英語で読むタオのプーさん 第7章 前編 | 英語は度胸とニューヨーク流!

英語で読むタオのプーさん 第7章 前編


$英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!

That sort of bear
by Benjamin Hoff, A.A. Milne (訳と説明:テリ)

むかし、SMAPの曲で『世界にひとつだけの花』という歌が大ヒットしましたね♪
ひとりひとりが素晴らしい種を持ってて、それを咲かせようって内容だったと思います。
この章のタオプーも同じ内容、Everyone is special ってことを話してます。
でも前編では、何かすごいことをやってのけるには特別なものはいらないってこと、
よく見れば、自分の周りにあるものが人生を切り開く道具になるってことをちょっと…

タオは道教と訳され、宗教のひとつのように思ってる方も多いかもしれません。
けど、ワシには人生をエンジョイしながら、周りの物事を生かすための哲学に思えます。
偶像を拝んだり、非現実的なおとぎ話を信じるように説いてないからです。
でももし宗教だとしたら、自分らしくあれ、と個性を容認する唯一の宗教かもしれません。

It is hard to be brave," said Piglet, sniffing slightly,
" when you are only a Very Small Animal."
Rabbit said:
" It is because you are a very small animal that
you will be Useful in the adventure before us."
Piglet was so excited at the idea of being Useful
that he forgot to be frightened any more.
" What about me?" said Pooh sadly.
" I suppose I shan't be useful?"
" Never mind, Pooh," said Piglet comfortingly.
" Another time, perhaps."

" Without Pooh," said Rabbit solemnly,
" the adventure would be impossible."
" Oh!" said Piglet, and tried not to look disappointed.
But Pooh went into a corner of the room and said proudly to himself,
" Impossible without Me! That sort of Bear."



「勇気を持つってのは大変だよ」ちょっと鼻をすすりながらピグレットが言った。
「とってもちっちゃい動物にとってはね」
ラビットは言う。
「キミがとってもちっちゃい動物だからこそ、これから起こる冒険で役に立つのさ」
ピグレットは役に立つって考えにとても興奮して、もう怖がってたことなんて忘れてしまいました。
「ボクはどうなの?」プーが悲しそうに言った。「ボクは役には立てないってことかなぁ」
「気にしないで、プー」ピグレットが慰めるように言う。「また違うときに、ね、たぶん」

「プーがいなけりゃ」ラビットが澄ました感じで言った。「この冒険は不可能さ」
「えっ!」そう言ってからピグレットはなるべくガッカリ見えないようにした。
プーは部屋の隅に行って誇らしげにつぶやいた。
「ボクがいないと不可能だって。そんなクマだったんだ…」

自分がどんなに役に立つか、時に人はわからなくなるときがある。
中国にそんな石工の話がある。

ある日豪勢な商家の前を通った石工は、自分もあんな力のある商人になりたいと思った。
驚いたことに彼はその商人に変っていた。
そこへ今度は兵を引き連れた役人の列が通りかかった。
どんなに力のある商人も、彼らの前には深々と頭を下げ、通り過ぎるのを待った。
自分もやはり役人でなければ、と思った石工は、今度はその政府の高官になっていた。
みんなから恐れられ、嫌われる役人となった彼は、輿の中の暑さにまいっていた。
その夏の太陽を見て、あれこそ1番強いものなんだ、と思った。
次の瞬間彼は太陽になって地面を照りつけ干上がらせ、みんなに呪われるようになった。
しかし厚い雲が彼を隠すと、もう光は下まで届かなくなった。
そこで雲に変った彼は雨を降らせ洪水を起こし、人々に怒鳴られるようになった。
しかしその厚い雲をすごい力で押しやるものに出会った。風だ。
風になった彼は、何をしても動かないものを見つけた。大きな岩だった。
そう、彼は岩となって、石工に削られて様々な形に変えられるようになったとさ。


