散りゆく花・・・
「表のお花なんていう花ですか?
あの、紫色したかわいらしい花」
「テツゲンさん、あれはね~イセハナビ
ていうんよ。朝咲いてね。昼過ぎには、ぽとぽと落ちて・・・」
何だかすごく寂しいように思えました
今日はこの方の旦那さまがお亡くなりになられて約4週間
四七法要のお勤めを、させていただきました。
四七日法要のことを「阿経忌」とも申します。
ちなみに、
初七日は「初願忌(しょがんき)」
悲しみは深いけれど、読経させていただいて、仏事をお勤めさせていただいて、ご供養を心からお祈り、み仏にお願いしようという仏事。
香り高いお線香をお供えして、ご供養のお勤めをしましょう。
故人の思い出が、漂うお線香の香りのように、まるで・・・今もこの場所におられるようにさえ、思ってしまうけれど・・・
残されたご縁を大切に、思い出を大切にご供養させていただきましょうという仏事
三七日は「洒水忌(しゃすいき)」
清らかなお水をお供えして、ご供養のお勤めをしましょう。
涙を流すことは、悪いことでは、ありません。
涙の数だけ人は優しくまれます。
大切なことは、涙を流すほどの大切な方だったので、亡くなられた後も大切に供養しましょうという仏事です。
そして四七日「阿経忌(あぎょうき)」
今までは、お経を挙げることさえも、出来ない程、深い悲しみに襲われていたけれど、今日からしっかり仏の教えが説かれたお経に目を向けて、口を開けて、読経供養を行いましょうという仏事です。
よくお檀家さまには、お伝えさせていただくのですが、それぞれ法要には、意味があるんですね。
正午頃から落ちてしまうんです
何だか、無常の儚さを味わいます・・・
わたくしはよく通夜や葬儀・七日経のお勤めの時に、新しく亡くなられた方の供養をお祈りさせていただくご詠歌をお檀家さまの前でお唱えさせていただきます。
曹洞宗梅花流詠讃歌新亡精霊供養御和讃
永遠の身命と願えども
無常の風に誘われて 愛惜(おし)みて散れる花なれば
別離の涙ほほつたう
揺れる灯明(みあかし)あの笑顔
あなたに逢えた喜びと
深い絆に結ばれた
煌めく命忘れ得ん
香華供えて調(ただ)す身に
想いはおのずと深まりて
安寧(やすらぎ)念(ねご)う祈りこそ
蓮の開く縁(えにし)なり
七七供養の毎日(ひおくり)に
戒名(みな)を称(とな)えて掌を合わす
行事(つと)むる而今(いま)のまごころを
回(めぐ)らし手向(たむ)けんみほとけに
回らし(めぐ)手向(たみ)けんみほとけに
皆さん良い御詠歌ですね~と・・・涙を流しながら・・・お聴きになり、心から亡き方のご供養をお祈りいただきます。
そしてシャボン玉のお話をさせていただきます。
童謡シャボン玉は野口雨情さんの作詞。
雨情さん自身、随分と小さなお子さまを亡くされてしまいます。
最後の歌詞
「風、風吹くな。シャボン玉飛ばそう」という意味には二つの意味があると思うんです。
どうして、無常の風はふいてしまったんだろう。愛しいわが子の魂を、仏の国という・・・遠い世界へ
無常の風・・・辛くて、さびしいものですが・・・
無常の風の辛さに負けることなく、私たちの愛情を仏となったわが娘に送ってあげよう。
ああ、愛しいわが子よ。どうかわたしのこの思いを受け取ってください。という意味と・・・
無常の風に誘われて、儚い命の娘・・・どうか無常の風に負けることなく、飛ばされることなく、仏の世界で、成仏してください。そして、わたしたちの事を見守りください・・・
私たちは、生きている間に必ず「愛別離苦」という「愛しい人と別れなければならない苦」というものを経験しなければなりません。
辛くてしょうがないものです。なんで、わたしだけ・・・
うちの家族が・・・
僧侶である私も数々の経験をしてまいりました。
その時、思ったのが・・・
悲しみって絶対に消え去ったり出来ないこと・・・
大切なことは・・・
それを一人で背負わないこと・・・
自分しかと・・・
家族や友人色んな方に悲しみを「分かち合ってもらうこと」
「分かり合うこと」「触れ合うこと・・・」
そして・・・
亡くなった後も、大切な方には、変わりがないのだから、
生きている時と同じ様に、生きていた頃は、恥ずかしくっていえなかった感謝の言葉を、毎日送ってお経をお唱えして、まごころを贈ること・・・
仏さまは全ての悲しみを分かち合ってくださる大切な方・・・
仏さまと向き合った時、亡き方と向き合った時・・・
少しずつ・・・きっと悲しみは和らいで・・・
でも、悲しみは決してすぐには、なくなりません。
日々仏さまにむかって・・・少しずつ、少しずつ・・・
イセハナビと同様に確かムクゲの花も一日で散りさっていくお花です。
イセハナビやムクゲの花を拝見していると・・・
無常の儚さと共に・・・一日・・・而今(禅の言葉、一瞬の今)を大切に・・・
多くの命と共に・・・
お花とふれあいのお寺
曹洞宗瑞龍山祥雲寺
山口県周南市平野2-7-26
℡0834-62-3922