11月7日から11日まで開催されていた
米国心臓協会学術集会の報告から
面白いトピックがあったのでご紹介
【「乳酸菌」の摂取、
6週間で血管内皮機能が改善 】
最近流行りのプロバイオティクス
これが血管の内皮機能を改善する可能性が
出てきました
日本では通販で手に入りますが
シンガポールではオーガニックのお店や
薬局で手に入りますね
プロバイオティクスと呼ばれるには
求められる条件が7個ほど有りますが
ザックリ説明すると、人間の身体に存在する
腸内細菌叢のバランスを改善して、
身体に良い作用をもたらす、生きた乳酸菌です
近年、動脈硬化の進展に腸内微生物叢が
重要な影響を及ぼしているとの報告が見られる
ようなのですが
乳酸菌などのプロバイオティクスの
摂取によって、冠動脈疾患患者の血管内皮機能に
どのような影響があるかについては
明らかになっていないので
冠動脈疾患患者に
1日1回乳酸菌飲料を摂取してもらったところ、
わずか6週間で血管内皮機能が改善し、炎症性サイトカインが減少することが示された、との事です
試験概要と結果は
対象は、冠動脈疾患の罹患歴のある
21人の男性(平均年齢64歳)。
1日1回6週間に渡り、Lactobacillus plantarum 299v(200億CFU/mL)入りの乳酸菌飲料90mLを摂取
摂取1週間後と6週間後に、
FMD検査(血流依存性血管拡張反応)を実施
結果、%FMDは有意に増加(摂取前:3.55±1.96、摂取後4.73±2.33、P<0.001)
ただし、6週間の摂取を完了し、
摂取を止めて30日経過すると、%FMDは4.05±1.94 に減少
つまり、継続的にプロバイオティクスを
服用しないと一ヶ月もすると
元に戻ってしまうという事です
また炎症性サイトカインの変化では、
IL-8は摂取前に比べ摂取後に24%減少し(17±2pg/mLから13±1pg/mL、P<0.010)、
IL-12も20%減少した(56±7pg/mLから45±6pg/mL、P<0.012)。
つまり、炎症が軽減したという事ですね
コレステロールが高値でない
心血管疾患も存在することから、
(確かに、実際そうゆう患者さんも
冠動脈疾患を担当している時に
見かけました)
動脈硬化の進展にはコレステロール以外に
腸内微生物叢などの関与の可能性が指摘されて
いるそうです
そのメカニズムの解明が急務となっていて、
今回は小規模の研究なのですが、
この事から、手軽に摂取できる
乳酸菌によって血管内皮機能が改善し、
炎症が低下することが示唆された
ので、
さらに今後の大規模な研究が期待されますね
なので、
『プロバイオティクスを直ぐに取り入れよう』
ではなくて、
この件は、今後の大規模臨床試験でさらに
有効性や忍容性の確認が必要で、
まだ静観しておくべきですが
個人的にはプロバイオティクスは人間の
腸内環境を整える上でとても良い物なので、
そのような意味で、
手に入るようであれば、私はお勧めの乳酸菌です