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今回は株式投資をされておられる方へ 株式投資運用 市場急落時のポートフォリオ変動率を抑えるペアトレード・ロングショート戦略について説明させていただきます。
株式投資運用は生活資産及び安全資産をしっかりと管理運用が出来てからのステップとなります。
上記のステップを踏まずにこの段階に進むことは3階建ての家を建てるのに1・2階の基礎なしで3階部分だけ一生懸命に作ろうとしていることになります。
数年間かかりますが、まずはしっかりと資金力、お金の知識、低リスクの運用の経験を踏まえてから臨みましょう。
さて、株式市場では中国市場の急落を受け、またアメリカの早期利上げ観測から新興国市場の資金流出が続いております。世界市場にも動揺売りが起こり、8月中旬から日本市場も急落いたしました。
5月から警戒していたことが現実となりました。
2015年今年初めと9月5日現在の世界の株式市場指数の推移を比べてみると、欧米市場ではドイツ・フランス市場が辛うじてプラス、他のほとんどの市場が年初レベルあるいはマイナス圏に沈んでおります。
欧州株価指数 リアルタイムチャート
また、アジア市場でもニュージーランドが辛うじてプラス、他のほとんどの市場が年初レベルあるいはマイナス圏に沈んでおります。
今日のアジア市況
http://nikkei225jp.com/asia/
その中で8月中旬まで日本市場だけはGPIFおよび日銀によるクジラ買い、個人投資家によるNISA買いなどで買われることがあっても売られることがない状況、他の市場に比べて優位性があり、年初よりプラス圏で推移していました。
これまで買い方優位のまま、売り方の陣地深くまで攻め入った日本市場に買い方は完全に油断していました。
しかし、世界株式市場との相関性は年々高まっております。
この状況をこれまで黙っていた海外投資家がここで動きます。8月第2週から現物・先物市場に大きく売り浴びせてきたのです。
投資部門別売買状況から8月第2週に5000億、第3週12500億、第4週19000億(現物7264億・225先物(ミニ含む)7007億・TOPIX先物(ミニ含む)4425億、他 JPX400売り)の売り超過を行いました。
現物 株式週間売買状況
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/
先物 投資部門別取引状況
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-derivatives/sector/
それに対して、GPIFおよび日銀は散発的な応戦買いを行いますが、GPIFの株式構成割合は当初低かったものが今年6月末状況で23.39%、国内株式の基本ポートフォリオ比率25%(±9%)の上限付近であります。
日銀についてはETF保有枠3兆円に対して9月5日現在購入額約2.3兆円(時価評価約2.1兆円・株価が下がれば購入残枠は増加)、残り約7~9000億と残り少なく、1日約300億のETF買いの日銀砲の残数まで読まれている状況に売り方は怯むことなく攻撃してきます。
これまで1年近く買い方優勢でまともな株価調整をしないまま、ここ最近に至っておりました。今までやられ続けてきた売り方がどのレベルで満足できるのか、しばらくは売り方の出番になってきた可能性が高いです。
今後の日経平均の推移は、世界市場の好転、米国の利上げ延期または日本版QE3(金融緩和)が起これば急反騰もあり得ますが、現在の世界市場の状況から年初レベルの16500~17500円までの下落予想、ただし、このレベルでもドル円相場が118円前後のボックス圏に維持されていることが条件です。ボックス圏を下抜けすれば、まだ下値を模索することになります。ドル円との連動性が高いです。
かなり解消されましたが、世界全体市場の指数と比べて日本市場はまだ割高感があるからです。
また、円高傾向が続いておりますので、ドル円100円前後に進めば日経平均14000~15000円レベルに逆戻りすることが2014年からの日経平均チャート・為替チャートをご覧頂けるとお分かり頂けると思います。
よって、これから先も注意して慎重に投資していく必要があります。
さて、今回は株式運用の基本編の説明を考えておりましたが、先に市場急落時の対応について説明させて頂きます。
過去に経験したリーマンショッククラスの世界市場の相場環境の急激な悪化、東日本大震災の大災害等で市場が混乱した急落時にどう対応すればよいのでしょうか。
そのためには、
普段から割高・割安を見分ける習慣を身につけておいてください。
これが極意です。
いざという時に、ここで使うのが割高・割安を見分ける習慣が生きてくるロングショート(割安買い・割高売り)戦略です。
これは同業種大手の売上高規模近似2社のPER、PBR、営業利益率、今後の業績予想を徹底的に分析把握しておき、ペアトレードの銘柄候補として選んでおきます。
