キャッシュな世界 Only in Cash ! | 英語は度胸とニューヨーク流!

キャッシュな世界 Only in Cash !

$英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!


うちに来てもらった福島の家族が、東京生活で違和感を感じるのはいろいろでしょうが、
うちに掃除で通ってもらってるマリアもそのひとつみたいです。

マリアはフィリピンから来た50歳前後のおばさん。
うちも含めてワシの知り合いや赤の他人の家10軒くらいを掃除、洗濯しに来てくれてます。

毎週水曜日の午後は、今住んでる家族にとっては、ちょっとだけ緊張の3時間。
同じ人間に掃除や洗濯をさせる心苦しさか、水入らずを邪魔される苛立ちか、
よくわかりませんが、来てもらわなくてもいいとワシに言ってきました。
ワシとしてはマリアの現金収入の道を減らすのも悪いので、なんとか慣れてもらいたいと思っています。

今回はキャッシュ=現金の話。
ワシが住んでたニューヨークはいろいろ電子化が進んで、人々は現金なんて危ないから持ち歩かないんじゃないかと思ってる日本人も多いかと思いますが、意外や意外、けっこう現金でやり取りする機会が多いんです。

映画でよく見るような、握手したついでにチップを手の中に仕込んでさりげなく渡す、なんてのは普通です。
日本でも旅館などで心づけする時など、袋がなければティッシュでくるんでまで現金を隠したりしますよね。
向こうでも美容院や何かのサービスを受けたときには同じ様にするところが多いんですが、ほとんどは現金そのまま渡し。でも気にしないどころかもらったほうは紙幣がすぐ見えて便利みたいです。

行った先のバレーパーキング、クローク、デリバリー、などなど、収入申告しなくてもバレない
現金収入でなんとか生き延びてる人が都会にはたくさんいるからです。

ワシも学生時代アルバイトしてたレストラン。時給10ドルで夜の5時間、普通なら50ドルだけど、
従業員全部で割ったチップで2、30ドル追加されます。
メトレDになってからは、自分で受け取ったチップはすべて自分のものでしたから、
本来の給料の倍以上の収入になりました。

ワシの友人の美容師は月5000ドルくらいの給料にそれ以上の現金チップなので、
国税庁が追跡できる給料はそのまま銀行に、生活はチップでまかなっています。
本当はチップも申告しないといけないんですが、あまり正直な人はいません。

というわけで、サービスを受ける側はいつも小銭や紙幣を持っていないとならないことになります。
日本のEdyなどのキャッシュレスは、チップがない国の便利さを物語ってますね。

さてさてワシがマリアに渡すときは現金を冷蔵庫にマグネットで貼り付けておきます。
それを福島一家が見て、気にしてるのかもしれません。
自分たちが住んでるのにワシが払ってるという罪悪感でしょうか。
ワシにしてみれば、マリアを助けるだけでなく、すでに家の管理費の1部としてるので、
そんなに気にすることではないんですが。

そして、人をメイドのようにお金でこき使っているみたいな感覚を気にされてるとしたら、
それもヘンです。
会社で叱られながら働くサラリーマンが1個の誇るべき仕事人なら、彼女たちもそうなんです。
雇い主と自分のために働く、それに尽きます。

前にも書いたことがありますが、関係は対等。サービスを供給する側と受ける側。それだけです。
お互いを気に入ってれば尊敬の念も抱いています。友人ではないけれど、大切に思うひとりです。
普通の会社より言ってみればいい関係でいると思ったりしてます。

NYにいた頃もお掃除おじさんが来てくれてましたし、ワシの小さいころには、
祖母についてきたハナというお手伝いさんが家にいました。
歳とってたけどよくはたらく優しいおばあさんでした。彼女の忠誠心も偉いと思いますが、
それでも人に下で働くことがそんなにミジメだと思って暮らしてなかったのではと感じます。
昔の人はけっこう下への気遣いも徹底してたように思うからです。
自分もそういう意味では、家の中にアシスタントしてくれる人がいるのには慣れているのかもしれません。

ただひとつ、ワシが注意してるのは、そういう人たちを誘惑しないことです。
誘惑と言ってもお金の誘惑。むやみに現金や貴重品をそこらへんに置いとかない。
彼らだって裕福で働いてるわけではありません。心の隙もあるでしょう。
こちらがどうでもいいように扱ってるところを見せれば、なくなってもいいかな、取ってもいいかなと、
思いかねませんから、こちらも大事にしてるところを見せておくのが大事です。
それさえ押さえれば、人に手伝ってもらうことも、自分たちのプライバシーに組み入れることも
苦ではなくなります。

キャッシュの話と、お手伝いさんの話。
最近の日本ではどちらもあまり見なくなったことですが、これから移民が増えることも考慮せざるを得ないし、
馴れ合った人とだけ付き合える世の中ではありませんから、ちょっと書いてみました。
皆さんが外国に行ったときも、こんなことを念頭に入れておくと、ああこれかと思うことがあるかもしれませんよ。

$英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!
お手伝いさんといえば…