魔人様のリクエスト。
「湯気の中で(仮)」←便宜上つけただけ
蓮からの告白済みで、キョーコの返事待ちという微妙な時期。季節は冬。
マンションの前で言い争いになり、土砂降りの中、キョーコ走り去る。
そしてそれを蓮が追い、近くの公園で捕まえるがそこでも言い争い。
二人共ずぶ濡れで、震えが止まらない程冷えてしまう。
なんとかキョーコを連れてマンションの部屋に帰った蓮。
服を着たままキョーコを連れ、お風呂場に直行。
つるっとどぼんで、行ってきます★
魔人様に捧げます
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ぽん。軽い音と共にエレベータの扉が開く。この狭い空間から早く逃れようと、失礼だと知りつつも蓮と女性の間をする抜けようと素早く動くけれど。
「きゃ・・・」
簡単に蓮に腕を囚われてしまう。振りほどこうと暴れても、がっちりと食い込んだ指は外れない。
「アイカさん、そこまで送りますから」
キョーコの手を掴んだまま、一緒に乗り合わせた女性ーアイカというらいしいーを笑顔でエスコートする。
涙にぬれた顔を隠すことも出来ずに、もがくキョーコとそれを捕まえている蓮の取り合わせは、奇妙極まりないらしく。
怪訝そうな顔をし、なるべく関わり合いになりたくないのだというのが如実にわかる態度で、そそくさとマンションを出てゆく。
「敦賀君、また・・・」
「ええ、お願いします」
ぽつぽつと降り出した雨の中、アイカはタクシーに乗り消えて行った。
アイカがいる内は大暴れできなかったけれど、掴まれた手を引きはがそうと大暴れ。
「はな、して!! いやっ!!」
「っ!! キョーコっ!! キョーコ!!」
彼がトップ俳優だという事も忘れ、ひっかいて振り回して。
強まる雨の中、全身が濡れてゆくのも気にせず。
「いやっ!! 私に触らないでっ!!」
「どうしてっ!!」
人通りの多いマンションの前であるにもかかわらず、人目を憚ることなく二人は喧嘩を繰り広げる。
「敦賀さん、臭いのっ!! その状態で私に触らないで!!!」
その喧嘩を止めたのは、キョーコのその一言。
「えっ!?」
そんなことを言われたこともないだろう、蓮は硬直し。ほんの一瞬、蓮の手が緩んだすきを見逃さず。手を振りほどき雨の中に身をひるがえす。
「あ、キョーコっ!? 待って!!」
ざぁざぁと降り注ぐ雨の中、闇雲に走り回る。前すら見ず、走る。
時折人とぶつかりそうになりながら、全速力で街中を走る。
(もぉ、ほんとやだ!!)
キョーコの中に渦巻くどろどろとした黒い感情。
うそつき、浮気者、うそつき、うそつきうそつき!!
連に対する罵倒の言葉が、湧き上がる。それを飲み込むのは苦しくて、辛い。その辛さが、さらなる涙を産む。
「きゃっ!!」
雨に足を取られ、転んでしまう。突いた手はアスファルトの上を滑り、痛みを呼ぶ。再び走り出そうと、足をあげると捻ったらしく、足首もじんわり痛む。
けれど、止まるわけにはいかない。背後から追ってくる蓮の気配があるから。
「きょーこ!!」
「いやっ!!」
痛む足首を押して、再び走り出す。全速力で走っても、コンパスの差は埋めがたくみるみる二人の距離は縮まって行くばかり。
人ごみをすり抜け、いくつも角を曲がり思わず入ったのは小さな公園。雨の帳の向こうに、いくつかの遊具が見える。
追われる恐怖に、思わずドーム型をしたすべり台の下に入り込む。
息を殺し、気配を殺して。世の中から消えてしうんじゃないかという位、小さく小さく。
「きょうこ!!」
ばしゃばしゃとぬかるんだ土を踏み荒らす音、自分を呼ぶ声。
「キョーコっ!!!!」
切羽詰まった、吐き出す様に呼ばれる自分の名前。
小さく凍らせたこころの内側が、甘くしびれる。
(・・・・・・・・・・・・・・だめ、め・・・・。私の心は壊れちゃってるから・・・・)
零れる嗚咽を両手で封じ込んで。
「っ・・・きょーこ!!」
(つるがさ・・・っ!!)
大好きな人にそんな声を出させたくはない。その腕に飛び込みたい。けれど、出来ない・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・みつけた・・・」
「ひっ・・・」
地獄の使者の様な、声と気配にキョーコの背筋が凍りつく。
「・・・・・・出てくる?」
大きな体を屈めて、ドームの中を覗き込んでくる彼。
無表情な声と顔が怖くて。
ふるふると頭を振る。
「・・・・・・・・・・・・・そう、なら!!」
伸びてきた腕。逃げようと後ずさるけれど、子供用の遊具の中は狭く限界がある。
あっという間に捕まって。口元を覆っていた手を引きはがされ、そのままドームの内側から引きずり出されてしまう。
「いやぁぁ・・・・」
「!! どうしたの? どこか怪我した!?」
引きずり出されたキョーコの顔を見て、蓮はぎょっとした顔になる。
怪我をした手で顔を覆っていたからだろう。その滑らかな頬にべったりと血が付いていたのだ。またそれが雨に濡れて流れ落ちてゆくので、凄惨極まりない顔になっている。
「いつ!? どこを切ったの!?」
連は自分が着ているシャツの袖で拭ってくれる。白いそれは、血を吸ってどんどん染まってゆく。
「だめ・・・。血は落ちないんです・・・」
その手を止めようと、伸ばした手は逆に囚われて。道路によって傷ついた手のひらを覗き込まれる。
「酷いな・・・。とりあえず俺の家に行こう。手当てしないと・・・」
「いや!! それは、絶対いや!!」
労わりの提案も、条件反射で叩き落とす
(あの女の人がいた空間にいくのは、いや!!)
口には出せないけれど、それは今のキョーコには耐え難い苦痛だった。
「・・・・・・君が嫌がっても俺は連れて行くよ。君の家より俺の家の方が近いし。気づいてる?」
そっと唇をたわめられる。
「唇、紫になってる。温まらないと・・・」
ふにふにと柔らかいそこを、遊ばれて。
キョーコの顔が赤く染まる。
「無理やり連れてかれるのと、自分で付いてくるのどっちがいい?」
綺麗すぎる笑顔は赤信号の印。逃がしてもらえないだろうし、これ以上人前で醜態をさらすのもいやだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ついて、いきます」
「ん、いい子だ」
怪我した手は繋げないから。がっちりと腰を掴まれ逃げ出したばかりの、あの部屋へ連行される。
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心の底から思う。
文才が欲しい・・・
どうしてこうも纏められないのか・・・。
無駄な表現が多いのか・・・orz
魔人様ごめんなさい・・・