普段からこれらの銘柄群を少しずつウォッチリストに加えておくことが重要です。
その中で明らかに割安銘柄が割高銘柄に対して、何らかの理由で一時的に価値を喪失してさらに株価下落している時、もしくは割高銘柄が一時的に価値がさらに株価上昇している時にこの戦略を採ります。
売り買い同程度の金額で、割安銘柄を買って、割高銘柄を信用売り(空売り)する。
そのタイミングの見極めに私が使っているのは、楽天証券マーケットスピードの複合チャートです。
これは2銘柄のスプレッド(価格差)や2~4銘柄の指数強弱化をグラフで把握でき、各銘柄の相対評価が確認できます。日足、週足レベルで価値がどのように変化していくかを日頃から見ておきます。
この戦略のメリットは全体相場の乱高下リスクを軽減し、2銘柄の銘柄リスクのみで利益を狙うことにあります。全体相場が急騰した場合は2銘柄とも上昇、急落する場合は共に下落する可能性が高いため、
自分のポートフォリオの変動が比較的穏やかになります。
いくら自信がある、買い保有銘柄でも単独買いだと全体相場の急落に巻き込まれると相当なダメージがあります。
しかし、同業種同規模の割高な銘柄を空売り保有することで全体相場からの急落リスクを軽減することができます。
もちろん、割安銘柄がそのまま下落していき、割高銘柄が上昇する股裂きのような展開もあります。しかし、上記に記載したように2社の企業分析を徹底的に行っておき、割安優位性が継続していることが明らかに確認できれば、割安・割高の状態が解消される本来の価値に回帰していく可能性が高まります。これにより安定的な利益を求めていきます。
ただし、長期的には業績予想の変動、公募売出、増減配など様々な要因で優位性が変動する可能性があり、この戦略を長期で維持し続けると、想定外の方向に進むことがあります。
割安優位性が喪失した場合やロングショート設定時から2銘柄合計で10~20%損失超過した場合はロスカット(損切り)はしてください。
ですので、業績変動等の影響を受ける可能性が少なく、2銘柄の優劣格差が通常時維持される傾向にある、短期的(長くて数か月程度)な戦略として用います。
そして、市場急落時の混乱により、一時的に優劣格差の変動が起きたときに仕掛ける戦略となります。
また、資金コントロールも重要です。いくら危険性が軽減されていても、投資金額や証拠金の大部分を占めるような取引は止めましょう。
股裂きリスクに対応するため、最大でも全資金量の15%くらいのウエイトが望ましいです。1つの取引だけで大勝ちしようするのではなく、数多くの取引を経験してこつこつと利益を積み上げていく感覚です。
混乱時はチャンスでもありますが、資産運用は現状維持でも十分良いとされる展開であります。
いたずらに攻めることより、守備を固めて機会を待つ戦略として覚えておきましょう。
では、この実践例を申し上げていきます。
2008年10月リーマンショック時に日本ビルファンド(8951)とジャパンリアルエステイト(8952)や他の複数銘柄でペアトレードのロングショート戦略を行いました。
REITの2大主要銘柄であるこの組み合わせは株価の相関性が高く、似たような株価の動きをすることが多い傾向がありました。
日経会社情報2008年秋号より8月29日時点の日本ビルファンド(8951)とジャパンリアルエステイト(JRE・8952)のデータを見ていきます。
日本ビル 株価118万円 配当 21100円 予想利回り 3.6% 総資産7256億
JRE 株価102万円 配当 18310円 予想利回り 3.6% 総資産5275億
この時の市場評価は配当利回り同率で、配当の差を踏まえて株価格差1.15倍で成立している状況です。
ところが、この10月初めから相場が大混乱でほとんどの銘柄の株価が大きく変動している状況、買いのみ売りのみの戦略ではポートフォリオが大きく揺れ動く不安定な展開、しかし徐々に下に引きずられる精神的に厳しい局面です。
この2銘柄も同様に強烈な下落トレンドに入りました。10%近く下落する日が何度もあり、保有者には非常に厳しい展開でした。ただし、1.2倍超の株価格差は維持しております。
前営業日の10月10日にも10%近く下落し、どん底の展開となっています。
そして、10月14日に異変が起こります。
14日の日本ビルの朝の寄付きは売り気配、ところがJREは強烈な買い気配から始まります。他の多くのREIT銘柄も強烈な買い気配です。
これは株価格差が解消される可能性が高い。
怖いけれども、ここがチャンスだ。
すぐさま日本ビルに成行買い、JREに信用取引空売り成行注文を行いました。しばらくすると、日本ビル669000円(前日比2万円安)で買い約定します。そのときJREは・・・。
約定せず買い気配でぐんぐん気配値を上げていきます。前日終値56万から60万を超えてもまだ成立する状況にありません。62万、64万でも成立せず、そしてとうとう66万のストップ高で売り約定します。