人生を把握して、何か長続きするものを残そうとするなら、まず信じることが大事。
自分の責任を霊的スーパーマンに押し付けたり、運命がドアをノックするのを待つ必要はない。
自分の中にあるパワーを信じ、それを使う。
誰かの真似をしたり、誰かと競争したりしなければ、物事はうまく行くようになるもの。


1927年、シカゴのリンカーンパークの湖のほとり。
32歳の男が身投げをしようとしていた。
娘に先立たれ、会社は倒産。名誉も失墜し、アル中となった彼。
自分のようなちっぽけな人間に何ができるだろうと考えた。
すると答えが出た。今なら危険を冒すことができる。
自分で決めたことをして、人のためになろうと。
家に戻った彼は、人にこうしろと言われたことではなく、
世の中が自分に望んでいると思うことを仕事として行こうと決めた。
自然の法則を学び、生活パターンをそれに合わせ変えて行った。
その後彼の成し遂げた人類への偉業は、信じることと危険を冒すことなしでは考えられない。
彼の名はバックミンスター・フラー。あのジオデシックドームや富の概念で有名だ。

1854年、ミシガン州ポートハドソンの学校からひとりの少年が放り出された。
「問題行動」が原因だった。
そのたった3ヶ月の公的教育の他は独学で、ある研究所アシスタントとなる。
しかし研究所を吹っ飛ばしてしまいクビ。
それでも自然の力を機械的に応用したいと考える彼を止めることはできなかった。
後に国内外1300もの発明パテントをもち、問題解決の天才とうたわれた、あのエジソンだ。


安全が1番、と考えるペシミストたちは何も成し遂げない。
状況を冷静に判断できず、自分の能力も信じることができず、小さな危険も冒すことが出来ない。

みんなで北極を見つけようと冒険に出て、カンガの子、ルーが川に落ちたときのイーヨもそう。
助けようという気持ち半分、どうせ助からないだろうと思いながらも、
しっぽをすこしだけ川にたらし、それをつかむように言った。
うまくいけばみんなにほめられるし、少なくとも助けようとしたと思われるだろうと。
ピグレットはただヤキモキして跳んだりハネたり。フクロウは頭を上げとくように言うだけ。
カンガは心配し、ラビットはああしろこうしろと叫ぶだけ。
結局どこからかポールを見つけてきて、川に渡して助けたのはプーだった。

" Pooh," Christopher Robin said, " where did you find that pole?"
Pooh looked at the pole in his hands.
" I just found it," he said.
" I thought it ought to be useful. I just picked up."
" Pooh," said Christopher Robin solemnly,
" the Expedition is over. You have found the North Pole!"



「プー」クリストファーロビンが訊く。「あのポールはどこで見つけたんだい」
プーは手に持ったポールを見て言った。
「見つけただけだよ。なんかの役に立つかなと思って。拾って来ただけ」
「プー、探検遠征は終わりだ!キミが北極(ノースポール)を発見したんだ!」
クリストファーロビンは厳かにそう言った。

状況を把握し、何ができるかがわかれば、見つけたものを最大限に活用して必要な処置をする。
助けになるものはしばしば、すでにそこにある。それを利用するだけだ。


$英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!

何日も雨が続き、ピグレットの家が洪水に流された時もそうだった。

He found a small piece of dry paper, and a bottle with a cork to it.
And he wrote on one side of the paper:
HELP! PIGLET(ME)
and on the other side:
IT'S ME PIGLET, HELP HELP.
Then he put the paper in the bottle and threw the bottle
as far as he could throw.

Four days later, there was Pooh...
Piglet's bottle came floating past him, and with one loud cry of " Honey!"
Pooh plunged into the water, seized the bottle.
" It's a missage," he said to himself, " that's what it is. I can't read.
I must find Christopher Robin or Owl or Piglet, one of those Clever Readers
who can read things, and they will tell me what this missage means.
Only I can't swim. Bother!"
Then he had an idea.
" If a bottle can float, then a jar can float, and if a jar floats,
I can sit on the top of it, if it's a very big jar,"

