りょうきです。先月アメリカロサンゼルスに仕事で行って参りました。
Grammy賞の現地レポートをここに転載いたします。



もう時間も経ってるし、もういいでしょう。笑



staples

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Report on
2012 Grammy Awards in Staples Center by ryo-ki koga

子供の時から憧れだったグラミー賞。幼少期の私に多大な影響を与え、高校からLAに渡り大学ではエンターテインメントビジネスを専門とするほどだった。
何がそんなに魅力的なのか。なぜ音楽産業の規模が世界二位になった今でも世界最高峰の音楽の祭典と呼ばれるのか。

日本国内等の他の賞レースとこのイベントが違うところは、世界に何億、何十億といるビューワー。
よってアーティストにとっては、世界へ向けてのプレゼン、ショーケースの場になっているわけで、気合が全然違う。
ただ受賞曲を歌うのでなく、どのアーティストも今後のビジョン、今売りたい曲を見せるべく、自分のツアーのハイライトを五分のステージにぶつけてくる。
数時間のために音楽業界のトップが集結し、トップパフォーマンスを繰り広げるのだ。
(また、2011年は米国の音楽業界の規模が日本に抜かれてしまった。今年一年の米国内での競争の熾烈化は必須、日本への来日ラッシュに活路を見出すアーティストが増えるだろうし、米国内での競争の熾烈化は必須であろう。)

さて、第54回となる今回、現地の人々の注目は何に向けられていたか。
挙げるとすれば大きく3つ。

Adeleがいくつ賞をかっさらっていくのか。

リアーナに暴力を振るったクリスブラウンと彼女がどう同じステージに立つのか。

前夜祭直前に起こった悲劇、ホイットニーの死。

ホイットニーが亡くなった11日夜は既にラジオやテレビでも特集が組まれ、クラブでも急遽ホイットニーナイトが開催されたそうです。ホテルで隣合わせだったグラミーの役員も中身の変更に追われバタバタしていた。

こちらについて直ぐに実感したのですが、グラミーがあるからなのか、かかりまくるほど人気だからグラミー候補なのか分からないが、Bruno Mars、Adeleの曲が交互と言っていいほど一時間内に何度も同じラジオ局でかかっていた。

今回、個人的注目は
Cee-Loの楽曲等、ヒットメーカーとしても有名、昨年はfeaturingでシンガーとして大活躍だったBruno Mars、
カリフォルニアのパーティーで絶大なパワーを持つKaty Perry、
ティーンエイジャーの新カリスマNicki Minaj、
Jay-zの後ろ盾もあり、ヒットしない曲はないRihanna、
年齢を感じさせないソウルフルな歌声のAdele、
世界的セールスを誇るLady Gaga、
(あれ?ほとんど女子?)だった。

空港からホテルまで、随分と元気の無い、寂れたLAを目の当たりにしたが、LAの人々はどこもグラミーの話で持ちきりで、浮き足立っていた。拠り所をエンターテインメントに求めていると言ってもおかしくない異様な雰囲気であった。会場に着くまでランダムに(知らない方に)受賞者予想を訊いてみたが、Rihanna、Adeleの支持が絶大、ティーンは口を揃えてNicki Minaj。また、Adeleは男性の支持があるのか、女性の支持があるのか気になっていたが、「年配男性」と、「見た目にコンプレックスのある女子」から絶大な指示を得ているとのこと。さすが見た目ではなく、歌、音楽の力で勝負するAdele、ファンの幅が広い(笑)。 確かに土産物屋、スターバックスのレジにもCDが置いてあった。

さて、そんな中、会場であるStaples Centerに到着。入口は厳戒態勢。何度も入場券のチェックを求められた。ドレスアップしてくるよう、というWOWOWさんからのオーダーのもと、僕達は紋付袴で会に挑んだ。男の着物は珍しいのか、他のゲストの方々から写真を求められたり、メディアの取材を何度か受けたりした。中に入ると、ドレスアップした方がたくさん。人種を問わない、といえど、やはり白人を中心に、意外と多かったのが黒人。アジア人はほとんど見かけず。どちらにしても「富裕層」だと思われ、会場に到着するまでに目の当たりにした「元気の無くなったアメリカ」が嘘のように、皆綺麗にドレスアップ。席に着く前の時間を皆社交場として楽しんでいるようだった。
そしていよいよ開演。MCは僕も個人的にビデオを手伝ったこともあるLL COOL J!彼はオーディエンスを巻き込んで沸かせるのが本当にうまい。

