アートの部屋から出てみたら その1 | 豊島 みくに園通信

豊島 みくに園通信

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アトリエはもうすぐ使えるようになります。

周囲の草刈もし、うっそうと茂っていた木も切り、すっきりしました。

広々とした旧神愛保育園跡に立つと、やはりかつての子どもたちの声が

聞こえてきます。彼・彼女たちはすっかりおじさん・おばさんになり、

みくに園で働いている人もいて、古い白黒の写真を持ってきて、理事長を

喜ばせたこともあります。若き日の奥様が、先生として働く姿が写っている

からです。昨日は車椅子に乗られた奥様が来られて、窓から旧神愛保育園跡を

眺めておられました。高齢になられて、時々「豊島へ行きたい」とおっしゃるのだ

そうです。


 さて、自閉症の人たちが自分たちの世界をPRし始めました。

Uさんは昼食待ちの手持ちぶさたな時間、自分で療育室へ入り、勝手にクレパスを

持ち出し、職員の手をつかみ、「紙を下さい」と要求します。カレンダー裏の

大きな紙をあげると、自分でロビーのテーブルへ行き、いつもの彼の絵を描き始め

ました。入所当時、絵でも描いたらと勧めたのに逃げていったことを思い出しました。

ぐるぐると楕円形の卵みたいなものを色を変えて4個描いて、自分の名前を書いて

終わり。食事前の手持ちぶさたな時間を彼なりに考えて「アートの時間」にしたので

した。彼の生活の中にアートの芽が芽生えてきたのだなと「おもしろい!」と思いま

した。

 夕方、2番館(男性自閉症の人たちが多い)へ行ったら、入浴後の夕食待ちの

時間でした。とにかく書く事が大好きで、イエローページの宣伝文字をすっかり

頭に入れてしまっているSさんが姿勢よく正座をして、スケッチブックに「すし店」

「回転寿司」・・・と次々と書いていました。「この書いている時間は静かなんです」

と職員が言いました。彼にとってはいい時間なのだろうと思いました。

 暇な時間を持て余すことの多い自閉症者がこうしてアトリエ外でも自分の好きな

「かくこと」を認めてもらって楽しむこと。一歩進んだかなと思います。

嬉しい発見です。

                            (kame カメ )