙女のバレンタイン物語-3-」 | 妄想★village跡地

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魔人様よりリクエスト★

魔人様が書かれたお話の続きを私が、書いて行きたいと思います。


ちょっと時期がずれたけど、バレンタインのお話です★


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「はぁぁ・・・・」


タクシーの中、零れるのはため息ばかり。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・。憂鬱だわ・・・」


これから向かう場所は、多分世界で一番安全な場所。

最強の守護者が、いる場所だから。

でも、だからこそ・・・。


「・・・行きたくないな・・・・」


皆が心配してくれてるのは分かる。熱狂的なファンの襲来も、実は一度や二度ではない。変なプレゼントを貰ったことも、連れ去られそうになったのも、何度か経験済だ。


「大丈夫なのに・・・」


こつん、窓に頭をぶつけ流れる景色をぼんやりと眺める。


(・・・・・・・・・敦賀さんには言えないけど・・・・)


きっと物凄く心配して、物凄く怒られるだろう。


(『何で相談してくれなかったの!?』とか言われて、神々スマイル浴びたり。あんな風に触られたら・・・)


想像するだけで怖くて、鞄をぎゅっと抱きしめる。


「ひぃぃぃ・・・」


思わず漏れた奇声に、運転手がひきつった顔をバックミラー越しによこす。


「・・・ごほん・・・」


流石に気まずくて、居住まいを正す。

蓮の指が辿った肌は、いつまでも熾火の様に熱をともしたまま何時までも何時までも、その感触を忘れてくれなかった。

その感触は、今も微かに残ってる。


(また、あんな事されたら・・・・。どうしたらいいの?)


くるくると思い悩んでいる間に、目的地へ着いてしまう。

料金を払い、エントランスに降り立つと。


「はぁぁぁ・・・」


またため息が漏れる。


「よし!! 行かなきゃ!!」


ぐずぐずとここに立っていても仕方ない。覚悟をきめて、社長から貰った鍵で自動ドアの向こうに入ろうとしたとき。


「京子!! 今日からここに住むの!?」


「きゃっ!?」


突然後ろから声を掛けられ、手を取られる。

手を引っ張られ、相手の顔がようやく見えるが全然知らない人だ。


「あのマンション、引き払ったの? あそこも似合ってたけど、ここも君に似合うよね!!」


慣れ慣れしく話しかけてくる彼に、キョーコは心当たりが全くなかった。


「あの、っ!! どちら様ですか・・・?」


がっちりつかまれた腕を解こうと、暴れるけれど。ちっとも振りほどけない。


「あれ? 忘れちゃった? 京子の出るイベント全部行ってるんだよ? ファンレターも何度も送ってるし」


(ファンなの?)


いかにキョーコが素晴らしいか、魅力にあふれているかを滔々と語るこの男にうすら寒いものを覚えた。

事務所が心配していた、変なファンの一人なのだろう。


(どうしよう・・・!!)


まさかこのマンションまでつけられてるとは思わなかった。何も考えず、エントランスから入ってきたキョーコにも非がある。タクシーを地下駐車場の方に付ければ、こんな目には合わなかったのだから。

如何にこの危機を乗り越えるか、考えていた時。

ぎょっとするようなことを言い出した。


「ねぇ、部屋見てもいい?」


「なっ!?」


どこまで図々しいのか。しれっと言い放った男に、キョーコの目が丸くなった。


「いいだろ? 折角来たんだもん。見せてよ?」


「駄目です!! そんなの出来ません!!」


「なんで? 俺、ファンだよ? ファンは大事にしなきゃ」


ファンなら何を言っても許されるのか?

手を掴んだまま、奥へ行こうとする。


「困ります!! それに私の部屋は、このマンションじゃ・・・!!」


正確には『まだ』だけど。このくらいの嘘は許されるだろう。


「え!? じゃぁなんで・・・?」


「事務所の先輩が住んでるので!! 離してください!!」


「そうなの? じゃ、呑みに行こうよ?」


「はぁぁ!?」


なんでそういう話の転がるのか。

男の思考にキョーコはついて行けない。


「いけません!!」


「まぁまぁ!!」


エントランスで揉めていても、誰も通りかかることはなく。

助けを求めることも出来ない。


(怖い・・・!! 助けて!!)


全然大丈夫じゃなかった。

一人でも追い払えると思ってたけど・・・


(全然だめだった!! 敦賀さん!!)


キョーコの祈りが通じたのか、誰の気配もなかったガラスの向こうに人の姿が見えた。


「あ!! あの!! たすけて・・・」


これ幸いと、キョーコが助けを求めたけれど。その声は喉の奥で凍りついた。


「・・・・君、その子の知り合い?」


低い、地を這うような声。


「ひぃぃぃ!!」


(敦賀さん!!)


キョーコのブラックアンテナが、歓喜の声をあげて噴き上がる。


「お、俺は彼女のファンだよ」


BJの様な雰囲気にキョーコの腕を掴んだままの男も、逃げ腰になる。


「へぇ・・・。その腕、離してくれる?」


「え!?」


「はなしてくれる?」


「はい!! もちろんです!!」


蓮の体が、一回り大きく見える。それは纏った怒気の所為か、威圧する様に顎をあげて話す姿勢の所為か。

呑まれた男は、ビックるする位素早い仕草で、キョーコの手を離すと


「京子さんとお話で来て、楽しかったです!! ぜひまた!!」


食われそうな気配を感じた男は、素早い身のこなしで二人の前から消え去った。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・助かった・・・・。ありがとうございます・・・」


「遅いから見に来たんだけど・・・。良かった・・・。何事もなくて・・・」


ぎゅぅぅ!!

痛い位強く、抱きしめられた。


(ひっ!!)


先ほどの男に掴まれた時とは、種類の違う衝撃がキョーコの体を襲う。


「とりあえず、部屋の入ろう?」






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長くなりそうなので、いったん打ち切り

次期的にはBJ編は終了してる位を想像してください★