あしあと | 妄想★village跡地

妄想★village跡地

スキビ二次元創作物の残骸がある場所です。閉鎖いたしました。
リンクフリーではありません。無断リンクはお断りしております。


アメンバ様100人突破記念祭、リクエスト第2弾は
sei様より

キョーコちゃんが、「勝手にキッチリ失恋気分。恋心よ、さようなら」「恋愛感情は否定しなくなったので次の恋へ走れるなら走りたい」「そんな時に好青年の相手役(見た目は宗像;クレパラ参照)に出会い、その人柄の良さや、やさしさに癒やされちゃったら?」

必死になる蓮くんと、キッチリ諦めてある意味スッキリしちゃたキョーコちゃん。(こういう切り替えは女性のが早い)
ヘタレ似非紳士は、キョーコの蓮への恋心を取り戻せるのか。

と頂きました。
sei様に捧げます

オリジナルキャラがいますので、苦手な方はご注意ください

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

思わず投げつけたリモコンは、テレビに命中して。汚くひびの入った液晶は、所々黒く欠けて。キョーコの心を的確に表している。
欠けた画面に踊る文字は『敦賀蓮熱愛発覚』の文字。

『いやぁ、驚きですね』

『お相手の方は、ドラマで共演されてた女優さんですよねぇ』

『今までたくさんの方と共演されてますけど、こんな報道されるのは初めてですよね』

『本気、ってことなんでしょうかねぇ・・・』

所詮は他人事、雲の上の存在の出来事といいたい放題だ。

『でも、おあい・・・』

ぶちん

電源を引き抜かれ、あえなく沈黙したテレビ。

「やっぱりわたしなんか無理だったのよ」

真っ暗になった画面に、ぼんやりと映るキョーコ。
歪んで滲んで。

「こんなこむすめ、あいてにするわけないのよ」

『後輩』の仮面をかぶって、傍にいて。
誰よりも近い存在だと、心の奥底で自惚れていた自分がバカみたいだ。

「何が『恋なんてしない』よ」

ずっと前から、恋焦がれていたのに。
見ないふりをしていた自分。
鍵なんて何の意味はなく、泉はこんこんと湧き上がり。

「見て見ないふりしてただけじゃない・・・」

つぅ・・・。
伝う涙は、後悔と失恋が入り混じり。
いつまでも止まることがなかった。




「キョーコさん入りましたぁ!!」

「おはようございます~」

スタジオに入れば、共演者の面々がキョーコの元へ駆け寄ってくる。

「京子ちゃん、ニュース見たっ!?」

「あれ、事実なのっ!?」

蓮とキョーコが懇意にしているのを知っているから、矢継ぎ早に質問してくる。

「あー、どうなんでしょう?」

言葉がかけられるたび、傷口がじくじくと痛む。
質問が重ねられるたび、涙がにじむし誰彼かまわず怒鳴りつけたくなる。けれど、それは八つ当たりに過ぎず。

「やっぱりホントなのかなぁ?」

「でも、あの雑誌ガセも多いよ?」

「えー、でも相手の女否定してないよ?」

「そりゃ、しないよぉ。あの『敦賀蓮』と熱愛報道だよ? 噂だけでも、堪能したいじゃん。京子ちゃんもそう思うよねぇ?」

きゃわきゃわと盛り上がる出演者。
それと比例して、落ちてゆくキョーコのテンション。

「え、そうですね。でも、敦賀さんの恋人なんて大変そうですよね」

「あ、そうかも。美人の共演者とか沢山いるもんね。いっぱい誘惑とか来そうで、毎日ハラハラしてなきゃいけないか」

「えー、でもぉ。敦賀蓮位かっこよければ、アタシ二番目でもいいなぁ・・・」

うっとりと、一人が言う。

(私は、そんなの嫌だわ・・・)

一番に思ってもらいたいし、一番に思いたい。

「無理無理。アタシ達みたいなのは。歯牙にもかけてもらえないって。ねぇ、京子ちゃん」

「そう、ですよね。分相応が一番ですよね」

自分で発した言葉が、自分を抉る。

「そうそう。あ、新しい共演者、見たっ!?」

彼女たちの話は、雲の上の話から身近な話へと飛び。

「あ、今日から合流される方ですか?」

そういえば、今日から新しく参加する方がいたと思いだし。どんな人なのかと、その姿を探す。

「なんかね、『肉食系』って感じ? ほら、あそこ」

指差した先には、椅子に座り台本を広げている男性の姿。

「『ハル』さん、でしたっけ?」

顔合わせの時に、挨拶したっきりだったキョーコは彼のことをよく知らない。

「そう。舞台中心で活躍してるの。敦賀蓮とは違うけど、かっこいいんだよ~!!」

盛り上がる、女性二人を見て。キョーコもほんの少し、興味がわく

「そうなんですか・・・。私、挨拶してきますね」

(どんな人なのかしら?)

後姿は、蓮より大きく。蓮より、がっしりしている。

「あの、今日からよろしくお願いします。『ゆり』役の京子です」

無意識に、彼と蓮を比べつつ。ぺこり、挨拶と共にお辞儀をすれば、慌てたように彼がパイプ椅子から立ち上がる。

(あ。おんなじくらいのたかさ・・・)

立ち上がった彼の背は、ちょうど同じくらい。

「すいません。俺が挨拶行かなきゃいけないのに・・・。今日からよろしくお願いします。『静』役のハルです。これからよろしくお願いします」

滑らかなその声も、彼に似た響きがある。

(なんだろう。この感じ・・・)

懐かしいような、恋しいような・・・。
既視感にも似た感覚。
面差しは、全然違うのに。
黒い瞳に、黒い髪に。蓮を連想させるような気配。

「雪山ロケ、頑張りましょうね」

にっこり、笑った彼の顔は『神々紳士スマイル』ではなかったけれど。

(『ほわほわわんこスマイル』ね)

物凄く、大きな犬が尻尾を振っているような。
そんな安心できるような笑顔。

「一か月の山籠もりなんて大変ですよね」

(この人、一緒にいると安心できるな・・・)

蓮といるときに感じる、緊張感も何も感じない。
ただただ、安心感だけがそこにあった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
またしても、続きます。
今回のオリキャラ・役名にはある共通点があります。
わかりやすい? かなぁ・・・