注目すべきパフォーマンスは
Chris Brown
暴力事件後に被害者のリアーナと初めて同じステージに立つということで今回のグラミーの目玉とされていた。内容は彼の復帰を印象付けるものとして素晴らしかった。彼自身というより、ダンサー、セット、ライティングとのコンビネーションが抜群で異空間を演出していた。
Rihanna/Coldplay
期待のコラボ。ステージを2つに分けての共演。向かって左がRihannaの陣地、向かって右がColdplay。入口で配られたリストバンドが曲に連動して光るというパフォーマンスで、会場を一体化させる。電池が付かないリストバンドをつかまされた人達は隣と話すチャンスだったりで、それもまた一体化に一役買っていた。
Taylor Swift
一体化と言えばこの人。他のアーティストのように派手なステージングではないが、田舎の良き奥様風?コスチューム、キャッチーなメロディと彼女の魅力で皆メロメロ。スタンディングオベーションが鳴り止まず、彼女も意外だとびっくりする様にまたメロメロ。抜け出せないループ。。。かわいらしく才能に溢れるなんて。不公平すぎ。ここまで揃って女子に嫌われないのだろうか。
Kelly Clarkson (とJason Aldean)
アルバムごとに違うジャンルを披露してくれる彼女、R&B、ROCK、と来て、ついに今回はカントリー。うまいし、声がいいとなんでもよく感じてしまう。
Nicki Minaj
シアター形式のステージはアイデアも素晴らしく、スクリーンとの連動も無駄がなく、タブーすれすれの!?シャレが素晴らしかった。
David Guetta/Chris Brown/Lil Wayne
産業自体がクラブDJにスポットを無理矢理当てようとして少し強引ではないか、という批判も出ていたが、他のパフォーマンスとカラーが違い、楽しかった。
Jennifer Hudson
前日のホイットニーの悲報を受けて急遽準備された追悼パフォーマンス。歌唱力のある彼女だけれども、前に出過ぎず、忠実にホイットニーのヒット曲を紡いで行く、そんな敬意に満ちたパフォーマンスだった。ホイットニーはソングライターでもなく、純粋な歌い手であった。それでも数十年もシンガー達の憧れであり、敬意を受け、愛を受けていた。そんなシンガーは他にいるだろうか。そのこと自体が彼女に届いていなかったことが無念でならない。他にはインディーズの星Foo Fighters、Alicia Keys/Bonnie RaittによるEtta James追悼パフォーマンス、そして再結成したThe Beach Boys、ビートルズ時代の楽曲を披露したPaul McCartney。

そして・・・賞は、ほとんどAdeleがかっさらっていき、字の通り「Adele Night」となった。個人的にはBruno MarsとGagaにも少しトロフィーを持って帰ってもらいたかったが、彼女の感激っぷりに好感が持て、一緒になって感動した。他アーティストの家族や関係者はいないのか、と心配になる位(笑)会場全員がAdeleのファンではないかという空気になっていた。

興味があろうとなかろうと、(特にキャリアの長い)アーティストに敬意を払う姿勢がオーディエンス全体に感じられた。The Beach Boys、Stevie Wonder、Paulがステージに立つと無条件にスタンディングオベーション。

レディーファースト、渋滞時の譲り合い、そんなマナーが自然と体に染み込んでいる国、楽しいこと、刺激的なエンターテインメントが大好きな国=アメリカ。なのに、それどころではない程大きな問題も抱えている。

冒頭で触れたが、今回の渡米はショッキングな旅でもあった。名門大学院を卒業したほとんどの友人が失業、裕福なショッピングエリアでさえ、テナントが埋まらず、寂れてしまっているという数年前では考えられない光景。ところがアワードのゲストのほとんどは富裕層であり、マナーもよく、品や余裕があり、着飾っていた。
貧富の差が広がりすぎた今、特に貧しい地域での音楽教育に力を入れる会社/団体が増えているという。音楽の成績がいい学生は学業も出来る、音楽は精神面だけではなく、学業にも良い影響を及ぼすというデータが出ているそうだ。

音楽は人の心を癒すのか。音楽は答えとなるのか。

LL COOL Jが言った。今夜は、一人一人個人のための夜ではなく、音楽に癒される「音楽のための夜」なのだと。誰が受賞しようと、色んなジャンルの音楽、色んなアーティストをリスペクトし合い、ファミリーのように皆で祝う。

皆で歌って踊って楽しんだ、とても温かい夜だった。

この夜は米国という国が日本のように少し身近に感じられた。


古賀崚暉

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袴をきていたせいか、たくさんの人に声をかけられました。
わらーーー

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