ベンジャミン・バトン と ジェイ・ギャッツビー | Down to the river......

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写真・音楽等の趣味や、日々の雑感、または個人的な備忘録……

中川前財務相の酩酊会見がブログでも話題になっていますが、「劇団ひとりと大沢あかねの結婚会見」に関してひとつ。

スポーツ紙等で「劇団ふたり」という記載がありましたが、一報を聞いて、「結婚すると(彼女の名前が)『劇団あかね』になるのか……」と一瞬本気で思ってしまいました(>_<)。
と言うのも、昔からのプロ野球ファンなら、「大沢」という姓の重さを理解して頂けると思いますが……(笑)。

面白くねぇ~よ、とツッコマナイで下さい。
女ではなく男なので、僕の方がツッコミたいのですから(爆)(←下ネタです)。
まあ、「劇団あかね」という名の劇団が実在してもおかしくないわけですし……(笑)。

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来る23日(現地では22日)米国アカデミー賞の発表があります。
作品賞の有力候補の1つと言われている『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』について言及させてもらいます。
候補作の中で唯一日本で公開されている映画です。

ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの組み合わせは、映画『バベル』と同じで、しかも80歳で生まれ年々若返って行くという荒唐無稽な物語なので、最初は殆ど興味がありませんでした。


Down to the river......-GreatGatsby1その後、この映画の原作がフランシス・スコット・フィッツジェラルドの短編小説だと知りました。
「もし80歳で生まれ、ゆっくりと18歳に近づけたなら、どんなに幸せか」というマーク・トウェインの言葉に刺激を受けて、フィッツジェラルドが20年代を舞台にこの短編を書いたそうです。

しかも主人公ベンジャミン・バトンの最愛の女性の名前が「デイジー」なのです!
米文学史上の最高傑作として有名な『グレート・ギャッツビー (The Great Gatsby)』のヒロイン「デイジー」と同じ名前なのです。

作家が短編を基に長編小説を書くことは、よくある事です。
『グレート・ギャッツビー』の原型かもしれない、との思いでこの映画を観ました。


ただフィッツジェラルドは、彼の妻ゼルダとの社交界での奔放な生活の財源の為に、駄作と思える短編小説も数多く書いています。
僕は翻訳された彼の短編を半数以上は読んでいますが、この物語は記憶にありません。
どうやら、今まで未訳だったらしいのです。
その点が少し不安でした。


ベンジャミン・バトン 数奇な人生 予告編



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この映画、結構ヒットしているらしく、既に観た方も多いと思います。
しかもブラッド・ピット効果か、館内には若い女性が多かったです(シルエットのみの確認なので、若いかどうか保証出来ませんが)ニコニコ

観た印象ですが、とても丁寧に作られた映画です。
ブラッド・ピットの老人の演技も意外に良かったです。
「生と死」の意味を問いかける映画ですが、観客が様々な思いを持てる様に作られています。
ある意味「残酷な」物語ですが、一応ハッピーエンド風に終わります。

しかし単純に、男と女のラブ・ストーリーという事も出来るでしょう。
「一生をかけて、ただ1人の異性を愛し続ける事が出来るのか?」というテーマは、『グレート・ギャッツビー』と共通します。

この映画は、デイジーの回想から始まり、ベンジャミンの日記を基に展開します。
悪くない物語構造であり、所々目を惹くシーンもあるのですが、3時間近い上映時間もあり、やや散漫な印象を受けました。
原作を読んでいないので憶測になるのですが、短い短編を映画化するに際して、エピソードを多く詰め込み過ぎたのかもしれません。
この辺は受け手によって、意見が分かれると思いますが……。

さて、アカデミー賞ですが、歴代の作品賞受賞作品と比べると、やや力(パンチ)が弱い様に感じられました。本命ではないと思ったのですが……。
どういう結果になるのでしょうか?


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Down to the river......-GreatGatsby2原作者のフィッツジェラルドは、この寓話的な設定が余り良くないと思ったのか、『グレート・ギャッツビー』では男と女の間にニック・キャラウェイという第三者を絡ませます。
物語はニックの一人称で語られ、彼の目を通して男(ギャッツビー)と女(デイジー)が描かれます。

この仕掛けは1つの発明とも言えるもので、物語全体に客観性を持たせると同時に、ギャッツビーを印象的に描くのに成功しています。

貧しい家の出のギャッツビー、中産階級のニック、お金持ちのデイジーという絶妙な対比で、社会背景(世界観)をも見事に描いています。
名作たる所以です。

村上春樹氏はフィッツジェラルドの大ファンでも有名ですが、2006年にこの『グレート・ギャッツビー』の翻訳を発表しました。


僕はまだ未読なのですが、なんでも本国アメリカでもこの翻訳は高く評価されているらしいので、これから読まれる方にはお薦めします。

フィッツジェラルドの小説には、彼の妻ゼルダとの関係が色濃く反映しています。
つまり「デイジー = ゼルダ」とも言えるので、彼のゼルダとの半生を知ってから読むと、また違った味わいがあると思います。

ところで、村上春樹氏の初期の3部作に登場する「ジェイズ・バー」のマスター「ジェイ」は、ジェイ・ギャッツビーの名前からとられたのでしょうか?
因にこの小説は、男性化粧品マンダムのギャツビーの語源にもなっているそうです(笑)。


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Down to the river......-Gatsby僕と『グレート・ギャッツビー』との出会いは、TV での映画の放映でした。
邦題が『華麗なるギャツビー (1974)』

当時良く読んでいた、アメリカのハードボイルド小説と同じ様な語り口(テイスト)に惹き込まれ、原作本を読んだと記憶しています。
映画と同じ語り口、いやそれ以上の出来で感動しました。

後で知ったのですが、この映画の脚本を書いたのがフランシス・フォード・コッポラ
なんでも最初はコッポラ自身が監督するつもりだったのが、『ゴッドファーザー』かなんかの撮影で監督出来なかった、という逸話を聞いた事があります。


ある意味コッポラ絶頂期の頃の脚本ですが、村上春樹氏もこのコッポラの脚本を評価しています。


The Great Gatsby




この『グレート・ギャッツビー』、再映画化されるみたいです。

フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」をバズ・ラーマン監督が映画化

『グレート・ギャッツビー』はフィッツジェラルドの死後に評価が高まりましたが、百年に一度の経済危機の現在、またフィッツジェラルドに注目が集まるのでしょうか。