最近読んで泣いた本。
いしいしんじさんの『ぶらんこ乗り』。
以前にも2冊読んだことがあるのだが、絵本を読んでいるかのような、どこか懐かしく、思わず顔がほころんじゃうような文章で大好きな作家さん。

この本もあったかくて切なくて、癒されます。
ぶらんこが得意な弟が声を失い、動物と話せるようになる。姉に書いて聞かせるその物語がほんとにかわいい。コアラはユーカリのハッパ中毒とか・・・。
サーカスを見た後、弟が作ったぶらんこ乗りの夫婦の物語がものすごく素敵です。

この弟は動物と話せるっていう現実ではありえない、でも彼の中での真実の世界に引き寄せられながらも、日常の現実の世界につかまろうと必死に手を伸ばしてた。日常に本気で逃げたくなるような辛いことが起こっても。

現実のことが真実なのか。嘘みたいなお話の中にこそ、真実があるって思わされる本でした。

ぶらんこ乗り (新潮文庫)ぶらんこ乗り (新潮文庫)
(2004/07)
いしい しんじ

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