" Oh, Pooh!" cried Christopher Robin. " Where were you?"
" Here I am," said a growly voice behind him.
They rushed into each other's arms.
" How did you get here, Pooh?" asked Christopher Robin,
when he was ready to talk again.
" On my boat," said Pooh proudly.
" I had a Very Important Missage in a bottle,
and owing to having got some water in my eyes,
I couldn't read it, so I brought it to you."
" But it's from Piglet!"
Christopher Robin read the message aloud.
" We must rescue him at once! Pooh, where's your boat?"
" There!" said Pooh, pointing proudly to The Floating Bear.
" But it's too small for two of us," said Christopher Robin sadly.
" We might go in your umbrella," said Pooh.
For suddenly Christopher Robin saw that they might.
He opened his umbrella and put it point downwards in the water.
" I shall call this boat The Brain of Pooh," said Christopher Robin.
You can imagine Piglet's joy when at last the ship came in sight of him.....


彼は乾いた小さな紙切れとコルク栓のついたボトルを見つけた。
紙の一面に「助けて、ピグレット(ボク)」
裏側には「ボクだよ、ヘルプヘルプ」
そして紙をボトルにつめてなるべく遠くへ放った。

4日後プーはというと…
ピグレットのボトルが彼のそばをプカプカ浮いてきて、
「ハニーだ!」という叫びとともにプーは水の中へ飛び込みボトルをつかんだ。
「なんだミッセージか。きっとそうだ。ボクは読めない。クリストファーロビンかフクロウか、
ピグレットか字を読める賢い人を探せば、このミッセージがなんと書いてあるか教えてくれるだろう。
ただボクは泳げないんだった。残念!」
そこで彼は思いついた。
「もしボトルが浮かぶなら、ツボだって浮かぶだろう。ツボが浮かべばボクはそこに乗れるだろう。
大きなツボならね」

「わ~プー!」クリストファーロビンが叫んだ。「どこにいたんだい?」
「やっと着いた」後ろからうめくような声で言った。
二人とも相手の腕に飛び込んでいった。
「どうやって来たの?プー」やっと話せるようになってからクリストファーロビンが訊いた。
「ボクのボートでさ」誇らしげにプーが言う。「ボトルの中にとっても大事なミッセージがあるんだ。
でも水が目に入ったらしくてボク読めなかったんだ。だからキミんとこへ持ってきた」
「あれ、これはピグレットからだ」クリストファーロビンは大きな声で読み上げた。
「ボクたちすぐに彼を助けに行かなきゃ、プー!ボートはどこ?」
「そこさ」プーはそう言って、プカプカベアー号を指差した。
「でもボクたち2人には小さすぎるね」クリストファーロビンは悲しげに言った。
「キミの傘なら乗れるね」プーが言う。
クリストファーロビンはハッとして、もしかしたら乗れるかもと思った。
彼は傘を広げて、先っぽを下にして水に浮かべた。
「ボクはこれをプーの知恵号って呼ぶことにするよ!」クリストファーロビンが言った。

そのボートが目に入ってきたときのピグレットの喜びようは、あなたにもきっと想像できるでしょう…

$英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!

用語の説明

brave 勇敢な、勇気のある
sniff くんくん言う、くすんくすんさせる
slightly 少しだけ
before = in front of 目の前の
frightened 怖がって
suppose 考える、~だと推測する
shan't = shall not ≒ can't ~できない
comfortingly 慰めるように、励ますように
perhaps たぶん
solemnly 厳かに、神聖に
disappointed ガッカリして
sort of ~のような、~な感じの
expedition 探訪、探索、遠征

cork コルク(の栓)
missage = message メッセージ
growly うなるように、うめくように、声をゴロゴロさせて
Only I can't ただ~できないんだった! 
rush into 飛び込む
proudly  誇らしげに、自慢げに
owing to = according to ~によって、~のために
downwards さかさまに
come in sight of  ~の目に入る、~に見えてくる


今回は本の中でも2番目に長い章。前後編になりましたが、
次回はこうした知恵が出てくる理由について解き明かします。
どうぞご期待ください~!

英語は度胸と愛嬌!