ハドソンの思い出 | 英語は度胸とニューヨーク流!

ハドソンの思い出

$英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!


夏が来ると思い出す…ではなく、春が来ると思い出すのはハドソンの春。
ニューヨーク、マンハッタン40丁目付近、グランドセントラル駅から30分から40分のところにある田舎町。
郊外どころではなく,行ってみるとびっくりの森の中にある町です。
メトロノースという普通の長距離列車が、マンハッタンの西側から北に向かって出発。
こちらにあるのはハドソン川といって、都会で見るとわからないんですが、川沿いに走るこの電車で
上流に向かって行くと、この川へのイメージは一変します。

広い川幅は途中だけ狭くなり、川沿いには豪邸やキャッスルのような建物がチラホラ。
ズラリではありません。点々とです。いかにお金持ちな人たちが居を構えてるかがわかります。

川沿いは切り立った地形が多く、幅が狭いとなんとなく中国やエジプトの川登りを思い出すかもしれません。
駅名もマーブルヒル、ヨンカース、ヘイスティングス、スカボロウ、終点はポーキプシー。
なんとなくロマンティック。ここまででもたったの2時間。箱根のロマンスカーみたいなモンです。
たった30分ですでにニューヨークというイメージがまったくなくなり、ここはどこ?という世界。
高いビルなど見えなくなります。

前にゲームのことでちょっと書きましたが、マンハッタンでは週末にシティに残ってるのはちょっとミジメ。
みな自分か家族か友人が所有するこうした別荘、というか田舎の家に金曜の夕方から行くのです。
冬は厳しいのでオープンハウスしに行くのがこの時期。春の大掃除の由来です。
5月のメモリアルウイークエンドにはもう夏の家のオープンですから。
ビーチタイプの人より早く開けに行くんですね。

もちろん冬は冬で暖炉があったりステキですが、毎週末帰るのはちょっとしんどい。
だから本格的に森の春を味わい、夏を謳歌するためにはこの時期の植え込みや手入れが必要です。
持ち主はもうすでに車にどっさり物資を運んで準備しています。
フリーウエイがちょっと混みますから車だと電車より少しかかります。
もちろん日本の首都圏からのようではありませんが。
ワシらはこうしてゆっくりハドソン川の眺めを楽しみながら行くためにグラセンへ直行。
仕事場には週末用のバッグも持って行ってます。

ヘイスティングスの駅から今度はお迎えの車でさらに15分くらいが友人の家。
どっからどこまでが敷地かはわかりにくく、くねくねした山道には鹿に注意とか、
車にあたったスカンクのあのゴムくさい臭いが漂ってたり、かなり別天地。
そうしてやっと着くのがわれらがホストの家。

敷地全体はすり鉢状になってるので、入ってから下へ降りる平屋に見える3階建て。
階下のガラス張りリビングは広い敷地に面したウッドデッキに続き、デッキはワシらが掘ってこさえた
縦50m横20mくらいの丸い池に向かって両腕を広げたような感じ。
その池に流れ込む水は3段になった滝からのもので、夏はこの滝で水浴び遊びが楽しめる。
池からは小川となってチョロチョロと敷地を取り囲む設計。
だから車まわしから見るとすべて下界に広がる大パノラマ。
下界から見ると、高い木を背負った頑丈な3階建てのモダンな家。

持ち主のジェフリーは日本で言えばそれほどお金持ちではありません。
ここも家と土地付で3000万円くらいで買ったそうです。とてもそうは見えない。
立地条件や近辺の状況を見れば、東京都下だったら10億は下りません。
よほど買ってから手を掛けたんでしょう。
先ほど池は自分たちで掘ったと言いましたが、家のそばの竹やぶも、孔雀10羽以上を放し飼いする(!)
玄関そばの庭(?)も、温室も花壇もすべてDIY。それでもそれを取り囲む高さ80mくらいの木々や芝生、
ロックガーデンなどは野生のもので、とても手造り感のある場所ではありません。

家はシンプルな木とガラスでちょっとライト風。
中は石の床とぴかぴかのフローリングのコンビで暖かさと頑丈さをアピール。
階下のリビングを中心に部屋が半円のらせん状に取り囲むような段差の多い家です。
半円なのは滝や池のある庭を望むためです。
家の中心にあるのが石とレンガを使った暖炉。こういった山荘風な家では豪華なマンテルピースは不要。
吹き抜けのリビングいっぱいのツリーといっしょにホワイトクリスマスの主役です。

この家ではほとんど家族同様に扱われたワシは、いつでも好きなときに行ける分、いつも労働が待っていました。
大仕工事もガーデニングも好きなワシの基礎はここで育ったと言えるでしょう。とにかく何でもやってみる。
やってみるとできてしまう、何とか。プランを描いたり計算したりの毎日が実際に役立つ生活っていいですよ~。
この時期特有の土の匂い、動物たちの鳴き声。孔雀の雄たけびだって、鶏たちのご乱行だって
活気に満ちた春の到来を告げるメッセージ。
家の軒先にはハチドリ用のジュースタンクがぶら下がってて、実際ハチドリや他の小鳥が飲みに来る♪
車が必要だけど近所にでかいスーパーや教会やショップもたくさんある。
料理に必要なハーブたち、日本食に必要な葱やみょうがやシソなども植えて、必要な分だけ摘む生活。
帰りたければ1時間でNYのアパートやクラブに帰れるけど、帰りたくないし、月曜の朝は仕事やめたくなる楽園。
でもそう思うくらいがリゾートってのはいいかもしれない。

それにしてもお金の使いでがずいぶん違いますよね。日本の都会でマンション買えるくらいなら
アメリカだったら別荘持ってて普通。先進国には数えられるようになったけど、生活レベルを考えると
国土の狭さがネックな日本です。
アメリカンドリームを体現したような生活に少しでも浸ると、今をなんとかしたいと思います。
父が死んで家が自分のものになったら投資家ビザを取って向こうで永住しようかと思います。

みなさんもニューヨークへ行った際は、少し長く滞在できる人は電車に乗ってふらりどこかで途中下車してみましょう。マンハッタンと近隣の区だけでなく、こうした田舎にも行くと一粒で3度おいしい旅になること請合います。
なんてったって、田舎の人は親切でおっとり。運転だって簡単です。
だってみんなどうぞって先に道を譲ってくれますから。

東京に帰って来て早2年半、生活がずいぶん変わったな~とつくづく感じる春なんでした。

英語と度胸はニューヨーク仕込みでぃ!
Hudson, Upstate, NY