通常、売り方単独でストップ高で約定することは相当な恐怖です。なぜなら次の日も大幅高で相当の踏み上げによる損失を受ける可能性があるからです。
しかし、ロングショート戦略では割高売りに対して割安買いを行っております。割高な銘柄が上がっても、割安な銘柄も上がっていくのが通常です。
ロングショートで一時的に株価格差ほぼ1.0倍の割安銘柄となった日本ビルを見てみると、株価は上昇に転じ、14日終値は789000円、前日比10万円高のストップ高で終了しました。JRE終値は653000円、前日比9万3千円高で終了しました。終値ベースでは再び1.2倍超の株価格差に戻りました。
私の取引はJREはストップ高が剥がれたところで少しずつ返済注文をして、売りを全部返済、日本ビルも当日分割しながら全て売却しました。
他の日や他銘柄の組み合わせによるペアトレードのロングショート戦略を行い、2008年のリーマンショックは奇跡的にプラス圏で乗り越えることができました。
2008年7月から年末まで半年間のマーケットスピード複合チャート日足の2銘柄のスプレッドのグラフや時系列情報をご覧いただくと、この状況下でどのタイミングで仕掛けて、どのあたりで決済解消したかお分かりいただけると思います。
しかし、本当にきつかったのはその翌年の2009年3月付近(日経平均7000円台前半)であったのを覚えております。取引流動性が極端に少なく、そのため投資機会がなく、緩やかに、しかし確実に下落していく状況は真綿でゆっくり締め上げられていく感覚でした。機会があればまた話していきたいと思います。
さて、話は移ります。
次の激動時は2011年東日本大震災でした。
東日本大震災後の相場は大混乱、その当日、私のポートフォリオは買いのみの状況で完全に無防備の状況でした。どれほどの規模が不透明のため、ひとまず当日時間外で先物売りを2枚行いました。
が、翌営業日の保有銘柄の損失はその5倍以上のダメージでした。
先物売りの防波堤を飛び越えてくる損失の波が凄まじい高さで襲い掛かってきます。
この時、ほとんどの銘柄をロスカットいたしました。一撃で平均-13%のダメージです。
頭がふらつきそうな状況になりましたが、まず、ロスカットで損失を確定させて将来の損失拡大を食い止めました。
なぜロスカットしたかは阪神大震災後の株価が一時的に回復しても下落傾向にあったことを頭に入れていたからです。
さて、ここからどのように立て直していくのか。
そこで講じたのは割高・割安を見分ける習慣が生きてくる、あのロングショート戦略でした。
ここでも同じように割安な方を買い、割高な方を信用売りを行います。
この時はポーラ・オルビス(4927)とコーセー(4922)の2社でロングショートを行いました。
日経会社情報2011年春号より2月25日時点のポーラ・オルビス(4927)とコーセー(4922)のデータを見ていきます。
ポーラ・オルビス 株価1836円 配当45円 PER14.0 PBR0.7 売上予想1681億 営業利益129億 経常利益130億 純利益75億 1株益130.9円 総資産1879億 自己資本1530億 1株資産2768円
コーセー 株価2206円 配当 40円 PER22.7 PBR1.3 売上予想1790億 営業利益125億 経常利益125億 純利益65億 1株益107.3円 総資産1670億 自己資本1025億 1株資産1766円
この時点のデータからどちらが割安で割高かお分かりいただけると思います。
震災後週明けの3月14日はコーセーは前日終値2184円から134円安の2050円で寄り付きました。
混乱時でも長期保有の機関投資家は売らずに支えている感が伝わってきます。
この時、保有銘柄のロスカット注文を出し終えて、2銘柄の値動きを注視、他のロングショート銘柄候補の値動きもウオッチリストに入れて見ております。
一方、前年12月に上場してから僅か4か月と間もないポーラオルビスは長期保有の機関投資家にはまだ認識されておらず、買い方の援護がありません。個人投資家中心の投げがまともにやって来ます。
よって、ポーラオルビスにはほとんど買い手がつきません。凄まじい売り方に押されてそのまま気配値を下げつつけており、取引成立気配が見えません。
ここでとった行動はまず、コーセーを2050円で信用売りを行って約定しました。
ポーラオルビスはまだ気配値を下げております。
いったい、どこまで下げるんだ。
しかし、これはピンチがチャンスに変わるのか。
ポーラオルビスの買い注文準備を行います。
前日終値1989円から気配値を下げ、
1800円台、
1700円台、
1600円台でも値がつかず、
なんと400円ストップ安水準の1589円まで下落します。
前日のスプレッド(価格差)は195、この時のスプレッドは450強。
本来ならコーセーの株価を上回っていてもおかしくない割安なポーラオルビスがさらに割安になっている。
