今月のゾイド以外(2006/10)
あ、先月やり忘れてたな、このネタ。
■ゲーム
ピンキー同士のダンスバトルという設定の音ゲー。同梱のフィギュアが欲しくて買ったのだが、ゲームも意外と丁寧に作られている。
音ゲーとしては、かなり難易度が低い。音ゲーが苦手な人でも、初見でクリアできる曲が多いのではないだろうか。難易度の緩さとDS特有の身体感覚に即した入力が相まって、プレイは楽しい。
しかし、いくつか問題も感じる。
まず、プレイ中は譜面に釘付けで、せっかくのダンスとオシャレを堪能できないという構造的欠陥がある点。
それから、楽曲自体は良いのだが、アレンジやチープな音色で魅力を損なっている感がある。もったいない。これでサントラの告知出されても萎える(逆にチープな音で燃えた『ドット勇者'87』という曲もあるが)。
何より気になるのは、テキストの分量や演出でテンポを悪くしている点だ。音ゲーなのだから、ゲーム進行全体のリズムにも気を配って欲しかったところだ。
しかし、グラフィックはさりげなく高い技術が使われており魅力的。着せ替えも楽しい。ピンキーとしての魅力を再現することには成功していると言える。同梱のフィギュアも評判は上々。
総合して見るに、「濃いゲーマーではないピンキーファン」を想定した作りといえるのではないだろうか。
■トイ
- 中山 かつみ, 菅野 博之, 木村 航
- Micro Sister UNI ミクロマン2006 パラレルワールド [クロア Version]
- 中山 かつみ, 菅野 博之, 木村 航
- Micro Sister UNI ミクロマン2006 パラレルワールド [アウラVersion]
発表当初は局地的に話題になったものの、発売延期を繰り返すうちに武装神姫に先を越され、すっかり忘れ去られた頃にようやく発売となった。
まず、パッケージ写真のやる気の無さに驚かされる。目立つゲート跡、塗りむら、とどめに塗料が乾く前にホコリが付着している(苦笑)。普通、製品より丁寧に仕上げるものでしょう、こういうの。いや、最初に印象を悪くしておくことで、実際に製品を手に取ったときに「思ったより悪くないな」と思わせる作戦か。最初から後ろ向きな作戦だが。
商品のクオリティとしてはまぁ、言うほど悪くないのだが、いかんせん値段が高すぎた(各3990円)。同人だと思えば納得もできる価格だが、それでは競争力はあるまい。本体(1500円)+本(1000円)=2500円くらいが適正価格だったんじゃないかと思う。
■CD
- Loituma
- Things of Beauty
詳しくは以前の記事で熟知すべし。
やっつぁっつぁぱれびっぱれらんらん♪
- ゲーム・ミュージック, ロコロコ・イエロー, ムイムイ, ロコロコ・グリーン
- PSP 「LocoRoco」オリジナル・サウンドトラック 「ロコロコのうた」
スキャットによる嘘ワールドミュージック。「~トワ」、「~ニョ」などの音で強引にフランス語なりスペイン語なりを想起させてしまう手法は、タモリの「四カ国語麻雀」に通じるものがある。
癒しのあるポップミュージック集としても秀逸だ。
ちなみにゲームは全然やってません。
■DVD
- ハピネット・ピクチャーズ
- ゲームセンターCX DVD-BOX
- ハピネット・ピクチャーズ
- ゲームセンターCX DVD-BOX 2
よゐこ有野が往年のゲームを攻略させられるCS番組の傑作選。地上波で放送されたときに、たまたま見て存在を知ったのだが、最近になってDVD購入。
チョイスされるゲームはファミコン時代の理不尽な難易度のタイトルが多く、かつてゲームは暴力だったということを思い出させてくれる。
有野はとにかくゲームが下手で、すぐ死ぬ。そして何度も同じ所で死ぬ。それが見ていて面白いわけだが、度が過ぎてイラッとしてしまう場面もある。
個人的イチオシは『アトランティスの謎』の回。あんな拷問みたいなゲームよくクリアしたな。
■本
- 小石 豊
- 聖書に預言された神国日本
オカルト雑誌「ムー」に載ってた広告で久々にグッと来るものがあったので思わず購入。
内容は昔からある「日ユ道祖論」。古代イスラエルの「失われた十氏族」が渡来して日本人の先祖となったという定番ネタだ。ユダヤ教が神道に変化したとか、天皇はガド族出身(御・ガド)とか、ムー読者にとって目新しいことは書いていない。こういう部分での電波濃度が薄くてちょっと残念なくらいである。
しかし、本書の魅力はそんなところにはない。この本の魅力の本質、それはこの本が『国家の品格』とか『美しい国へ』
のような文脈で書かれている点にある。つまり、戦前まで営々と伝えられてきた(実はユダヤの伝統に基づく)道徳を復活させることで神国日本として再生し、世界のリーダーたらん、と唱えるのだ。オカルトまで右傾化! ナショナリズムをオカルトでやってしまう、ヒトラーにも通じる特濃電波がここにある。
■映画
本作はシャマラン監督お得意の、最後の最後で大どんでん返し、という形ではない。徐々に思いこみが崩れていく。なので、衝撃を伴ったカタルシスを期待して見に行くと、肩すかしを食らうかもしれない。
しかし、彼の作品に通底する「人間賛歌」が前面に出ていて清々しく、随所に小ネタも仕込まれていて大笑いもできる。世間的な評判は芳しくないようだが、個人的にはお薦め。
ただ、テーマ的には『サイン』の同工異曲といった感じで、作家としての衰えも感じた。
猟奇殺人事件の持つ魔的な魅力。その捜査の過程で次々と現れる新たな謎に、続きへの期待は高まるばかり。
しかし終盤、謎解きに入ると、「え、そんなオチでいいの?」と思わされる展開に。竜頭蛇尾。
ミステリーを期待するより、愛憎劇として観るのが正しいかのも。
戦争を継続するために「英雄」に仕立てられた米軍兵士たちの姿を描く。
善悪の対立が一切出てこない、何とも無常感あふれる一作。アメリカ人が正義を唱えないだけで感慨深いものがある。
尺はやや冗長。マンネリ気味のイーストウッドの音楽も若干の減点対象か。