仕上げの膳・・・
今日、明後日ある師匠の49日の準備・・・
本堂を綺麗に掃除をし、香典返しやお寺さまのお礼の記念品。
お檀家さまの記念品。
そして、当日の行事の流れを決めて・・・印刷し・・・
本堂に飾る若いころから、晩年までの沢山の写真を本堂に並べて・・・
明日、午後からお寺の婦人会の方に、49日のお料理の一部を作るのを、お手伝いをいただきたいとお願いしているので、八百屋にお野菜を夕方見に行きました。
地物の人参や・・・
岩国蓮根に・・・
干しシイタケ
周南市産の大根
静岡県の佐藤えんどう
本当は夜市のごぼうか、美東のごぼうがほしかったのですが、いくら探しても、見つからず、出回り始めた新ごぼうも考えたのですが、太くて立派な青森県産のごぼうを購入して・・・
周南市高瀬の手作りこんにゃく
そして炒り白ごま・・・
吉野本葛・・・
何を作るのかと申しますと・・・
先日、師匠の67日法要にお集りいただいた皆さんにお話しをさせていただいた後、わたくしは・・・
婦人会の皆さんにひとつの提案をしました
「最近は、お法事などのお膳は料理屋さんのお膳をとられる方が多くなりました。豪華であり、美味しくそれは悪いことではありません。師匠は生前中、こんな話をよくお檀家さまに伝えていました。
お膳というものは、本当は仏さまにお供えするものと同じものを、お客様がいただくのが本当
仏さまには、味付けもしないような料理をあげて自分達は豪華なお料理屋さんのものを食べて・・・
本当はそうじゃないいんですよ誰のためのお膳か、よく考えて・・・本当は・・・同じものを・・・」
そんな話をよくしていたこと・・・
そして49日のお膳のことを「仕上げの膳」とお呼びすると・・・
7日・7日のお勤めをして49日に、最後の七日のお勤めをして、一人前の仏さまとして、仏の世界に旅立たれます。よくお檀家さまには、お話させていただくのですが、49日まで亡くなった人は、仏の世界とこの世を何度も行ったり、来たり・・・
「ああわしは、あんなにも辛い思いをさせておるのか?」
「おいおいそれは・・・大丈夫じゃろうか」
色んな心配をされて・・・
でも残された家族がしっかりと7日ずつの供養をしっかりしてお勤めをすると・・・故人は迷わず仏の世界に行かれます。
なので、49日の法要が終わった後、色んな縁ある方に集まっていただいてお膳を共にすることを「仕上げの禅」
ともいうんです。
「あああいつは頼りないと思っていたけど、しっかりお勤めをしてくれてるな」
「こんなにも多くの人が集まって、自分の供養を願ってくれて・・・」
お父さん、○○さん。どうか安心して、仏の世界に旅立ってくださいね・・・
こんなにも多くの方が父さんの背中を支えて・・・安心して仏の世界へ旅立ってほしいと集まって・・・
「さようなら・・・お師匠さま・・・さようなら・・・住職さん・・・さようなら、父さん・・・」
さようならを告げるために同じ食事をいただくのが・・・
49日のお勤めをした後に共にいただくお膳・・・
49日の法要の際、この地方では必ず準備し、仏さまの御前にお供えするものがあります。
49のお餅
一升の餅米でおもちをつき、49の子もちを作って、余ったもので、傘もちという大きな広べったいお餅を作ってお供えします。
あれは小さな子もちうは体の骨のひとつ・ひとつ・・・
その上に置く傘餅は人の頭を表しています・・・
その餅は6個お墓にお供えして・・・後の残ったお餅は来ていただいた皆さんでお分けしていただく・・・
昔は土葬していたので、毎日お墓にお餅を作ってはお供えした名残・・・
またこんな意味合いがあると思うんです。
1本・1本の骨も決して忘れませんよ。ひとつひとつの出来事も、忘れたりしません・・・
そして、お餅を準備するのは、亡くなった方に、近いご縁の方・・・
悲しみは深く・・・計り知れない・・・けれど、集まった方と共に悲しみを分かち合い、「さようなら」を故人にお送りするのが、49日・・・そして仕上げの膳・・・49のお餅・・・
以前も紹介させていただきましたが・・・別れを告げるサヨウナラの語源は「左様なら」しょうがないが語源であるといわれています。
自分が亡くなったのは辛い。遺族も悲しい。けれど、安心して仏の世界に旅立っていただけるように、お勤めさせていただくのが仕上げといわれる49日・・・
父はよく仏さまと同じお膳を・・・
そして
「テツゲン。お前のごま豆腐が食べたい」
「あれを作ってくれ」
「うまいの・・・」
「あれがいけんのいいやお前・・・手抜きしたじゃろ」
そして、従来お寺ではあまり開催される事のなかった料理教室を開催させていただいてみても・・・
知らない若い人たちを見ては・・・嬉しそうな 顔をし・・・
思うように人が集まらず、愚痴をこぼすわたくしに戒めを与えてくれました。来ていただけるんぞ~笑顔を施してもらえるんぞ
お前がそんな暗い気持ちになってどうするんかお前の料理や活動はわしゃ、認めてるんじゃけ~反対もせんのんよ少しうまくいかないからって・・・お出でになる方は・・・おるんじゃけ~
満面の笑みで、色んな方に・・・
仕上げの膳・・・
60人近いお客さまにお越しいただきますので、料理屋さんのお膳を注文させていただきましたが・・・
人数の関係上、本堂で仕上げの膳を共にいただきたいと思っておりますが、肉類の鍋を本尊さまの前で焚くことは、どうも抵抗があります。
通常は8,000円位のお値段ですが、5,000円のコースをお願いしたのは、お肉の鍋の臭いは本堂では・・・抵抗があります。
それと同時に・・・
仕上げの膳・・・
料理が好きだった師匠・・・父に・・・
自分で作った料理をお供えさせていただきたいと思いました。
人工透析をしていたので、食事も制限が多かったですが・・・
父が好きだった
ごま豆腐・・・
そして
がめ煮・・・
酢の物・・・
いとこ煮ではなく・・・善哉・・・よきことかな・・・
そして・・・父をお送りさせていただく・・・
「いつもながらに、ご負担をおかけしますが・・・前日の午後1時からお集りいただいて、お手伝いいただいていいですか?・・・」
皆さん、涙を流されながら優しい言葉をかけていただきました。
「テツゲンさん。あそこの牛蒡が美味しいから・・・ゆーとぴあの夜市の赤芽の里芋・・・」
「わたしが○○を作って来てあげる・・・」
お野菜を仕入れに行く時に、何だかひとつひとつに割られた蓮根ではなく、3つに連なった蓮根を料理にお使い出来たらなあと思い、購入させていただきました。
仕上げの膳・供養・お餅・・・
人と人・・・
連なって・・・合いし合って・・・
仕上げて・・・仕合げて・・・