この時、ポーラオルビス1589円現物買いしました。
数時間後、1800~1812円で全て売却、コーセーは2080~2085円で売り返済しました。
本来ならスプレッドが解消されるまでポジション継続するのですが、この時、福島原発の状況が悪化していくニュースを聞いて、とんでもないことになるかもしれないと、ひとまずポジションを後ろ髪引かれながら解消したのです。
しかし、この取引をスプレッド280付近で全部決済できたことで大震災のダメージから一息つくことができました。
ですが、その翌日3月15日、10時過ぎ、戦慄が走ります。
福島原発3号機付近で400ミリシーベルトの放射線量を観測。
当時の菅首相からの国民へのメッセージが伝わります。
これまでマイクロシーベルトの単位を聞いていた私は耳を疑います。
ミリシーベルトってなんだ。
その意味は日経平均の分足チャートを見れば理解できました。
短時間で経験したことのない下落が凄まじい勢いで訪れます。
日経平均先物は1000円安の8600円台となり、サーキットブレーカーを発動して一定時間取引停止します。市場関係者の動揺を抑えるためです。
約10分後に取引開始、下げ止まらず8200円台の安値を付け、2度目のサーキットブレーカー発動。
しかし、下げ止まる気配がありません。
約15分後に再び取引開始、下げ止まらず下値7900円台。
気配値が目まぐるしく変動します。
昼過ぎには7800円台の安値を付けた時、日本は終わるのかと心底思いました。
ところが、ここから猛然と海外投資家が買いに動きます。
その日の日経平均終値8605円15銭 それでも前日比1015円安の衝撃的な一日でした。
その緊迫した状況時に、ポーラオルビスとコーセーのロングショート戦略を行います。
ポーラオルビスは始値1790円から一気に下落トレンドに進みます。
しかし、下げ止まりません。安値1454円(前日終値から358円安)を付け、どこまでいくのか。
ところが、コーセーは始値2011円からほとんど下げません。これはディフェンシブ銘柄となり、緊急避難的にロングオンリー(買いだけでポートフォリオ構築)の機関投資家が駆け込んでいると判断しました。
すると安値1951円を付けてから、昼過ぎからの海外投資家の大量援護買いで日経平均1015円安の中、なんと終値2131円(前日比61円高)となりました。
その日、私はポーラオルビス1550円台で買い、コーセーを2100円前後で信用売りのロングショートを組みました。この時のスプレッド550程度あって大きく、大変ありがたかったことを覚えております。
何よりも良かったのは、こんな市場急落時ならば夜眠る時に普通は恐怖でガタガタと体を震わせ、眠れない夜を過ごすことになりますが、今回はその心配がなかったからです。
翌日3月16日、大震災と原発制御不能の混乱が続く中、割高であるコーセーの株価が上昇していきます。時間の経過とともに加速度的にものすごい勢いで上昇していきます。明らかにおかしい動きです。
何かコーセーにとって良い情報が出たのかとあらゆる情報を見ていきました。
銘柄ニュース・会社のIR情報・適時開示情報をくまなく確認し、何もニュースが出ていないことを確認しました。
これは緊急避難的な機関投資家のアルゴリズム取引(コンピュータによる超高速取引)の暴走だと判断しました。この他にもいくつかの銘柄で理由もなく急騰する銘柄がありました。
そこで、コーセー売りだけを2083円と2155円で半分ずつ解消して、一度様子を見ました。
そして、まだ上昇する気配があるため、買いポジション金額に対して半分の量を2173円で空売り、さらに2409円で残り半分の量を空売りしました。その後も高値2460円まで上昇しますが、私にはもう十分でした。
この時の平均スプレッドは700以上と過去最大となりました。
その3か月後の6月、このスプレッドは無事解消されました。
2011年東日本大震災もロングショート戦略でなんとか無事乗り越えることができたのです。
さて、2015年8月今回の急落では割安なドラッグストア銘柄の買いに対して、大手ドラッグストア銘柄を空売りしております。現在、割安銘柄の方の下落率が高く、ロングショート全体ではマイナスですが、ポーラオルビスと同じタイプの銘柄なのでもう少し待ってみたいと思います。
最後に、今回の急落で大変な思いをされておられる方々に役に立てればと思い、記事にいたしました。参考になれば幸いです。
ただし、この戦略も万全ではありません。しっかりと事前に研究し、常に相場に対する努力と反省、勇気と決断、忍耐、規律を守ることで堅実な資産運用が可能となります。
また、急ぎ記事にいたしましたので、荒削りな部分や間違いがあれば、後ほど訂正・加筆を行います。
ご自身でしっかりと裏を取って確認していただき、くれぐれも投資に関しては自己責任でお願いいたします。
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