ヤケドは冷やさないほうが良いですよ | TOYOUKE Clinic のブログ

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豊受クリニック(内科・小児科)院長の髙野です。
平成27年1月より世田谷区玉川台で開業しております。
平成24年5月から池尻大橋駅近くの池尻クリニックで
診療しておりましたがビルの売却に伴い移転しました。

『専門家、見て来たような嘘を言い』

 

「教えて!goo」ってサイトで

ヤケドの処置に対する専門家

のアドバイスを発見してしまった。

…と思ったけど、素人が専門家気取りで

発信してるだけっぽい稚拙さですね。

水疱を水泡って書いてるし。

 

~~~~~以下引用~~~~~

 

熱湯が掛かるとか赤熱した金属に触れるとかして

火傷を負った時は直ぐに冷水や氷で冷やさないと

いけません。
組織が受けるダメージは組織が吸収する熱の総量

に比例しますから、60℃くらいの熱湯でも水を

掛けるまでの数秒の違いで、火傷の程度が大きく

変わってきます。1秒を争う気持ちで水道の蛇口

に急行するか、近くにあるコップの水や清涼飲料水

を緊急的に掛けてでも冷却に努めるべきです。

最悪、数秒以内に水で冷却出来ない時は、熱湯とか

が掛かった瞬間に患部に掌を押し当てるだけでも

少しですが、ダメージを減らせます。

(体温は36℃ですから熱がそっちに逃げてくれます)
後、水で冷やす場合は氷を入れた水がベストです。

洗面器等に氷と水を入れて最20分位は冷やしましょう。

手が痺れて痛くなっても冷やし続けてください。

氷がない場合は蛇口からの流水で冷やします。

こちらも30分は冷やした方がいいでしょう。
火傷の、ヒリヒリ感や水泡は時間が経ってから

現れます。直後は症状が弱くても後で強くなって

きますから、十分過ぎるほどの意識で患部の

冷却を応急処置の要と理解してください。

 

~~~~~引用終了~~~~~

 

「組織が受けるダメージは組織が吸収する熱の総量

に比例しますから、60℃くらいの熱湯でも水を

掛けるまでの数秒の違いで、火傷の程度が大きく

変わってきます。」

変わりません。

 

60℃の熱湯にさらされ続ければ

ダメージが広がり

深部に到達もしてしまうでしょうが

お湯が掛かるにせよ熱い鉄板に触れるにせよ

それは(通常は)一瞬のことです。

その後に冷やさないと深部に熱が

広がって大変なことになる!って

…なりませんから。

 

風呂の温度くらいのぬるま湯や

ヤカンの蒸気に少し近付ける

くらいで悪化することは

ありません。

 

「氷がない場合は蛇口からの流水で冷やします。

こちらも30分は冷やした方がいいでしょう。」

水がもったいないから止めましょう。

 

冷やさずに少し温めるくらいで

対処する方が、その後の痛みも

少ないし水疱もできにくいのは

やってみりゃ分かること。

 

島の病院に居る頃、最初は

ケガやヤケドの処置って

苦手で嫌いだったんですよ。

外科の医者じゃないし。

なかなか治らないし。

 

でも新しい創傷治療という

概念を知って

消毒しない

ラップでもいいから乾かさない何かを当てておく

という方法を取り入れるようになってからは

当直の時にケガやヤケドの患者さんが来るのが

(ちょっと不謹慎な表現ですが)楽しみになりました。

 

だって、簡単に痛くなく綺麗に治るんですもの。

 

でもね、ヤケドの時にどうしようもなくて

整形外科のドクターに助けを求めることが

ありました。

 

熱湯を足に掛けてしまい、受診した

3歳の男の子。茶碗が引っくり返って

お湯が触れただけではあるので

そんなに酷いヤケドではなかったのです。

その頃は現代医学の常識にのっとって

外来で氷水で10分間以上冷やします。

冷やしている間は痛みが和らいで

ケロッとしているのだけど

冷やすのを止めると

ものすごく痛がってどうしようも

なくなるのです。

 

整形外科のドクターはステロイド外用剤と

鎮痛剤の坐薬で対応していました。

 

今にして思えば、冷やすから

反動がひどくなっていたのです。